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ヤマシャクヤクのお出迎え 赤星山
2005/ 5/14



登山口近くの薄暗い植林地の一角にヤマシャクヤクが何か所かに別れ群生している

 転勤先岡山の山と花の情報を探しても,近在にこれと言って興味が沸く場所が見つからない。もう春も5月も中旬になってしまった。四国に渡れば花の百名山の東赤石山でカンラン岩に咲くシコクカッコウソウが見ることが出きるはず,また,その手前の赤星山にはカタクリやヤマシャクヤクがあるとの情報を頼りに,金曜日の夜に岡山を立ち,宇高国道フェリーを使って高松に渡る。途中,騒がしい道の駅で仮眠し,伊予三島から登山口の中尾に向かって林道に入ったのは既に朝8時を回っていた。

 赤星山のヤマシャクヤクについては具体的な情報は得られず,「ヤマシャクヤク」が生えているというだけのわずかな情報を元に,銅山川から中尾集落に至る林道に沿って目を凝らしながら車を走らせる。すると約10km続く林道の途中暗い植林地の中に白いものを見つける。その場所は登山口からさほど遠くないこであるが、よそ見をしないで登山口を目指しているからヤマシャクヤクは見つけられずにいるものと思われる。林地に入って見ると,ヤマシャクヤクがザレ場に群生となっていて,どうにか花びらを保っている。このヤマシャクヤクの群落の中には、人が足を踏み入れた跡はない。

 札幌の近郊で見つけたヤマシャクヤクは,周囲に民家がある往来の激しい道路沿いの雑木林の中で可憐な花を咲かせていたので,四国でも同様の林床などが咲く場所だろうと思っていたが,ここでは大きな塊の石灰岩のザレた岩場に咲いている。初めての四国の山で,目的の花にこんなに早く出会えるとは思っても見なかったことから,うれしさもひとしおであった。 


この沢のヤマシャクヤクは無限

 登山口から新緑の美しい山肌を縫って頂上を目指す。途中目立った花は見られないが,尾根筋に出たとたん,大樹のシャクナゲが延々と続いている。シャクナゲの花を見に来たと言う4人組によると,例年より開花が遅れていて,あと10日も待たないと花は見られないだろうとのことである。


これ全〜部がヤマシャクヤク

 シャクナゲの並木が切れるとそこには祠があって,そこから先は樫の木系の樹木になり,林床には,時期遅れではあるがカタクリがびっしりとあり,それが頂上まで続いている。頂上には山口から来たという夫婦が昼食を摂っているだけの静かな山であった。頂上から瀬戸内が見渡せるが,霞みがかかって遠望はきかない。


ズームしてみると・・・

 日曜日の暖かい陽射しを浴びながらのんびり昼食を摂った後,もと来た道をたどると,登るときには気にならなかったザレた涸れ沢が望めたので沢を登ってみる。案の定,どこまでもどこまでもヤマシャクヤクが続いて見られる。この沢には人の足跡がなく,花を付けたもの,若い株,幼苗もあって,沢の石塊が大雨で流されなければ夢のヤマシャクヤクの花園はいつまでも美しいまま保たれるだろう。こころときめく四国の第一歩であった。


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