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ツキノワグマも元気
鷹ノ巣山〜雲取山〜酉谷山(避難小屋)〜ヨコスズ尾根縦走


2010/12/1〜2


オヤマリンドウ


 12月 1日(1日目) 

  夜叉神峠からテント泊で鳳凰三山を往復する予定だったが、2日目、3日目の天気予報が悪かったことから、急遽同じ3日間の日程で行き先を標高の低い奥多摩の山とした。東日原に車を停めて鷹ノ巣山から石尾根に乗り1日目は雲取山避難小屋泊、雲取山から長沢背稜を歩き酉谷山避難小屋泊のコースを組んだ。天候が悪化してもいくつものコース取りが可能なところがいい。


東日原から稲村岩と稲村岩尾根

  間違えて首都高速に入ってしまったが、登山口の東日原の駐車場には遅くとも午前8時までに着かないと明るいうちに雲取山に着かないことから、引き返すことなく中央高速を突っ走る。登山者の姿の見えない駐車場で身支度を整え、稲村岩へと向かう。東日原の標高は約620mなので、ここから鷹ノ巣山までの標高差は約1,120mもある。テントを除いた縦走装備の入ったザックは重いが、比較的順調に稲村岩尾根に乗る。

 自然林が中心の岩村岩尾根の登山道は、延々と登りが続く。鷹ノ巣山までの見込み所要時間は東日原から稲村岩までが1時間、稲村岩から鷹ノ巣山までが2時間のところを、トータルで2時間と勘違いし、こんなに時間がかかったのでは雲取山避難小屋に着くころには暗くなってしまうと焦りながら歩く。


鷹ノ巣山頂上

 ヒルメシクイノタワの標識を過ぎて最後の急登をどうにかこなすと、ポッと鷹ノ巣山の頂上に出た。そして眼前に富士山が聳えている。「オォーッ!」と声を上げると、一人の男性が振り向くのだった。やぁ、いつ見ても富士山はいい。

 鷹ノ巣山避難小屋を経て己ノ戸ノ大クビレに着くと、日陰名栗山や高丸山を巻いて千本ツツジ下部の「蜂谷」への道標がある分岐に着く。この間、樫の木に熊棚と思われるものがたくさんあったが、よく見ると木の上部の枝をへし折ってどんぐりを食べた残滓のようであった。


鷹ノ巣山避難小屋

 なおも巻き道を使って七ッ石小屋方面へ向かい、水場で1リットルの水を補給する。七ッ石小屋方面から、大きなザックを背負った3人が登ってくる。鴨沢からの登山道に出合う。速いスピードで下りてくる若い男女に道を譲っていると、前を見ていなかったのか「オオ〜ッ。」と声を上げられる。

  唐松谷林道に分けるブナ坂を経て奥多摩小屋に着くと、テントが1張設営されている。ベンチにお年を召した女性とその子供という男性が座っていた。今夜、母親は雲取山荘に、息子さんは雲取山避難小屋に別れて泊まるという。まだ午後2時を過ぎたところだが、雲取山荘までは1時間以上もかかるので「2人で同じところに泊まったらどうですか。」と言ってはみたが、息子さんは「私は避難小屋に泊まるのが好きなんですよ。」という。小雲取山に登ると2人も一休みして、その後姿を見かけなかったので、巻き道を雲取山荘に向かったのだと思う。


石尾根から名栗日陰山

 雲取山避難小屋に着いたのは午後3時20分であった。小屋の扉を開けると中にシュラフが一つ敷かれ、年配の男性が寝ていた。「お邪魔します。」と言ってもこちらをうかがう気配がないので、さらに「お世話になります。」と誰に言うでもない風に言うと起きてきた。鴨沢から登ってきたと言う。


ツキノワグマの食餌となった樫の実

 暗くなってきてから七ッ石小屋で見かけた若者3人が入ってきた。その洗練された所作から相当の経験を持った人たちと見受けられた。奥多摩小屋で会った男性が一人でやってきた。お母さんを雲取山荘に送ってきたと言う。本当に好きなんだね、避難小屋が。

 3人組が外に出たまま戻ってこないので様子を見ると、この人たちはワインを飲みながら避難小屋のベンチで夕食を作っている最中であった。外気温は+2℃ほどでとても寒い。「遠慮しないで中でやりなさいよ。」と言うと、「もう寝ている人がいるので、ここでやります。」と言う。キリリとした夜空の下、月と星と東京の街の灯りを眺めながらの夕食もまたいいのかもしれない。


雲取山避難小屋

 小屋内の温度は+4℃ほどあり、−15℃まで対応のイスカのシュラフ「AIR 630X」ではとても暑すぎる。それでも寒いよりはいい。鷹ノ巣山までの登りですっかり体力を使ってしまって、その上にビールとワインの酔いであっという間に寝入ってしまった。気が付けば午前0時、ヘッドランプが付きっ放しとなっていた。

  


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往路 復路
地点 地点
0735 東日原 0605 雲取山避難小屋
0845  0850 稲村岩 0602 0603 雲取山
1035 1035 ヒルメシクイノタワ 0650 0650 大ダワ
1100 1120 鷹ノ巣山 0715 0715 長沢背稜分岐
1240 1245 蜂谷分岐 0745 0745 芋ノ木ドッケ
1310 1315 七ッ石小屋 0925 0925 長沢山
1340 1340 唐松谷分岐 1005 1005 天祖山分岐
1410 1415 奥多摩小屋 1040 1040 タワ尾根分岐
1520 雲取山避難小屋 1140 1215 酉谷山避難小屋
1410 1415 一杯水避難小屋
1610 東日原
所要時間 7時間45分 所要時間 10時間05分