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カムイエクウチカウシ山〜コイカクシュシュサツナイ岳縦走
2009/ 7/27〜7/31


親熊はまだ気付いていない


 3日目の前半 (7月29日) 


待望の夜明け


ピラミッド峰への途中から見たカムイエクウチカウシ山の全貌


ピラミッド峰から1807m、右に屈折して1602mのコル

 昨夜からの雨は未明に収まった。テントを出てみると星が少し輝いているのが見える。ころころと変わりやすい天気が続いているので、行程中のどこで悪天候に見舞われるか分からないが、このまま停滞したり引き返すのも芸がない。1日遅れで1823峰へ向かうため、すっかり雨に濡れたテントを畳み支度を整える。昨日のピラミッド峰やカムイエクウチカウシ山の往復と違って、水を7リットル背負っての長丁場である。ハイマツも濃くなるだろうから合羽を着て歩く場合ではない。全身水浸しを覚悟で進もうとザックを背負い先を見る。(05:05)


ピラミッド峰を越えて カムイビランジ

 ザックを背負って行く先に見えたものは、昨日のヒグマの親子である。いやらしいことに、1700mへと続く登山道の真横で草を食べている。小熊もちょろちょろと動いていて、このまま進むことには躊躇せざるを得ない。熊鈴が鳴らないようにし、いったん小高いガレまで登って様子を見る。天気もいいし、このまま引き返すのもなんだかなぁ〜。警笛を吹いてみるかと、「ピィ〜〜〜〜ィ、ピィ〜〜〜〜ィ」と音を発する。この警笛はカール壁まで届くかのような音を出す。すると親ヒグマは「なんだ、なんだ。誰だ。どこなんだ。」というように頭をもたげて周囲を見やる。そこでさらに警笛を強く2回吹鳴しこちらの存在を知らせる。親ヒグマは子ヒグマを促し登山道を離れ、藪を揺らしながらピラミッド峰北東斜面をのそのそと移動する。もうこれ以上の緊張をヒグマに強いる必要はない。


ピラミッド峰 岩場に着目

     
     
ピラミッド峰を越えるとコルに極めて環境良好なテン場がある    このテン場で幕営するためだけにカムエクに登っても価値がありそう


ピラミッド峰とカムイエクウチカウシ山


1823峰?を遠望

     
 1602mのコルをピラミッド峰方向から見る    コルに一張り分の石積みのスペースがある。主に日高側から風の通り道となっているのだろう。
なお、このコルにはヒダカゲンゲとチングルマの絨毯となっている。花を踏み付けないで歩いたりテントを張ったりすることは不可避である。 


ヒダカゲンゲ

 昨日はコンコンと湧き出していた登山道上部の水の流れはすっかりない。楽をしようとカールで水を汲んでこなかったらヒグマの存在も含め面倒なことになっていた。稜線に出てからはすぐハイマツやミヤマハンノキの枝や葉に着いた水しぶきの洗礼を受ける。ただ、これがスラックスを伝わって、あるいはヌバック表皮のゴアテックスの登山靴のポンプ作用によって登山靴の中が水浸しになるまでのものではない。この天気ならそのうちに藪の水もなくなるだろう。


下のガレ場が1602mのコルであり石積みされたテントスペースがある。後ろに1807峰、ピラミッド峰を見る。

 (降雨や朝露によってヌバックとゴアテックス内の隙間に溜まった水が、登山靴のポンプ作用により上部の縫い合わせから浸水することについて、Sirioでは最近はそのカタログに注意書きをしている。このほか、登山靴内に水が入る原因として、スラックスがある程度十分に水を含むと、それが靴下を伝って登山靴内に入る。この場合、スパッツはほとんど用を足さない。)

 カムイビランジを探しながら登ろうと思っていたのに、いつの間にか頂上に出てしまう。(06:45) ごつごつとした1807mへの稜線を俯瞰する。地図で見ると短い距離に感じるが、1823峰までは藪こぎもあって相当手強そうだ。ただ、実際には1602mのコルまでのハイマツは背が低く、比較的歩きやすい。1807mの頂上で初めて携帯電話(FOMA)が使える。メールで現在地を伝える。

 (これ以降、コイカクシュサツナイ岳までの間のいずれのピークでも携帯は電波を捉えている。ただ、通話は空模様によるようで、メールならいつかは発信あるいは受信してくれていた。) 


1640m ハイマツ濃い


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