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茶臼小屋から光岳を往復する
2014/10/17〜20


夜明け前の富士


 10月18日(土) 


聖岳

 夜の帳が下りてそう時間が経たないうちにシュラフに潜り込みぐっすり寝たから、夜半に一度目が覚めてしまった。今日は光岳を所要時間を9〜10時間と見て往復する。出発時間は5時ごろとしていたので、もう一度寝入る必要がある。あと5時間・・・。午前4時に目を覚ますと、反対側の板の間を使っていた人たちが身支度をしている。


光小屋

 朝食を済ませ、ヘッドライトで登山道を照らしながら稜線を目指す。稜線に出ると西からの冷たい風が吹き付けてくる。足元には前日の霧氷が残っている。1枚着込んで茶臼岳へと登る。富士山が徐々にシルエットを明確にしてくる。目を聖岳、中央アルプスに転ずると、噴煙を上げている御嶽山が目に入る。茶臼岳の頂を越えてガレ場を下ると御来光となる。

 仁田池は凍ってはいなかった。木道が霜で滑りやすくなっている。時おり木道を外さなければスリップして転倒する恐れがある。希望峰がもうすぐというところで聖岳が雲海に浮かんでいるのが見える。台風が襲来してこなければこの山を登るつもりでいた。大きな山だ。


光小屋と富士

 疎林が頂上標識を覆っている希望峰を後に、易老岳までの単調な登山道をただただ歩く。展望もきかない。易老岳頂上も貧相な樹林に覆われている。易老渡からの道を分け三吉ガレに出て西側の展望を得る。風倒木があるところを2度ほど過ぎて三吉平に着く。これからのガレ場の長い登りに備えて、太い筋肉のストレッチを十分に行う。あとは、休むことなく我慢してこのガレ場を静高平まで登り詰める。


光小屋から イザルヶ岳

 静高平の水場は順調な流れがあった。イザルヶ岳に分ける標識に出合うと光小屋がその先に見える。木道を進む。光小屋の手入れの行き届いたテント場を過ぎるとすぐそこに光小屋がある。小屋をやり過ごして光岳頂上に向かう。

 光岳の頂上、展望台で深南部の山々を眺める。光岩は割愛し光小屋へと戻る。光小屋の冬季小屋をお借りして長い休憩を取ることとする。バーナーで沸かした湯で淹れた紅茶をいただく。人心地がついたところで茶臼小屋に戻ることとする。


センジヶ原

 光小屋からの帰路はただただ、ひたすら歩くだけで何の楽しみもない。コースタイムは約6時間もある。ただひたすら歩いたおかげで、途中で筋力と気力が減衰してきた。こんなにやる気(歩く気)がなくなるものだろうか。皆から遅れることしばし。


仁田池と右上に光る木道

 大きなザックを背負った人たちが光小屋を目指している。3回目の光岳、光小屋だったが、単にここを往復するだけで満足とはいかない。やはり一度はこの小屋に泊まるか、テントを張って一夜を過ごさないと・・・。雪が降り始めるころにもう一度来てみよう。その時の行程は、などと夢に浸っているとどうにか茶臼岳の頂上に出る。あ〜、ここまでくれば茶臼小屋まではひと歩きだ。


茶臼小屋

 小屋に戻ると、源頭の水で冷やしてくれていたビールと日本酒が待っていた。疲れた体をいたわってくれるものはこれなんだよな〜。旨いな〜。こんなことは若いときにはしみじみとは感じなかった。沼平のゲートを守るおじさんには、「山ではウイスキーだよ。それを割って飲むんだ。」と言われた。でも、麹の香りがほのかに残る日本酒は、ザックに忍ばせるには重くても、どんな山に行くにもなくてはならないものとなってしまった。

 今夜は食事当番。タンパク質たっぷり、野菜たっぷりのハムステーキなどで明日のエネルギーを蓄える。たったこれ程度の食事ながら、自分で担ぎ上げた食材で作る食事は最高のごちそうである。「いままでの長い登山経験でこのような内容の食事を見たことがない。」というような声を周囲からいただいた。


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