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三斗小屋温泉で温泉三昧・テント泊
2018/10/17〜18


[2日目]
2018/10/17(木)
三斗小屋温泉・煙草屋〜峠の茶屋跡避難小屋〜峠の茶屋駐車場


朝の露天風呂

夜の露天風呂に入れなかったから、朝起き掛けの風呂に入りに行く。先に入っていた人が出ていき一人きりになった。ほどよい湯加減の温泉は湯あたりすることもなく長風呂となる。下から女性2人が登ってきて、湯船に人がいるのを認めると踵を返していった。
大峠を回って来て宿に泊まったという男性が入ってくる。サラリーマン生活を終えてから農業研修を受け、野菜を作って道の駅やJAに出荷しているそうだ。充分に発酵させた堆肥を惜しみなく使って化学肥料も使いながら健康でおいしいな野菜を作っているとのこと。


露天風呂からの風景

最近、人間というのは猜疑心が強いにも関わらず、ある分野では迷信を迷信とも思わずすっかり信じ込むという過ちを犯す生き物だと思うようになった。有機栽培の野菜信仰然りである。10月1日付けの産経新聞は、モスバーガーで発生した「O121(腸管出血性大腸菌)」による食中毒は肉の過熱不足や野菜の汚染が原因の可能性があると報じ、「牛糞で作られた堆肥の発酵が不十分で菌が残っていたり、牛の排泄物が農場内に流れ込んだりすることで野菜は汚染される」との識者のコメントを載せている。


三斗小屋温泉煙草屋 朝のテント場

また、有機栽培の野菜を信仰することを論破する本は、虫にかじられた野菜は食べるなと言っている。そこから細菌が入り込むという。O157で8人の死者を出した北海道の白菜の浅漬け、500人の集団中毒を出した浜松の場合は冷やしキュウリと野菜が原因で、どちらも洗浄が不十分だった可能性が指摘されている。


テント場からの風景

つまり、おいしく健康な野菜を作るということは、しっかりと発酵さっせて作った堆肥と身元の確かな有機肥料を用いながら、必要なときは最小限の有機JAS法で認められた農薬を使うことだと思う。有機野菜が一番、野菜を育てるのに農薬を使うのはもってのほかという人も少なくないが、それで1億を超える人に野菜を潤沢には供給できない。重篤な病気のみならず風邪を引いたぐらいで薬を飲むのだから、野菜にも時には農薬を使って上げて健康に育てるようにしてあげてもいいのかなと、この農業をやっている人とのお風呂談議で再確認したのだった。(ただ、今現在も虫や土壌細菌と戦いながら無農薬有機栽培を続けているのだけれど。。。)


古の道

夜明けからの露天風呂から宿泊者の朝の御膳の料理の見える渡り廊下を過ぎてテントに戻り、簡素な朝ごはんを摂る。もう古稀が近いというのに衣食住に酒を背負っての山歩きをするということは結構体に負担が掛かるが、山の日の前日も,山から下りた翌日も自分の菜園で存分に土と戯れることができることは、満足感を得られることだ。
そんな思いを持ちながら、テントを撤収し緩い傾斜の登山道を登って行くとやはり徐々に疲れを感じ、山地図の所要時間とはかけ離れたタイムで歩かなければならないことになる。


沼原(ぬまっぱら)への路

ゆっくりとした歩きではあっても午前8時過ぎに出立したから宿に泊まった人が追い越していくことはなく、マイペースでのんびりと自由に歩くことができる。紅葉の盛りはとっくに過ぎているが名残りの紅葉を楽しむ。


延命水

1年の3分の1ほど、避難小屋や冬季小屋のお世話になる愛好家としては、那須岳避難小屋が気になる。ただ、いくら愛好家と言ってもこの山域でお世話になるということは厚顔無恥の部類に属することになってしまう。内部を見聞する。


那須岳避難小屋

休憩であってもほとんど使われることのないだろう那須岳避難小屋は、ゴミが放置されているようなこともなくおおむねきれいな部類にある。東南に窓が多くあって避難小屋に多く感じられる陰気臭さもない。三斗小屋温泉を往復する多くのハイカーが登山道のすぐ脇にあるこの小屋を宿泊に利用するとし尿の問題もあって、非常識な人ねと指を指され兼ねない。


峠の茶屋跡から那須岳避難小屋 隠居倉がそびえる 

那須岳避難小屋までは緩やかな傾斜だったが、そこからは少し傾斜が出てきて、無心で歩くと峠の茶屋跡避難小屋に出る。平日のお昼前なのにハイカーが何人も小屋周りで休んでいる。午前中に駐車場に戻って栃木の酒屋や農産物販売所を回って帰りたいから、そのまま下りる。途中、小学生の大集団が登ってくる。引率の先生が「下りて来る人に道をあけて。」とこどもたちに言うが、登り優先でやってもらう。はにかんだ顔のこどもが「おはようございます。」と声を出すと、ほかのこどもたちもあいさつを交わしてくれる。


峠の茶屋跡避難小屋

下山後の峠の茶屋駐車場は障害者分のスペースを除き1台の余裕もないほどで、次々と車が登ってきてはあきらめて出て行く。
那須湯本温泉の街に入る前に地酒の看板の月井商店が目に入った。酒屋としての風格の感じられる店で、店内に入ると冷蔵庫に入れられている酒の種類と量に圧倒される。


朝日岳

好みとしては白相酒造の「栃茜」だが在庫がなく、辻全米商店の普通酒「桜川 プレミアムS」と飯沼銘醸の特別純米酒「姿」を買い求める。鳳凰美田や仙?の生は、旅の予算の関係上今回はお預けということになった。
過去に飲んだ栃茜の「生酒」のインプレッションは印象的だったのでご参考に!。


峰の茶屋駐車場

お酒の後は農産物直売所へと向かう。栃木は梨の産地でもありきれいで玉のそろった「新高」がお安い値段で売られている。そういえば露天風呂でお話しした方は、おいしい野菜をしっかり作って道の駅や販売所に出荷しても年配の人が安い値付けをするからそれに近い値段にしないと売れず収入が上がらないと言っていた。今の農業を支えている多くは高齢者で片手間で野菜を作っているのならそれほどの収入は必要ないのかもしれない。一方消費者は、野菜の品質には関係なく、10円でも安い値段が付けられているとそちらの方が売れてしまうと嘆いていた。

この世代が世を去って作り手が需要を満たすほどの野菜を生産できなくなると、農業の分野に進出した企業が十分な利益を見込んだ思い通りの価格にできる時代がいずれ来るものと思う。その時は形は立派な野菜を高い値段で買わなければなくなると思うのだった。今の国会で入管難民法の改正案が審議されているが、その中に農作業従事者の在留資格創設も含まれているから、まあ大丈夫かもしれない。これからは外国の人たちが作った野菜を食べれられるから何の心配もいたないだろう。

主に栃木県内で店舗を展開する「農家の店 みのり」という農業資材の専門店を偶然見かけた。宇都宮のホームセンターに寄って菜園で使用する資材を買おうと思っていたが、高価な資材が中にはHCより相当に安く売られていたのでまとめて購入し、車の座席はそれらで埋まってしまった。

2日間、菜園を空けていたので無農薬・有機栽培のブロッコリーやキャベツがどうなっているか立ち寄った。アオムシやヨトウムシがむしゃむしゃと葉っぱを食べている。これらを始末して家に戻った。


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