[ HOME ] [ 1日目 ] [ 2日目 ]


茶臼小屋から畑薙大橋へと下る
2014/10/17〜19


茶臼小屋から 黎明


 10月19日(日)


早朝の茶臼小屋

 昨晩も素晴らしい星空だったらしい。そんなことも知らずに長い時間寝てしまった。光岳往復の疲れと、心地よいお酒の酔いは心地よい睡眠を促進してくれた。予定では、午前6時に出発であったが、あまりにも静かで平和な朝にすっかり魅了されて、ついつい滞留の時間が延びていく。こんな時期でも5張もあったテントが朝陽を浴びている。小屋は輝かしいほど光っている。


富士

 今朝も贅沢三昧の朝食となる。山でのたっぷりの野菜は、スタミナ維持にこれほどのものはない。パッキングを済ませると、冬季小屋内と玄関の掃き掃除をする。さあ、下山するぞと、そのことに気をそらされていて、冬季小屋の使用料入れにチップを入れるのを忘れてしまった。前回の谷川岳登山の際に宿泊した茂倉岳避難小屋のチップについて、同宿者が「これを払う必要があるの?」と言っていたが、この世のどの社会にも(誰にも負担をかけないで)無料で利用できる施設などあり得ようがない。ということで、次回、何とかしよう。(小屋を辞するときにFさんが全員のチップを代表して投入したが、後の会計処理がなされていなかったことが分かった。)


お疲れ様です

 樺段から下がった水呑場の水は、登りのときは散漫になっていて飲みようがなかった。そこで抜かれて放られていたステンレスの樋を差し込み石で奥に打ち付けると、水の流れを拾ってくれた。3日経つとすっかり水の濁りもなく、順調に樋から流れ出ている。横窪沢小屋とウソッコ沢小屋の水場が使えない時期には、巨石の下の流れとともに、清らかな水を得ることができる貴重な場所となる。


横窪沢小屋

 今回の登山は、4人パーティ。2日目の茶臼小屋から光岳までと、今日の下りのトップを務める。後続者の息遣いを聞きながらただただ淡々と下る、下る。急斜面を一定程度下りると強めのストレッチで筋肉の緊張を和らげる。プラティパスを使わない人もいるので、こまめな給水タイムを設ける。各休憩ポイントや小屋では休憩を入れる。


横窪峠から上河内岳の裾

 1日目の登りで、横窪沢小屋から樺段に向かって登る途中の水呑場を見ると、水の流れは見られるが樋を伝わることなく飲用できなかったので、水流を得られるようにステンレスの樋を刺し直しておいた。下山時、水呑場の水は順調に流れ出ている。小屋が閉鎖された秋季以降、ウソッコ沢小屋や横窪沢小屋では水は採れない。ウソッコ沢小屋に向かう最後の吊橋脇のパイプからの水の流れ、ウソッコ沢小屋から登った巨石の下からの流れと水呑場の水は、急登にあえぐときでなくても天恵の水である。


畑薙大吊橋

 紅葉に包まれた横窪沢小屋では、あまりにものんびりした。下りるのがもったいないほどのいい雰囲気である。夏山でも北アルプスほどの華やかさはなく、さらに人出のない晩秋の南アルプスは本当にいいなぁ。ストレスフリーである。ウソッコ沢小屋でもう一度休憩を入れたあとは、のんびりモードに終止符を打ち、畑薙大吊橋を目指す。


沼平ゲートへと歩く

 終点の沼平ゲートには、多くの車が停められていた。大吊橋からゲートまでの間で吊橋見学のグループや自転車で「椹島ロッジまで行く。林道崩壊地点は自転車を担ぐ。」という若者たち。幸せな日本の休日の一コマである。
 
 いつもの白樺荘の温泉に入り、3日間の疲れを癒す。食堂で昼食を摂るが、ここの冷蔵ショーケースに何気なく入れられているシイタケの含め煮は絶品であるばかりでなく、(今年は値上げされてはいたが、それでも)驚くほど安い。


[ HOME ] [ 1日目 ] [ 2日目 ]