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エサオマントッタベツ岳~カムイエクウチカウシ山/テント泊縦走
2014/ 7/25~29
(2日目)


 2014/ 7/26(土) 


札内JPからカムイエクウチカウシ山を望む

 ヤマテンの予報では、今日は午前中まではなんとか持つようである。行けるものならナメワッカ分岐、春別岳、1917mを越えて1732mのテント場まで行きたい。しかし、順調に行って10時間~12時間の行程である。早朝、テントを出てみると東の空が明るい。しかし、太陽は曇りの空で、見えない。テントを片付けていると稜線の視界も開けてくる。札内JPに出て、カムイエクウチカウシ山方向へ向かって稜線を進む。


今だけの平和

 札内JPからの下り斜面は、草付きに岩が混じった戸蔦別岳南斜面と同じような様相を呈している。つまり快適であるという意味であるが、ある程度下りるとハイマツ帯に突入する。しかし、まだ昔の踏み跡がハイマツの下に隠れているので、向う脛をハイマツの枝に打ちつけながら踏み跡を探って進む。このときに重要なのが武道用のすね当てを着用することである。このすね当ては、いかなることがあっても1日目の記録で紹介した「D&M すね シンプロテクターブラック647」でなければならない。①着用感がいい②ずれない③あおたんをしっかり防ぐ・・・と言ったいずれも大事な効果が顕著にみられる。一度向う脛に作ったあおたんは、次にハイマツの枝に打ち付けた時の傷みは耐え難いものがあるし、歩行速度にも大きく影響してくる。


谷底まで花花花

 このハイマツ帯は稜線の日高側を進んでいくが、途中十勝側を見ると稜線のハイマツが切れているところがあるが、踏み跡はそのまま日高側に続いている。さらに進むと稜線を乗っ越し十勝側のお花畑に付けられた踏み跡を辿る。この稜線を乗っ越すところのハイマツは、篤志家によって数年前に通りやすいように枝が処理されている。(このルートを歩いたことのあるどなたかのネット上の記録にも書かれていたが、適度、適切、節度のあるハイマツの処理はあって然るべきである。歩行が極めて困難であるばかりでなく、お花畑ではハイマツの枝が著しく伸長し、踏み跡がすっかり隠れてしまって道が消え、お花をあちこち踏みながら次の踏み跡を探さなければならなくなっている。そんなところは、ヒグマの掘り返しがものすごいので、年に10人程度の登山者によって踏まれること自体は、自然の持つ回復力からすれば何の問題となるものではないのは自明ではある。)要は、このルートに入る人は相応の進路確保の貢献があってもいいのではないのかという提議である。


1751mの藪で打ちのめされる

 そのような、あるがままの高山植物のお花畑を過ぎると、ハイマツ、ミヤマハンノキ&背丈ほどある熊笹の強固な藪に突入しなければならなくなる。下の画像のように1751mを過ぎても順調に踏み跡を拾っていたが、踏み跡を見失ってちょっと油断して十勝側斜面を少し下りたら、密生した熊笹に乗ってしまい滑り落ち、一度直登を試みたがあまりにも強固な熊笹に阻まれて戻ることができなかった。そこで、斜面をずり落ちないようにトラバースを試み、意を決して両腕両肩の筋肉を総動員して熊笹をかき分け、熊笹につかまって標高差にして20mほどを登り切ったら、そこに踏み跡があった。2010年の同じところで、同じように踏み跡を見失ったときは、90℃右上に上がってすぐに薄い踏み跡を見つけそこを直進して難なく強固な藪を脱出している。(下の画像のフラッグに向けた青色の矢印がおおよその踏み跡と思われる。 


1751mの様子

 この藪を抜けるのに15分はかかっただろうか。両腕両肩の筋肉は疲労困憊の様相を呈している。しかし、このルートの面倒なところを抜けることができたので、踏み跡に復したのち少し休憩する。1751mの藪を突破したとしても、次に日高側に出てハイマツ帯を漕がなければならない。このようなことは何度も繰り返すことであり、それがこの縦走路の特徴であって、そのようなことが待ち受けていなければ、200名山狙いのカムイエクウチカウシ山を目指す人の格好のルートとなり果てていることだろう。藪がなけれればこのルートの価値は大いに下落してしまう。


1751mを越えて1760mを登る

 1760mには二つのテント場がある。一つはピークにあり、一つはピーク手前にある。手前のものは最近開削されたものだ。その開削の必要はどこにあったのか?①ツアーが入って②ツアーが入るために開削されたと考えるのが妥当だろう。そんなことをしている時間があったら、踏み跡の上に被さった伸び放題のハイマツの枝を処理してくれればいいのにと思う。というより、このルートを商売の対象としてツアーを設定しようとすること自体実現可能性の低いことだと想像できなければ・・・。

 
1760mからナメワッカブキ方向を望む

 1760mからナメワッカ分岐へと進む。最初はアップダウンの少ないハイマツ帯を行く。鞍部に出てナメワッカ分岐へと登り斜面でハイマツと格闘する。なぜか?北側斜面のハイマツの枝は順目ではなく逆目だからである。斜面を登って行くが何度もコブがあって分岐のピークはなかなか近づかない。過去に、かんかん照りの中、ここでへこたれてハイマツの下に潜って涼をとった覚えがある。空を見るとカムイエクウチカウシ山周辺が厚い雲に覆われてきている。今回は天候の変化に最大の注意を払わなければならないので、基本的に短時間の休憩を取るだけで進む。ようやくナメワッカ分岐に近づくと春別岳(1855m)あるいは1791m辺りから先まで雲が押し寄せている。まだ風は吹いていないが、事態は急を要することとなった。

 


ナメワッカ分岐のテント場からナメワッカ分岐を望む

 何はともあれ、テントの設営を急ぐ。雲は春別岳を越えてきている。ようやくテントを張ったと思ったら、ナメワッカ分岐のテント場は強風を伴ったガスで覆われる。ほうほうのていでテントに潜り込むと雨が吹き付けてくる。春別岳に進まなくて本当によかった。バタバタとテントが揺さぶられ、大きなジョウロで水を掛けられるような雨がテントを叩く。入山する前日のヤマテンは25日午前、26日午後の強風を、夕方からの降雨の予報を配信したが、半日悪天候が早まった。雨の中一度小用に出たほかは、外に出ることはかなわずテントの中に閉じ込められた。行程管理人には「雨でナメワッカ分岐にテントを張った。今日は最高に辛かった。」とメールを入れる。 


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