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南アルプス/茶臼岳
2015/ 5/ 8〜10


光岳頂上


 5月 9日(土)  


茶臼岳頂上から 今日いくべき山は一番奥の白い頂

 昨夕、携帯電話に入ったヤマテンのメールは「午後からの天候急変、夜間の天候回復」を伝えている。昨年11月に光岳を目ざしながら茶臼小屋で挫折している。今回は是が非でも光岳に着きたい。午前中はなんとかなるだろう。昼前に着くようにと午前3時過ぎに起きて出発の準備を始める。早立ちするといっても食事はきちっと摂りたい。何よりエネルギーの充填が必要だ。野菜、果物、肉類はたっぷり担ぎ上げてきている。


風倒木の夏道

 真夏の服装の上にファイントラックのウインドゥブレーカーを羽織って出発する。5月とはいえ天候が変わると冬山なので、アウター、インナーダウン、防寒手袋などはひと通り持ってきたので多少の天候なら対処できるはず。ヘッドライト点灯の必要がない時分に茶臼小屋を出る。稜線に出ると風が強まるが、稜線に出ることができなかった昨年11月の暴風とは違う優しいものだった。


光岳小屋

  雪に覆われた稜線には、昨日のものと思われるトレースが一人分残っていて、的確に尾根道を進んでいることが分かる。ところが、三吉ガレの先、国土地理院の地図にある2228mの手前のピークでトレースが乱れている。そしてそのトレースは新しい。トレースの進んだ先を少し追って尾根(そのまま下りると易老沢に突き当たる)を少し下ってみると、単独の男性が下の方にいる。聞くと茶臼岳に戻るのだがその方向が分からないとのことだった。


GPSログ

 さらに話を進めると、光岳の頂上も踏めなかったとのことだった。光岳頂上が雪で覆われていた可能性もあるからその地形的特徴を話してみたが、どうも道を違えた結果だったようだ。そこでその後光小屋からその人のトレースを追って行くと、まっすぐ進むべきところを寸又川林道へ下りる稜線に向かった結果であり、原因は分岐にある道標の指し示し方が中途半端で間違いもありうべきと思われた。それ以上に地図やGPSでよく確認しないと深い雪が登山道を隠し、テープの類もほとんど付けられていないことから勘では歩くことができない。


冬季小屋 2階

 今回、光岳に来るのに水場はどうなっているかネットでチャックしたものの、静高平の情報はなかった。光岳小屋から南側の斜面を下る水場は水の流れがあるとのことだった。想定では静高平でも水は採れるだろう、採れなければ斜面を下ればいいと、ある程度の水を茶臼小屋で汲んだ。あにはからんや、静高平の水場は雪で覆われていた。しかし、雪の下から水の流れる音が聞こえたので雪渓を蹴って割り水を確保した。


奇跡の再会

 光岳に登る前に光岳小屋の冬季小屋(と言っても居住スペースはすべて開放)に入り戻って来た時にすぐ一人宴会を始められるようにしておいた。冬期の入り口は外階段を2階に上がるのだが、1階を見るとステンレスマグが置かれている。これは昨年10月に稜線で落としたものに違いない。蓋を開けるとココアがそのまま残っていた。
 頂上から戻ってきてもまだ午後2時前であった。小屋前の雪に突っ込んでおいたビールも日本酒もしっかり冷えている。数冊の小屋ノートを見ながら疲れた体にアルコールを注入する。ほどなくして酔いが回り夢の世界に入る。午後9時ごろ目が覚めると小屋の窓の外は深いガスで覆われている。またまどろむように寝込むと吹き付ける風の音が小屋に響くようになった。


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