[HOME][1日目][酉谷山避難小屋訪問記録一覧] 

 秘密の花園 大ドッケのフクジュソウ群落地
2011/ 4/ 1〜2


大ドッケのフクジュソウは2011年も健在でした。

大ドッケのフクジュソウ群落地の全記録をこちらに取りまとめています。


  4月 2日(土) 2日目  

 きのうは矢岳から酉谷山避難小屋まで歩きました。避難小屋には4人も泊まったことと炊事で使ったガスの熱で小屋の中もだいぶ温まったこともあるし、里の気温が15℃ほどにもなったことからでしょうか、ずいぶんと暑いおもいをして一晩を過ごしました。それでも途中ではっきりと目を覚ましたのは一度だけで、10時間も寝てしまったことになります。今日は大ドッケのフクジュソウを見るために、七跳山から大平山へ抜けることにしています。バスの便のある浦山大日堂での乗車時間に合わせ、避難小屋の出発はゆっくり7時過ぎとしました。


大ドッケのフクジュソウは本当にまばらになってしまいました。

 たった1週間前の長沢背稜の朝の寒さはまだ冬の感じが残っていて、しっかりと防寒して歩きましたが、今日はロングのTシャツと夏用の長袖のシャツだけでも暑くてたまりません。そういえば、朝の避難小屋の外にあった寒暖計が+7℃であったことから、春は一挙に近づいているのでしょうね。そうなると楽しみは大ドッケのフクジュソウです。きっと満開で待っていてくれることでしょう。


パラボラをいっぱいに広げたフクジュソウたち

 もう、長沢背稜の登山道に雪は多くありません。しかし、日陰となるところはアイスバーンとなっていて、アイゼンなしではツルッと滑るし、下手すると落ちてしまうので気を抜いてはいけません。登山道から七跳山頂上への道は吹き溜まりが残っていますが、固い雪で歩きずらいことはありません。この時期に七跳山に登る人もいないようで、雪に足跡は残されていません。 


別なところに目を転ずればまだまだ咲き出したばかりのフクジュソウを見ることができました

  七跳山の頂上から天目山林道が交わる大クビレへ向かいます。ここの北斜面はまだ雪が多く、傾斜も適度なので矢岳から立橋山のような危険を感じることはありません。大クビレから大平山への道は、5月になるとシロヤシオツツジで覆われるところです。標高1603mもあるところですが、陽ざしを浴びて暖かい頂上でいったん休憩します。大ドッケの方向から大平山の頂上までの足跡が複数ありました。矢岳でもそうですが、マニアという者はこのようなところにも出没しているものですね。大ネド尾根の分岐からさらにフクジュソウ群落地への下降点へと進みます。そこからはひどい藪の中を下りるのですが、のぼりの時と違ってスズタケはそれほど苦になりません。


うららかな陽光を浴びたフクジュソウたちにたくさんのミツバチが集まってきていました

 スズタケの藪は下るにしたがって薄くなりますが、傾斜は角度を増すし地面は凍っているのでツルッとやらないように注意します。もうこれ以上はダメかなというところまで下りてから右側の広いで凹沢をジグザグに歩きます。するとだんだんと秘密の花園が近づいてきて、その場所だけが黄色に霞んでいます。しかし、感激や感動はありません。毎年この群落地は花の密度が減ってきていて今年はそれが顕著です。足元を見ると以前のような幼苗が本当に少なくなっているのです。踏み荒らしも進んでその周囲はすっかり禿地になっていますが、それは大きな要因とは思われません。近年は夏の異常な高温が続いているので、そのようなことが関係しているのでしょうか。

  
もう少し夏の気温が下がってくれればもとの群落地に戻るのでしょうか

 東日本大震災の影響で、山歩きにも自粛ムードが漂っています。今年はここを訪れる人も少ないことでしょう。そんなことを思っていると、下から大きな声が聞こえてきます。大きなグループだろうなと思っていると、お見になったのは女性2人でした。1週間前に道を誤って時間切れになっての再チャレンジとのことでした。登りに苦労すると下りは簡単に思うかもしれません。燃料不足により運休となっていた秩父駅前〜浦山大日堂間運行の路線バス「ぬくもり号」の運行が再開されました。このバスの発車時刻の14:00に間に合わせるには、ある程度余裕を見なければなりません。このお2人も同じバスに乗る予定でしたが、急な斜面の沢の下りに手こずったのでしょう。ゆけむり号の乗客は自分ひとりでした。


[HOME][1日目][酉谷山避難小屋訪問記録一覧]