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山肌を覆うニリンソウ 大展望の両神山
2008/ 5/ 6



両神山頂上とムラサキヤシオツツジ

 2008年5月6日(火)快晴 
   秩父の奥深くにあって、なかなか行く機会がなかった両神山を日帰りで八丁峠から登ろうと志賀坂峠へと向かった。あろうことか、志賀坂峠から八丁峠への道は崩落のため通行止めとなっている。ここまでで既に3時間運転していて、時刻は午前8時30分、これから場所を変えて登るのも大変である。途中見かけた二子山にでも登ってお茶を濁そうかなとも思ったが、次にいつ両神山を登ることができるかの確約もないので、小鹿野町に戻って日向大谷に向かった。ここは、両神山を登るポピュラーなコース、清滝コースの登山口である。午前9時半近くに着いた駐車場はほぼ満車であった。日向大谷から見える一位ガワタから辺見岳の稜線がツツジのピンク色で染まっているのがはっきりと認められる。


 両神山の登山口は、民宿のある高台にある。サクラソウの一種と思われるたぶん園芸種であろうピンクの花を見ながら登山口に着いて、駐車場を俯瞰すると、我が愛車のハッチバックが開いたままになっている。なんと間の抜けたことだろうと、いったん降りてまた登り返す。
気を取り直して山道を清滝小屋を目指し進む。七滝沢コース分岐を過ぎ、新緑の美しい沢筋の登山道を黙々と進む。登山道脇にニリンソウが見え始め、さらに進むとシソ科の紫の花を付けた植物が群生している。とりあえず画像に納めるが、画像の整理の際、ありふれた植物だろうと画像を消してしまった。田中澄江の「新・花の百名山」で両神山の項を読み返してみると、この花が、田中澄江が両神山で見たかった花のヒイラギソウであって、おまけに絶滅危惧種だという。田中澄江は、花の咲かない10月に登って1本しか見かけなかったと書いている。

両神山頂上 頂上から登ってきた山並を見る

 新緑は、どの山で見ても清清しいのだろうが、分岐の「会所」から「弘法の井戸」までの沢筋の新緑の美しさは際立っている。特に今日6日は、早朝に強風が吹いて快晴となったことから、空の青さも関係しているのだろうが、まったく疲れを感じさせない心地よさである。また、山肌をこれでもかと覆うニリンソウの大群落も驚きの一つである。日高の井寒台森林公園のニリンソウも、シラネアオイやエゾオオサクラソウ、カタクリ、エゾエンゴサクなどを従えて遊歩道を埋め尽くしていたが、ここ両神山のニリンソウの規模は物がまったく違う。ただ、残念なことは、ピンクのテープがこれでもかというほど木々の枝にくくりつけられていることである。日本百名山の両神山でも最も一般的なコースで、迷うことが難しいほど踏む付けられた登山道に、整備された標識があるにもかかわらず、ヒラヒラ、ヒラヒラ、ヒラヒラと100mも行かないうちに次のテープが現れる、よくもここまで付けることができたなというほどに。新緑の木々の間から見えるのはツツジのピンクの花びらだけで十分なんだが・・・。

頂上からの展望

 弘法の井戸で清水を飲んだ後、程なくして清滝小屋に着く。小屋裏を登ると程なくして産泰尾根に取り付き、七滝沢コースとの分岐に出合う。ここからはわりと平坦で快適な尾根道となって、最後にひと登りすると両神神社に出る。さらに進んで露岩を登り詰めると両神山の頂上にぽっと出て、不思議なヤシオツツジが迎えてくれるのである。頂上からの眺めは360度広がっていて、武甲山が間近に見えるし、雲取山や甲武信岳だろうか、山ひだに雪を抱いて聳えている。

武甲山 両神の尾根

 頂上から少し下がって豪快な眺めを堪能しながら昼食をとった後、連休最終日の道路の混雑を気にして、一切の休憩なしに一気に登山口まで下り切る。芝桜見物の車の渋滞を抜け秩父の山道に入っても車は多いが、途中から関越自動車道に乗って結局3時間で我が家に着いた。車の運転7時間、山歩き6時間とは、なかなかハードな一日であった。


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