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                 ヒョウが降って今季のフクジュソウは終えん?
                               2008/ 3/25              


 3月25日(火) [花園の気温17℃]

 間もなく使えなくなる秩父バスの西武秩父駅入口バス停の前のお宅の庭にスミレが、たくさん紫の花を付けていて、山シャクナゲの蕾も膨らんでいるなぁ、などと思いながらバスが来るのを待っていると、ごみ出しに出てきた奥様が「おはようございます。山ですか。」と声を掛けてくれる。「ええ、浦山大日堂から山に登ります。」と返事をすると、親しみの籠められた話し方で「大日様から登るんですか。」とおっしゃる。快晴の日の穏やかな秩父の山登りの朝が始まる。 

 駅前から乗ったバスにはいつものように他に乗客はなく、淡々と終点の浦山大日堂へと向かっていく。バスからはご夫婦が山スタイルで歩いて行くのが見えるが、たぶん行き先は同じ・・・。大日堂のそばを流れる川沿いにアブラチャンが黄色い花を咲かせている。すっきりとした青空が広がり、心も体も軽やかだ。ただ、この日のためにと持参した一眼レフのカメラとニコンに点検に出して内部のほこりの清掃を済ませたマクロレンズ、三脚が重い。

 作業小屋が見える山道で休憩中の先行のお二人に追い付く。声をお掛けすると行き先は同じ、初めて登られるとのこと。今の快晴の天気は午後まで持たないとの予報なので、先を急ぐ。すっかり踏み固められた斜面の山道、太陽が差し込んで明るくなった沢沿いをどんどん登る。11時前には花園に着く。誰もいない花園に満開のフクジュソウが待っている。

 しばらくするとお二人も登ってきて、デジカメでフクジュソウを撮影する。周縁から上部に行き大樹の周りのフクジュソウを写していると、下からおいしそうなお昼ご飯の匂いが上がってくる。あちこち動き回るでもなく、花に囲まれた休憩スペースでの食事は、なんて贅沢な時間の過ごし方なのだろう。こちらとは言えば、用意した簡素なお昼にも手を出さず、写真ばかり・・・なのだ。

 あっという間に贅沢で幸せな時間が過ぎてしまった。あれほど晴れていた空も雲ってきて、気温も急に下がってくる。お二人に声を掛けて下山を急ぐ。今日のように晴れればフクジュソウはほどなく終えんを迎えることとなるだろう。また、来年を楽しみにしよう。下山の崩壊地斜面にポツリポツリと咲くタチツボスミレは、適期を過ぎようとしている。

 いつものように西武秩父駅でアルコールを買って、発車間近の電車に飛び乗って熟睡した。目を覚ますとまだ西吾野のホームだった。空は暗く、ヒョウがばらばらと落ちてくる。またひと寝入りし、どこかで反対側の電車に乗り換えたところ、方向違いの新宿行きだった。夕方の通勤客で混雑が始まろうとする山手線高田馬場駅で帰宅路を修正した。ラジオは埼玉の山間部でのヒョウが午後5時過ぎまで続いたと言っているから、大ドッケでも相当ヒョウが降って花が痛んでしまったことだろう。もう今年はこれで終わってしまったのかもしれない。
 
[付記]
 今年の3月18日のときに、本来の沢筋の入口に2本しか付けられていなかった赤テープが、今回は楽園までの至るところにくくり付けられていた。本筋に入ってしまえば間違えようのない楽園に向かう沢にピンクや真っ赤なテープがこれでもかと言うほどぶら下がっているから、これで誰でもが間違いなく行けることになった(?)。


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