大菩薩嶺から湯ノ沢峠を経て滝子山縦走
(2日目 湯ノ沢峠避難小屋から滝子山)
2010/ 6/ 4〜5
■ 6月 5日 ■
気持ちのいい草原と黒岳
午前1時半にいったん目が覚めた。草原に緑色のタンポポが咲いている。そよ風が草原を通り過ぎていく。そんな心地よい夢を見ていた。今日は4時に起きて5時には出立したいと目覚ましをかけてはいたが、あまりの快適さにシュラフを抜け出すことができない。結局ラジオから流れるペール・ギュントの組曲《朝》に起こされる。この小屋の清々しい朝にお似合いの音楽だ。雨はすっかり止んで、小鳥たちのさえずりがかまびすしい。
5時半、小屋を片付け、残置されたゴミをザックに入れて湯ノ丸峠から始まるお花畑の中を歩く。避難小屋脇の駐車場には20台以上の車がまだ停まっていたが、大蔵高丸に続く登山道にはひとり分の足跡しかない。
清楚
登山道脇に咲く花はまだ何もなく、スズランが花芽を出し、スミレがわずかにあるだけだ。1687mを巻く登山道脇にミツバツツジが華やかに咲いている。昨年2株あったササバギンランは掘られたようだ。土の凹みが二つ、せめて地表を均してはどうなんだろう。それとも盗人の誇示?これは他の高山植物の盗掘現場と同じだ。
大蔵高丸の登りで、狼平で会ったおじさんと行き違う。気持ちのいい草原を越えハマイバ丸で一休みする。この先を少し下りると露岩があるが、その東側に気持ちのいい草原があるので見てみようと登山道を離れると、男性がヌッと現れる。ここまでの登山道に足跡はないし、朝の7時過ぎにここまで来るとすると真木から上がってきたのか。ともかく「おはようございます。どこからですか。」と言ってみる。男性は「写真を撮りに来た。ずっとここにいるよ。」と答える。
わずかな時間だけお目見えの富士山
「ずっとここにいる?」まさか、夕べの雷雨をここでしのいだ?そんな疑問を持ちながら登山道に戻るともう男性の姿はなかった。狐に包まれたような気で先に進むと、木陰に男性数名がいて、バシャ、バシャとシャッターを切っている。その先は富士山で、手前にとてつもない大木のミツバツツジがあって、富士山撮影の好位置のようだ。雄大な富士山とミツバツツジの大木は想像を超える素晴らしい風景だった。(へなちょこのコンデジで写真家集団に近づくのは大いにはばかれましたので、No Photo!)
ハマイバ丸の露岩を過ぎるとその先は滑りやすい急な坂となっている。おそるおそる下りて草原を過ぎ、しばらくすると天下石に着く。ここまでは来たことのある道だ。先に進むと気持ちのいい自然林の中の登山道で、米背負峠まで続く。休憩中に脇を狐が平然と通っていき、いったん振り向く。なぜ?
快適な天下石先のフットパス
大谷ヶ丸に登って滝子山への作業道を探すが、前回同様取り付きが分からない。下りたり登ったり、35分ロスして結局稜線の道に戻り、アモウ沢乗越から鎮西ヶ池に出る。ここにもクリンソウが咲いている。
鎮西ヶ池から急坂を登って、誰もいない滝子山の頂上に立つ。ヒップベルトだけをした男性がはあは言いながら登ってくる。こちらは50リットルザックを背負っているというのに、その軽装がうらやましい・・・のではない。
ようやく到着 滝子山頂上
寂しょう尾根(南稜)を下りるつもりで下山する。こんなに急であぶなかしい道だったろうか。びくびくしながら下りるが、昨晩尾雨で濡れた岩や土で足を取られては、元も子もない。なにより次の北海道遠征が危うくなる。それでも先に進むと「滑落多発、危険!」という大月市の立て札があって、道標が浜立尾根へ導いている。
素直に従って浜立山へと浜立尾根を進むが、ここも標高差が750mほどあり、登山口まで下りるのに、休みも取らずせっせと歩いて1時間45分もかかった。ここまで歩いて、ザンバランの登山靴が思わぬ場所で靴擦れを誘発していることが分かった。カットバンで保護し1時間、アスファルトの林道、国道20号を黙々と歩くと、ようやく笹子駅にたどり着いた。
1日目 | 場所 | 所要時間 | 2日目 | 場所 | 所要時間 | ||
着 | 発 | 着 | 発 | ||||
0800 | 烈石 | 0530 | 湯ノ沢峠避難小屋 | ||||
0825 | 0825 | 丸川峠分岐 | 25 | 0620 | 0620 | 大蔵高丸 | 50 |
0915 | 0920 | 第二展望台 | 50 | 0705 | 0720 | ハマイバ丸 | 45 |
0955 | 1000 | 上日川峠 | 35 | 0805 | 0805 | 米背負峠 | 45 |
1040 | 1045 | 石丸峠入口 | 40 | 0835 | 0900 | 大谷ヶ丸 | 40 |
1200 | 1200 | 石丸峠 | 75 | 0945 | 0945 | アモウ沢乗越 | 45 |
1225 | 1255 | 狼平 | 25 | 1005 | 1015 | 滝子山 | 20 |
1335 | 1345 | 小金沢山 | 40 | 1200 | 1205 | 浜立尾根登山口 | 105 |
1425 | 1425 | 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 | 40 | 1305 | 笹子駅 | 60 | |
1510 | 1510 | 川胡桃沢ノ頭 | 35 | ||||
1540 | 1540 | 黒岳 | 30 | ||||
1625 | 湯ノ沢峠(小屋) | 45 | |||||
総所要時間 | 7:20 | 総所要時間 | 6:50 |