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酉谷山避難小屋から大ドッケ
2010/ 4/1〜2


 2日目 (4月1日・木) 

 湯たんぽの助けもあって、暖かで極楽の睡眠時間が過ぎてゆく。吹き付ける風が小屋をガタガタ言わす。まだ夜の12時。3時ごろには起きて周りが明るくなったら出発しようと考えたが、目を覚めるともう5時を過ぎている。雨が窓ガラスを濡らしている。承知の上とは言え、雨の中藪を漕ぐ覚悟を決める。雨対策をしっかりとして小屋を後にする。

 七跳山へ登り、大平山へと向かう。ここは2月に来たときには熊の足跡がたくさんあったところだ。日高の山で使う特大の熊鈴を鳴らして進む。大クビレで天目山林道を交わり大平山に着く。天気が回復すれば秘密の花園にいったん下ってから稜線に戻り、峠ノ尾根を細久保集落に出るつもりだ。1340m付近から秘密の花園へ向け滑り落ちるように下る。秘密の花園のフクジュソウたちはもう間もなく花期を終えようとしている。相変わらず雨が降っているが、どうにか数枚を撮る。たかが200m弱の下っただけ、また稜線に出ようと斜面を見上げる。しかし、もう登り返す気力が湧かない。

 降りつける雨で、下着も登山靴の中も、ゴアッテックスの防寒手袋もびしょ濡れとなっている。体が冷えて体温の再生産は効かなくなってきた。我慢に我慢を重ね川俣の集落を目指し、苔で滑りやすい沢を下る。どうにか集落に出ると雨も止んできた。外に出ているおじいさんが「こんなに早く下りて来て、どこに行っていた。」と聞くので、酉谷山から下りて来てフクジュソウを見てきたと言う。おじいさんは川俣に住んでいながら足が悪くて、これまで一度もフクジュソウを見に行ったことがないとのことであった。「フクジュソウはきれいでしたよ。」


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