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1967峰~北戸蔦別岳 (2014)
(2日目の1)
2014/ 5/23~24


戸蔦別岳と幌尻岳 右の斜面は北戸蔦別岳からのもの


 5月24日(土) 2日目  

 


右に1911m 左に1967峰

 ザックの軽量化とは言っても、欠くことのできないものは日本酒である。いつものハクレイを持ってくるわけには(鮮度保持の観点から)いかなかった。妥協して地域の酒を持ってきたが失敗であった。いい山にはいい酒が必要だ。簡便な食事を済まして横になるともう別世界に行っていた。
 午前3時過ぎにはもう空が白みかけている。シリアルとスキムミルクの簡単な朝食の後、テントを撤収し5時前に出発する。計画ではピパイロ岳~1911mの間は陽が登ってツクモグサがその花弁を開く時間に通る予定であった。この時期にツクモグサが花開くとの確信はない(いつもは6月の初旬にしか見ていない)が、ただこの時期にツクモグサの花を見に来るという酔狂な登山者がこれまでいなかっただけの話ではないのか。


1911mへの稜線

 そのような危惧に反して、ツクモグサは早朝のまだ陽の当たらない斜面で黄色い蕾を見せている。これなら2日後の帰路には(天気がよければの話)パッと咲いて私を迎えてくれるだろう(との甘い認識)鋭い稜線や稜線を巻いた踏み跡を辿って1967峰に向かう。1967峰の雪がたっぷり着いた急斜面は(アイゼンのない者には)とにかく手強かった。気を抜くと50~100mは簡単に落ちてしまう(はず)。キバナシャクナゲが咲いているかなという淡い期待ははずれたが、円満に1967峰の頂上に着く。1967峰からのチロロ岳、その奥に十勝連峰、大雪の山々。堪えられない北の山脈(やまなみ)・・・。


エサオマントッタベツ岳(中央左奥)とその右奥にカムイエクウチカウシ山

 羽田空港からとかち帯広空港に近づくと、日高の山脈が見えて来た。天気予報どおりに、日高側からの雲が日高山脈に当たるが、それが十勝側からの風に抵抗されて尾根を越えられないように見えた。週末金曜日の混雑したレンタカーの受付で時間を要した。いったん中札内村に行って森田商店の様子を確認する。セイコーマートでマッチや当座の食料を買う。ここではガスカートリッジは取り扱っていないとのことだった。


ノーアイゼンで1967峰の急斜面を登る 中央に戸蔦別岳 奥に幌尻岳

 55号線を清川の集落を抜けて、まず美生ダム方向へ向けて走る。55号線が清水町に向けて急カーブを切るところの電柱に「伏美岳」の案内板があり、以降要所要所にこの案内板が付けられている。この案内板に従って最後はダートの林道に入る。ℓくねくねとした林道を快調に車を走らせ、伏美小屋(伏美岳登山者救護所)に着く。小屋の流しで3日分の水を得ようとしたが、沢からのホースがまだセットされていなかった。流し脇に近場の沢に導く踏み跡がある。4リットル汲むがどうしてもゴミがたくさん入ってしまう。小屋から登山口に車を進める。国有林の入山届にはこの日、3組13人の入山が記されていた。平日の北の山の入山者数としてはすごいことだ(と思う)。(登山届は、あらかじめ帯広警察署に郵送しておいた。)


チロロ岳 奥に十勝岳 右奥に大雪山

 今回は、できる限りの軽量化をするということで、不要不急と思われるものは持ってこなかった。アイゼンも・・・。特に北海道の残雪期を意識して持参したのはイアーバンドとゴアテックスのグローブだけである。レインウェアーは夏用のと言っても、ゴアテックスであることは当然として、薄く軽量なもの(ただし、ハイマツ帯で使うことは破損を覚悟する必要がある)。食料もすべてフリーズドライとシリアルが主体。ただし、トマトと梅干は必携。なので登山口から一気に1,000mほどの、そして半分以上は雪が斜面を負おうと言う丸い足場、というよりいったん滑ったら遮るもののない急斜面だが、背中が軽いと言うことはこんなに快適なのかというほどの調子で登って行く。


1910mから見た1925m(左) 伏美岳と右端に1856m 正面奥に幌尻岳

 1967峰からは1900m内外の(岩場が多いが)うれしい?稜線歩きとなる。1910mで三ノ沢の水場を探そうと心に決めてきたが、その斜面を見てあっさりその望みを放棄した。
  ① まだ水は3リットル近くある
  ② この斜面を標高1720m辺りまで200mも下りるのは辛い
  ③ なにより必要ならもっと水を担ぎ上げればいいこと
  ④ 七ッ沼でもある時期までは綺麗な水が採れる
  ⑤ 担げない、でも七ッ沼のたまり水でもというのならハンディの浄水器を持っていくという手もある
    (10月でもほんの少し水はしみだすように流れているはず)


戸蔦別カールを従えた戸蔦別岳 奥に幌尻岳

 1910m、三ノ沢の水場の探索を諦めて先に進む。雪庇とハイマツが延々と稜線を分けている。雪庇ではまだツボ足でも踏み抜きは少なく快適なものの雪庇が途切れると十勝側は急斜面となっていることからハイマツ帯に逃げなければならない。しかし、夏道がないところはハイマツのブッシュとなっているところが多い。そんなことをしているとき、雪庇に人の足跡を見てホッとしかけたものの、その足跡はとんでもない大きさであろうヒグマのものであった。


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