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聖沢登山口〜聖岳〜赤石岳〜椹島ロッジ縦走
(2011/11/ 1〜4)


2日目(前半) 聖平小屋から聖岳へ


聖岳 (右奥に上河内岳)


 11月 2日 (2日目) 
聖平小屋から聖岳を越えて百間洞山の家まで

 縦走2日目です。昨日は聖平小屋に早めに着いたので、休養も十分、目覚めもすっきりですが、同宿のお2人さんは今日は茶臼岳に登ってから南アルプス登山指導センターがある沼平に下りると言っていましたので、のんびりできるのでしょう。熟睡中のようなのでもう少しと、シュラフの中でラジオを聴きながら時間を過ごします。私もそんなに急ぐ必要はないのですが、初めての山域なので夜明けとともには出発したく、朝食を作りガサガサ・ゴソゴソと身支度を整えます。


聖岳 

 ひっそりとした聖平小屋を出発します。小屋の前に掛けられた寒暖計は1度を指していますが、無風なのであまり寒さを感じません。小屋からシラビソの樹林帯を抜け、木道を歩くとすぐ稜線T字路です。徐々に斜度を上げて易老度への分岐となる薊平へと登ります。このころはまだザックの重さもあまり感じなかったのですが、風をひいたようで徐々に足取りも重くなってきます。昨日は水は1リットルも消費しなかったのですが、今日は喉が渇きます。それでも今日は水を1.5リットルほど持っていますので、なんとかなるでしょう。


小聖岳からの聖岳

 薊平から次の2478mのピークまでは100mほど登りますが、まだエンジンがかからない体には堪えます。その先の小聖岳からは緩やかなコブを何度か越え、聖岳の斜面に取り付きます。疲れて足を止め振り返ると、どっしりしとした上河内岳や台形の茶臼岳が見え、茶臼岳へと続く稜線の鞍部には茶臼小屋を見ることができます。前方左手の奥茶臼山に続く尾根には赤い大きな建物が見えますが、これは「しらびそ峠」手前にある宿泊施設の「ハイランドしらびそ」のようです。


聖岳の登りからなだらかな小聖岳頂上と茶臼岳方向を遠望する

 いつになくバテバテですが、ガレた斜面を一歩また一歩、黙々と登ります。奥聖岳に足を延ばす予定でしたが、そのような気力は湧いてきません。ようやく聖岳の頂上標識が見え始め、ピークに立つと赤石岳がデ〜ンと鎮座しています。その奥には荒川三山の稜線がウィングを広げて、その光景に思わず声が出ます。


赤石岳(その背後に荒川岳)

 聖岳の頂上からは、これから歩く兎岳、中盛丸山、そして大沢岳の右斜面下に「百間洞山の家」が(実際は聖岳から5時間以上かかったのですが)まさに手に取るように見えます。地図を見ながら縦走の計画を立てているときは、一つ一つの山がこれほどのスケールだとは想像がつかず、「兎」岳とか中盛「丸山」だとかの名前で、簡単な山というイメージでとらえていたのでした。実際に聖岳に立ってその姿を見ると、それぞれが雄々しく自分を主張しています。これからその一つ一つに向かって行かねばなりません。そうするともう「だるい」とか「足が重い」などと言っている場合ではありません。茫洋とした聖岳の南斜面とは様相のまるで違う北西斜面を400mほど急降下します。


兎岳、小兎岳、中盛丸山、大沢岳 沢筋に百間洞山の家 左奥のとんがりは奥茶臼岳(?)

 今下りてきた斜面を振り返ると、北海道東大雪のニペソツ山や、日高山脈のカムイエクウチカウシ山のような荒々しさを見せています。山はこうでなくちゃ、という威風堂々とした姿に魅入ってしまいます。いつもは「山には花が付きもの」という歩き方をしていますが、ここはそのような思い入れも捨て去っていいほどの景色です。高気圧がまだこの山域を覆っていて素晴らしい展望をほしいままに堪能しますが、いいことは長続きしません。あっという間に黒い雲が流れてきて山を覆い尽くします。それまで12度あった気温は急に1度まで低下しました。雲は高度2500mから聖岳の頂上を超えるところをどんどん流れていきます。


聖岳

 


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