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南御室小屋から夜叉神峠へ
(2013/ 1/ 3〜4)


間ノ岳と北岳


 1月 4日(金) 2日目・晴 

朝の南御室小屋

 極寒の南御室小屋テント場の一夜だったが、シュラフの中はぽっかポカ、あまりの暖かさで午後10時から8時間もの間ぐっすり寝ることができた。大きなザックを苦労して担いだ甲斐があった。ただ、ザックの重量と快適さの折り合いをどこかで調整しないと、寄る年波に勝って快適に登ってくることは無理だということも思い知らされた2013年の初登りである。


 当初の予定では、2日目は稜線に出て白峰三山の夜明けの姿を堪能し、その後薬師岳〜観音岳〜地蔵岳を往復する予定だったのだが、登りで気力と体力を使ってしまっていたので、昨日のうちに心は下山を決めてしまっていた。体力については、ジャンダルムで膝を痛めてそれを引きずって標高差1000mぐらいの登りのストレスを掛けると膝付近の筋肉が張ってしまうことと、1年ぶりに履いた冬用の登山靴が足に当たって体の筋肉のバランスを崩したことが原因であった。


 そんなわけで、ほとんどのテント泊者が薬師岳に向かって登って行くころ、ぼちぼちとテントの撤収を始める。テントの中であらかたザックに荷物を納め、最後にテントをそのままザックに押し込んで終わりにする。気温は未だ−18℃、寒くて寒くて(小屋が計測の最低気温は−18.8℃)たまらないので早く歩き出して体を温めたい。歩き出しは苺平までの登りだが、昨日の登りのときの服装(上:ロングのTシャツ、毛混紡のシャツ、化繊のチョッキ 下:ウール下着、夏用のズボン、雨具のズボン)に上:ダウンインナー、アウター 下:ウールの7分下着をプラスし、極寒用グローブとしたが、それでも体が温まったのは苺平まで歩いた約40分後だった。

 

 ラジオからは、大天井岳での遭難事故などを頻繁に伝えている。幸い2人とも救助されたとのことだが、よく4日間もがんばったものだ。うかつなことは言えないが、この夜叉神峠から薬師岳までの雪のコースに難しいところや危険なところはないと言っていい。しかし、寒さだけは一級なのでテント泊をする場合、その備えはしっかりする必要がある。 毎年シーズン前には、冬用の登山靴を履き慣らしていたのに今年はそれを怠っていた。そのつけが下山の時に如実に表れた。小指が当たって痛くて仕方がない。下山に要した時間は(同じ靴だったのですが)昨年より1時間多くかかっている。膝にも違和感があって力が出ないので休み休み下りていく。こんなときの下りは普段はどうっていうこともないところが急な傾斜に感じる。下山後の源泉の宿の湯を楽しみに頑張ってようやく夜叉神峠登山口に到着する。


北岳

 これまで何度も北岳に登って、下山後は芦安の大きな温泉施設で入浴していたが、今回は日本秘湯を守る会の宿「桃の木温泉 三和荘」の日帰り入浴を利用した。「源泉掛け流し」ということなので山の疲れを癒すにはもってこいというところだ。まだ陽も高いことから、浴場には2人だけ。温泉は飲用に適しペットボトルを持参している。硫黄臭がかすかにする透明な温泉に心ゆくまで浸かって、この世の極楽を味わう。宿を辞するとき帳場からおかみさんが出てきて丁寧に見送ってくれた。こじんまりとした宿ながら湯量がたっぷりある大きな湯船に心温まるお見送り・・・。こんな心遣いをしていただくと、この次は家族でということになるのは人の自然な気持ちということだ。 


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