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せめて夏沢峠までは行ってみる
2015/ 3/ 6〜7

夏沢ヒュッテ直下で かもしか


 3月 7日(土)

 冬の八ヶ岳のテント泊でヌクヌクと寝ていた?夜明け前にやっと少しの寒さを感じた?テントの下にグランドシートを、テントの中に銀マットを敷き、カスケードデザインのR値の高いエアーマットを敷いて冬用のシュラフを使っていても、テントの下から伝わってくる寒さはいつかは寝返りをしていないと体を冷やすことになる。酒の酔いで熟睡していたのだろう。背中が寒くて目が覚めた。


夏沢峠への途中で 天狗岳方面

 テントには断続的に雪が降りつけてきて、たまにたまった雪が滑り落ちている。少し明るくなってきて、ベンチレータから外を見ると雪はまだ降っているが、歩くのに支障はないような様子である。雪が降っているから下りようかなという弱気が急に強気に変わり、取り敢えず夏沢峠までは行ってみようという気分になる。そのようになったのは目が覚めてから2時間半ほど経ったころだった。この時間で天狗岳を往復して戻ってきてもタイトな時間となるので、行くのは「夏沢峠」と決めて出発する。


 晴れてきた

 本沢温泉から夏沢峠への道には2人分の足跡がある。一つはスノーシュー、一つはツボ足+アイゼンで、スノーシューさんは自由奔放な歩き方をしている。一見さんならこんな歩き方はできないなぁと思うようなショートカットを多用している。よほど慣れていると思われるコース取りである。稲子湯〜ゲートはチェーンがないとダメと言うヤマレコさんが夏沢峠を越えて天狗岳に登り黒百合ヒュッテへと降りたと言い、記録にトラックを載せていたのでそれをGPSで借用したが、実はしらびそ小屋〜本沢温泉間も夏道とは違った道であり、本沢温泉〜夏沢温泉間も大きく違うところがあったので、下山後再確認してみると国土地理院の地図に記された登山道をなぞってヤマレコにアップしたものであったことが分かった。


夏沢峠

 これまで夏冬と3回ほど夏沢峠まであるいは硫黄岳まで歩いていたことから、ヤマレコさんの手書きトラック?を参照する必要はなかったが、ヤマレコの記録に「ハンドメイド」(Handwriting)との注釈はあってしかるべきだろう。夏沢峠までは特に危険なところはないが、さりとて急斜面を横切るところでは漫然と歩くことはできず、気を引き締めて通過する。夏沢峠のほんの手前では夏道を離れあっと驚く小屋脇の急斜面を登る。


硫黄岳方向を見る

 やまびこ荘とヒュッテ夏沢の間を抜けると、オーレン小屋から上がってきて根石岳〜天狗岳へと向かった複数の新しい足跡があった。天候もよく見通しも利いているが、積極的なモチベーションはここまでで枯渇しているので、予定どおり本沢温泉へと降りる。小屋脇から来た道を下りようとするとカモシカが至近距離でこちらを見ている。「お〜い、かもしかさ〜ん。」などと呼びかけても無関心である。いつまでも避けてくれないので強硬下山するとかもしかさんがどうにかわずかに道をあけてくれた。黙々と下りて谷筋にある露天風呂が見えてくるころには、日差しで暖められた雪が団子となってアイゼンに纏わりつく。


本沢温泉 露天風呂

 本沢温泉のテント場で張ったままのテントを撤収し、帰途に就く。ワカンに雪が団子となってまとわりつき、歩きづらいことこの上ない。クリンソウの群落地あたりからこれから登ろうとするグループとすれ違うことが多くなった。しらびそ小屋から先ですれ違う人たちも多くあったが、もう時計は午後2時を過ぎているころであった。忙しい日常から離れしらびそ小屋でのんびりと週末を過ごす・・・、豊かなスタイルである。


かもしか

 心配していた降雪もなく、林道ゲート前に停めていた車は融けかかったアイスバーンの上を順調に走る。稲子湯で源泉掛け流しの温泉に入り2日間で溜まった乳酸を消散させる。冷たい炭酸泉をたっぷり飲んで飲み過ぎた胃腸を整える。


しらびそ小屋

 佐久への道は思った以上に混んでいた。アベノミクスの効果が地方にもまんべんなく波及している?そんなことはともかく、人が外に出ることはいずれにしても好影響しか及ぼさない。途中のホームセンターで地元農家御用達の肥料等を家庭菜園用としてたんまり買い求め、重くなった車で高速を走る。


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