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オヤマリンドウ咲く長沢背稜 タワ尾根から酉谷山避難小屋

2010/10/19〜20

 ツキノワグマに出遭った4日前の酉谷山(2010/10/14〜15)の記録


■  10月19日  


オヤマリンドウ

 北岳から登って熊ノ小屋に泊まり、塩見岳を往復しようとちゃっかり長い休暇を確保していたが、高度3000m付近の風速予想が13m/sと計測され、天気も下り坂となってしまった。そこで目的地を、天気が悪くなって雨が降っても風の影響をあまり受けないと思われるタワ尾根からの酉谷山に変更する。酉谷山といえば多くのファンがいる酉谷山避難小屋泊である。この小屋(別荘といってもいい。)に泊まることだけを目的に登って遜色のないきれいな小屋だ。この小屋には4日前に行ったばかりである。矢岳から登りたかったが、天気のいい日にこのコースを採ることにし、今回は安全が第一、タワ尾根から登る。


ミズナラの巨樹

 車を東日原の駐車場に停め、一石山神社、日原鍾乳洞を過ぎ、籠岩から急坂を我慢してまず一石山に登る。次にミズナラの巨樹を目指し、巨樹に出合って稜線に出ると左に折れる。ここから滝谷ノ峰の下で合流する長沢背稜までは尾根をほぼ一直線に歩くこととなる。

 奥多摩もツキノワグマの生息地である。前回、長沢背稜でツキノワグマと遭遇したことから、今回も熊鈴を鳴らす。ナラやブナの巨木が延々と生えている。過去の伐採跡はそこかしこに見られるものの、巨木だらけでありそれらの木々を眺めながら歩くのがとても気持ちいい。


ウトウノ頭のユニークな山頂標識

 金袋山付近で籠を背負った地元の方に出会う。この時期の山の幸を手にも一杯下げている。篶坂ノ丸(すずさかのまる)を過ぎウトウノ頭に着くとユニークな陶板製の山頂標識が掛けられている。前回来たときには彫刻の彩色された標識が盗まれて仮の標識だった。恥を知らない不心得者がいる一方、このように心を込めてくれる人もいる。

 
タワ尾根の巨樹

 ウトウノ頭から急な斜面を下る。倒木や岩の混じった尾根を越えるてしばらく歩くと、稜線全体が岩場となるところにでる。前回は踏み跡をたどって岩場の右側を歩いたところ、しまいには落差のある危険な岩場に最後は岩場の急斜面を下りることになってしまった。今回は、岩場の左側下にある踏み跡を辿って凹地に出る。

 凹地からすぐ岩混じりの急登りをこなす。しばらく我慢して歩くと左手の孫惣谷の砕石場の作業の音やトラックの音が聞こえてくると、作業用モノレールが現れる。その脇をしばらく登るとモノレールの終点となるが、終点から少しで長沢背稜に出る。長沢背稜の登山道は霧で霞んでいる。


長沢背稜

 登山道に降り積もった落ち葉を踏みしめ、静かな長沢背稜歩きを楽しむ。春に崩壊していた急斜面の危険な登山道は綺麗に石積みされ、コンクリートで補強されている。「コンクリートから人へ」とはよくも言ったものだ。だが、コンクリートの恩恵を誰もが受けている。よくぞこのような山奥に砕石を運び、コンクリートを練って、崩壊した登山道を整備してくれたものだ。これぞ「人のためのコンクリート」である。予定通りの時間をキープしながら歩いている。ガスが濃く酉谷山をパスしたいが、時間が早いのでとりあえず頂上に立つ。


サッポロ珈琲館のコーヒーを淹れる

 登山道から酉谷山避難小屋への分岐からは、濃いガスで小屋が見えない。この天気では小屋に人はいないだろうと思ったが、そのとおり、今晩はこの小屋を独り占めだ。(小屋のノートには、今日ここに立ち寄った人の書き込みがあった。)

 残留農薬が原因で輸入がエチオピアからのコーヒー豆の輸入がストップしていた。しばらくぶりにサッポロ珈琲館にモカが入ったというので、購入した。小屋で飲むサッポロ珈琲館のコーヒーを楽しみにして来た。小屋脇の湧き水を汲もうとしていてオヤマリンドウを見つけた。1輪だけだったがその花の大きさに驚いてカメラのシャッターを切る。少し離れたところに大きな株があって、天気がよくなればこれから花開くであろう素晴らしいものだった。


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