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谷川岳/肩の小屋と「ぶなの会」


厳冬の谷川岳 肩の小屋



天神尾根から谷川岳

 「労山」(ろうさん)とは日本勤労者山岳連盟の略称で、下部組織として東京都勤労者山岳連盟とか○○県勤労者山岳連盟、あるいは○○勤労者山岳会と名乗っているものがあります。地方組織の山岳会は、たとえば「○○労山の会員数は約150名の大所帯。男女の比率も約半分ずつ(最近は元気な女性のほうが多いかも。。。)、年齢も20代から60代まで幅広く楽しい仲間がいっぱいです」などと、加入を促していますが・・・。



トマノ耳からオキノ耳

 「谷川岳 肩の小屋」で検索すると、ヒットした45,000件の2番目に「谷川岳/肩の小屋」と題する投稿記事がありました。内容はというと
       ぶなの会・岡村です。初めて投稿します。 そんなの知ってるよと言われそうですが、いつからこういう
       風になったのでしょうか。
       先週末、谷川岳に行って驚きました。肩の小屋にはいると、「アイゼンをとれ。靴を脱げ。」とあります。
       内部は立派なペンション風に改造されていました。冬用に開放された避難小屋で、アイゼン、靴を脱げ
       というのは、世界中でここだけかと思われます。
書かれていて、世の中には理解しがたい、いろんな考え方の人がいるものだなと感じ入ったものでした。

 ぶなの会は、日本勤労者山岳連盟の下部組織である東京都勤労者山岳連盟に所属する山岳会で、そのホープページによると「沢登り、クライミング、雪稜、山スキーからキノコ狩り、温泉ハイクまで。ぶなの会は、ロープを使ったバリエーション登山を主体としたオールラウンドに活動する総合山岳会」とうことから、ベテランぞろいの山岳会でしょう。



天神尾根から肩の小屋へ

 その「ぶなの会」会員の書き込みに対して、他の山岳会員が「常識として、小屋に入る前は アイゼンは取るし、小屋の中(土間以外の床の上と言う意味)では靴を脱ぐものなのではな いのでしょうか?それが出来ない登山者が多くて小屋の傷みが激しいので、敢えて注意書き がしてあると思いますが。」と、子供でも分かるような常識的なことを書いていますが、「岡村」さんはなおも、「天気もさほど悪くはなく、たくさんの人が登っていました。肩の小屋に着く時間は、集中します。あとで聞くと、入れなかったパーティーもあったようです。 入り口は扉が二重になっていて、はじめのドアと二番目のドアの間に五.六人は立っていることができま す。二番目のドアと階段の上がりがまちの間にやはり同じくらいのスペースがあります。でも、荷物があ れば当然狭くなります。階段の上がりがまちは、アイゼンを外す、靴を脱ぐ人が二人いたら通れません。 そこから上は美しい総檜のような板張りで、とてもアイゼンでずかずかという勇気は持てません。 吹雪から逃れてようやくたどり着いたという状況を考えると、『避難小屋』にふさわしいとはとうてい思 えません。 管理していた人の責任を問うつもりはありません。私も谷川岳を深く愛する一人だと思っています。だか らこそがっかりする、ということです。 」と混乱した話で反論しています。天気もさほど悪くなかった」というのと「吹雪から逃れてようやくたどり着た」という状況は相矛盾するのですが、それは稜線までは吹雪いていたが、小屋に着いころには天気は良かったということにしておきましょう。



オジカ沢ノ頭から肩の小屋へ

 これに対し、「ちょっと驚いた投稿なので失礼ながらご意見述べさせて頂きます。 肩の小屋に限らず、緊急を要しやむを得ない事情のある場合は別として小屋ではやは りアイゼンは脱ぐのが常識と判断しています。(略) その時大組織の○○系の山の会のメンバー 7〜8人がアイゼンをつけたままドカドカと小屋に入り込み、回りを唖然とさせまし た。我々パーティの1人がそのメンバーのリーダーらしき人物にアイゼンを脱ぐ よう注意した所、凄い勢いで睨まれ、我々パーティと一触即発の状態になりました。(略)今回はアイゼンと小屋の問題でしたが、このようなご意見が出ると言う事に驚くとと もに、最近山岳界のものの見方、考え方、常識等が変わってしまったのかと思うほど 非常に驚きを持って読ませていただきました。冬の山を長く楽しませてもらった 我々には信じられない思いです。 」との個人からの意見で掲示版は収束しています。



谷川岳馬蹄形縦走の途中で 朝日岳

 酉谷山避難小屋での「目白山岳会」の様子に見られるように、人は集団を組むとエゴをむき出しにするように見受けられますが、このどちらも労山に加入していることの共通性から、労山という組織についてチェックすると
      「東京都勤労者山岳連盟は日本勤労者山岳連盟(労山)の地域組織ですが、労山は共産党の党派色が極めて濃い
      組織で、反戦運動なんぞもやってます。学生による山の清掃活動を「戦前の軍国主義を思わせる学徒動員」と言う程
      度の組織・・・」
を初めてとする記事によって、山が登山者の糞尿や投げ捨てられたペーパーのほか、政治・思想で汚染されている実態の一端を知るきっかけとなったのは、谷川岳で雪洞を掘って泊まってこようと計画したことからでした。今さらながら、北の地と晴れの国に勤務中に山岳会に入ろうと思ってのぞき、変な感じがするので踵を返したことを思い起こすと、嗅覚がマヒしていなかったことに今さらながら安堵を覚えのでした。



ニペソツ山 カムイエクウチカウシ山 塩見岳 聖岳 そしてこの山

 谷川岳肩の小屋は、管理人が駐在しない冬期間は建物の半分が避難小屋として開放されています。小屋は風衝地帯に建てられていますが、雪が入口が雪で塞がれることや小屋が覆われることもあり、小屋の外壁にスコップが備えられてはいるものの、スコップ自体を取り出せないことも考えられるので、自前の物を用意する必要があります。
 冬期に開放されるスペースは、扉から続く板の間〜上り框〜階段〜休憩・宿泊のための部屋となっていますが、トイレは閉鎖されています。「2009年4月の早朝、肩の小屋からトイレのために外に出た男性が、ホワイトアウトの状況で戻れず行方不明となり、午後に小屋から150mほど離れた場所で沼田警察署救助隊や同行のメンバーの捜索により、雪洞を掘って避難していたところを無事救出されたことがあった」などの笑えない話もあり、良識ある避難小屋の利用と細心の準備で楽しい冬の谷川岳を楽しみたいものです。


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