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厳冬期 徳沢から蝶ヶ岳 (2日目)
2014/ 1/ 3〜5
Team Hidaka Vol.5)


蝶ヶ岳から常念岳を見る (1/ 4)


 1月 4日(土) 2日目の後半  


長塀尾根

 午前4時45分に起床するとともに、冷え切った自炊室で朝食の準備が始まる。管理人さんが「雪が降っていますよ。」と言いながら自炊室のストーブに火を着けてくれる。出発前のヤマテンの予報では、今日は「朝から雲に覆われるが、日中は飛騨側山麓や標高の高い稜線から雲が取れていく。ただ、常念山脈北部の信州側山麓では低い雲が取れにくい。」とある。山の天気による最低気温は-12、最高気温は- 8℃とされている


雪が止み視界が晴れる

 午前6時、暗闇の中をヘッドランプを点けて小屋を出る。小屋からすぐに長塀尾根に取り付く。朝一番からのあまりにも急登りである。登るにしたがって雪が深くなる。登山者によるトレースがはっきりしているが、さらに雪が深くなると、前日(3日)に長塀山でテントを張ると小屋の管理人さんに言い残して行って当日に下山したと思われるパーティが付けたと思われる乱雑な尻セードがトレースをあちこちで乱している。スノーシューを装着していても長塀尾根を登り切れなかったというのなら、次の人のためにもトレースを辿って下山するという思いやりがあってもいいのではないかと思わせるほどの乱れようである。


「蝶ヶ岳まで1km」の看板

 出発時に降っていた雪は小降りで、次第に空が明るくなっていく。アウターを着込んでいたが、それを脱いで、メリノウールを主体としたロングスリーブTシャツ、ハーフスリーブTシャツの3枚重ねでちょうどよくなる。(真夏の登山時の服装にウールのTシャツを1枚重ねただけ。)
 長塀山まではまだ遠いというところで、登山者が1人、また1人と合わせて3人が下りてくる。話しを聞くと、昨日(3日に)登って蝶ヶ岳ヒュッテ冬期小屋に泊まり、今日(4日)下りてきた。長塀山から先にはトレースがなかった。テント泊の者のものは無論のこと、2日間、登山者は見かけなかった。」とのことであった。つまり、徳沢園の管理人さんは、この3人は把握していなかったことになる。また、長塀山でのテント泊予定組も、テント泊を断念し下山してきたことを管理人さんに認識させることなく、徳沢園冬季小屋に投宿したものと思われる。その上での昨日の夜の盛大な宴会だったのだろう。


北穂〜南岳?方向を見る

 長塀尾根はいつまでも樹林帯が続く。ようやくその樹林の背が低くなってくると急に視界が開け、穂高の稜線が見える。正面には蝶ヶ岳の手前の高みが見える。そこは強風が吹き抜ける場所となっているので、アウターを着用し体温の低下を防ぐ。穏やかな蝶ヶ岳の稜線は風衝地となっていて、寒々しい光景が広がっている。


長塀尾根に付けてきたトレースが伸びる

 
西岳?方向

 飛騨側から猛烈に雲が押し寄せている。それを梓川上流からの風が押し留めている。頂上標識に立ちにこやかに握手を交わす。強風が吹き抜ける頂上には休むべきところがない。小屋に向かい冬季小屋の入り口を探す。(蝶ヶ岳ヒュッテ冬季小屋の入口の形状と色は特徴的である。)


徳沢園は目の前

 厳冬の山でのカロリーのある温かい飲み物は、人の疲れた体を回復させる。重い鉄扉を持ち上げ、それをスコップで固定し冬季小屋に入る。明かり取りの窓が一つ確保されている。ポットに入れてきた酒粕と和菓子で一息つく。利用させてもらった冬季小屋を離れ、下山を開始する。


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