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北岳〜農鳥岳・テント泊(1日目)
2019/ 7/24〜26


[1日目]
2019/ 7/24(水)
[コース・タイム]
芦安〜広河原06:36〜13:11肩ノ小屋〜13:56北岳頂上〜北岳南東斜面〜15:09北岳山荘(テント泊)


広河原から見る北岳

これまで北岳には20回以上登っているが、肩の筋肉を切って入院したことなどで、ここ2年ほどはさっぱりご無沙汰している。北岳は富士山に次ぐ高い山であり、ここをテント装備で1日で登るのは体力の回復ばかりか、万が一転倒するなどして細い糸で骨と筋肉をつないでいる手術糸が万が一切れてしまえば、再手術となることも、自重していた理由だ。


広河原山荘先の山道

今回の日程は2泊3日なので、1日目に白根御池小屋でテントを張ろうと考えていた。2日目に北岳に登ることでゆっくりとした歩きが楽しめて楽ちんとというもの。しかし、それではあまりにも楽すぎるし、現時点で山の体力がどのくらいあるのかもつかめない。


大樺沢の流れ

そんなことから、1日目にがんばって北岳山荘まで行ってしまい、そこにテントを張って翌2日日は間ノ岳〜農鳥岳を往復、3日目は可能な限り早出をして北岳で日の出を迎えることにしたのだった。


たった一輪のクロユリ

自宅を前日の午後9時に発ち、一路下道を芦安に向け走る。芦安に着いたのは、日が変わった翌日の午前1時30分、芦安から広河原向けの始発バスは05時15分なので、身支度を整えるためには午前4時ごろには起きなくてはならない。3時間に足らない睡眠時間には辛いものがある。


シナノキンバイ

ザックにはテント装備のほか、3日間の「飲」・「食」物がしっかり収められている。山での飲食は、軽量化のためにフリーズドライとか乾物などの簡便なものを、あるいは小屋食を頼み、ビールなどは小屋で購入するという手も考えられるが、それはテントを担ぐこともできないような身体条件になったときのことにする。


北岳肩ノ小屋

芦安を出発したタクシーが、いったん夜叉神峠登山口でゲートが開くのを待って野呂川広河原インフォメーションセンターに着くと、そこには大勢の学生が下山して集まっている。芦安からのバスも到着し、広河原はごった返す。朝ご飯を食べている間に、これから登る人はほとんどいなくなってしまった。


北岳山頂

それではと腰を上げ、正面にそびえる雲をまとった北岳を見つつ野呂川に架かるつり橋を渡る。20数回も登っているといまさらながらの感がないでもないが、南アルプスの雰囲気をこれでもかと醸し出す広葉樹林帯を歩いていると、今日もいい山に登るのだという高揚感を覚える。


北岳の南側斜面

雪渓の残る二俣の分岐で大休止する。アイゼンもピッケルも持っては来ていないが、ズルをして大樺沢の雪渓を登って八本歯ノコルに出てしまおうか、愚直に小太郎尾根分岐まで登って肩ノ小屋経由で行こうかと考える。今年の大樺沢の雪渓上には大きな岩がたくさん見える。つい最近、2人が滑り落ちてきた岩に当たっている。君子危うきに近寄らず!


北岳南東斜面と北岳山荘

二俣から小太郎尾根分岐までの間は、北岳南東斜面に次ぐ高山植物の宝庫だったが、鹿の食害で壊滅的な被害を受けてしまい、今あるのは食圧で矮小化した花が僅かに残っているだけとなっている。かつては、キバナノアツモリソウはないか、間違ってホテイアツモリソウは見られないかと歩いたこともあるが、今やクロユリを見ることも困難になっている。そのクロユリを、今年は幸運にも1輪見ることができた。


北岳山荘

肩ノ小屋で小休止する。小屋のトイレは相変わらずなのだろうが、公衆トイレが設置されていて、これなら肩ノ小屋での幕営もありかなとは思うが、塩素臭の強い水がネックとなる。南アルプスの天然水ならぬ塩素入りの天水ではあるが、水をもって上がれない人にとっては貴重なものとなる。(1リットルが100円)
それに比べると北岳山荘は湧水をポンプアップしていて、幕営料においしい水の代金も含まれている。(山の水事情についてはが参考になる)


北岳山荘

北岳の頂上で一休みし、南側斜面を下りる。すでにキタダケソウの時期は過ぎているが、北岳南東斜面のお花畑を見ないわけにはいかない。八本歯ノコルへの急斜面を下りて南東斜面に取付く。もう花の時期は過ぎていてこれと言ってみるべき花はない。

北岳山荘には20張りほどのテントが張られていて、その後もテントが増えていく。北アルプスでも南アルプスでも隣国からの登山者がいるものだが、今年は関係悪化で排日運動が激しいのでうるさい連中はいないはずなのに、アサヒビールの缶を並べてテントで酒盛りをしていた。

運んできた肉を焼こうと包装を解くと腐敗臭が漂う。やはり生肉は無理か。ウェルダンにすればセーフかと食すが、胃腸に変化はなかった。生ぬるい泡も、菊水も、疲れた体には「命の水」であった。



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