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武州中川駅から矢岳を経て酉谷山避難小屋へ

2011/12/4〜5


酉谷山避難小屋から相模湾を望む(左の3つは船の光)


■ 12月4日 (1日目) 

 矢岳から坊主山までの間は痩せ尾根であったり日陰の急傾斜が多い上に、積雪やアイスバーンで危険度が高くなるので、その前に歩いてみようと、駅で言えば秩父鉄道武州中川駅まで車を走らせました。武州中川駅(標高280m)からは、矢岳(標高1,360m)のほかにフクジュソウが咲く若御子山への登り道があるものの、その間に、一般登山者が利用できる駐車場のありかが分かりません。そこで電車で来るときのルートの最終民家付近に駐車スペースはないかと、細い道を山の上へと登って行きます。すると、地図をにらめっこしたした青年が登山口を探しているので道を教え、車を麓に下ろします。結局最終民家までの路傍に駐車スペースはなく、とあるところに車を停めさせていただいてからアスファルトとコンクリートで舗装された道を、最終民家方向へと登り返します。


熊倉山の尾根

 最終人家へ向かう途中に若御子峠〜若御小山の案内板があって、そこから少し先の鹿除けネットを開けて、いつもの鬱蒼とした日の射し込まない植林地を歩きます。この矢岳への登山道は、麓から少し入ったの植林地の中で一度だけ沢を渡るところがあって橋が架けられているのですが、2011年の台風による土石流で流されてしまっています。この沢からは急傾斜が始まり、途中季節になるとスプリング・エフェメラルの咲く照葉樹林を縫い、水平道になると植林地の中を歩き、伐採で視界が開けると送電線や熊倉山を見やりながらクタジノクビレを目指します。


篠戸山

 クタジノクビレから右に折れ曲がり再び送電線・送電鉄塔に出て、そのまま高みを目指し、尾根に乗ったら左に折れ、その尾根をどんどん登って行くのです。そうすると東側斜面が大胆に伐採され視界が広がったところに出て、浦山ダムのダム湖(秩父さくら湖)が見えます。また、この稜線からは矢岳が見えますが、篠戸山(標高1,040m)を過ぎると視界が遮られ、それ以降は矢岳を見ることができなくなるので、ここでルートのおおよそを理解しておきます。


左奥から武甲山〜小持山〜大持山 (水を蓄える浦山ダム)

 この場所は、バラモ尾根に乗っかる大ドッケや大持山、小持山、さらに武甲山が俯瞰できる絶好の場所でもあるのでしばし足を止め、あの花この花の咲く山ひだを追ったりします。さてさてこれから先は巻き道など一切ないので、稜線のアップダウンを忠実に拾って歩かなければなりません。その一つ一つの標高差はそれほどでもないのですが、さすがに疲れるところです。ここから矢岳へは1時間以上、矢岳から長沢背稜に出るのに2時間半は必要なので、途中の休憩は昼食に15分だけ費やし、あとはただ黙々と歩くだけです。つまるところ行程も長いし展望もないことから、山歩きとしての面白みには欠けるところではあるのです。


長沢背稜の改修なった桟橋

 麓で会った青年は、私が車を回している間に登って行ったのですから、私の30分ほど先を歩いているはずです。しかし、足跡が付き易い伐採地の柔らかい登りの斜面にも青年の足跡はありません。たぶん若御子山から大反山の稜線を辿っているのか、それとも道を見失っているのかもしれません。そのうち矢岳に着きましたが、そこにも青年の姿はありませんでした。


ようやく明るい道に出た

 矢岳から下って、次の登りで稜線を進むとYの字の下りとなります。Yの字を左側へ下ると馬酔木の灌木が多く目につきます。照葉樹林、檜の植林、枯れたスズタケの場所を歩くと酉谷小屋へ5時間の道標が登山道に落ちていて、そこから荒川村へ下りる道が付いています。稜線は、次に赤岩ノ頭(標高1,448m)に向かう登りとなるのですが、木の枝で塞がれてはいるもののはっきりした踏み跡(大久保谷への尾根道?)を左に見てそこを右折し、稜線の右側中腹を登って行くので、今回も赤岩ノ頭は踏むことなくその先に出ます。


酉谷山避難小屋

 赤岩ノ頭の先から少し下りて100mほど登り、小さく下って50mほどの急斜面を登って立橋山(標高1、568m)です。立橋山まで来ると長沢背稜はもうすぐですが、ここは稜線を通らずに熊倉山側の足場の悪い急斜面を巻いてから牛首(標高約1,515m)に出ます。牛首からもう一度急斜面をがまんして50mほど登ってようやく緩斜面になると、あとはたくさん付けられた赤テープに導かれて坊主山と日向谷ノ頭の鞍部(標高1,630m)をわずかに日向谷ノ頭寄りを歩いて登り、長沢背稜側に下りることになります。ここまでの単純な標高差は1,360mですからタフなルートではあるのです。長沢背稜の登山道に出て、稜線へ続く踏み跡をカメラに収めていると、男性が小屋方向から来ます。聞くと、小屋には誰もいなかったと言うことですから、のんびりした夜を過ごせそうです。


いいフォルムの酉谷山避難小屋

 長沢背稜側に出ると、文字通りの陽だまりです。鬱蒼とした植林地、日の当たらない北側斜面を延々と歩いて気が滅入っていたからその明るさは驚きです。もうそろそろ雪が降ってアイスバーンになると危険だから、秩父側から酉谷山に来るのはよさなければと思いながら、快適な長沢背稜を歩きます。木々の間から酉谷山避難小屋が姿を見せます。間もなく酉谷山避難小屋というところで、登山道は稜線に限りなく近づきます。標高約1,620mの鞍部で秩父方面の街並みが見え、携帯電話のアンテナが立ったので、現在位置を行程管理人にメールで知らせます。


今日は流れもよく

 11月中旬の酉谷山避難小屋の水場は、ほとんど涸れそうな細さでしたが、今日は勢いよく流れています。前2日に雨が降ったからなのでしょう。小屋は日差しを一杯受けて温められ、13度にもなっています。ビールと日本酒を楽しみながら持ってきた新聞や文庫本を読んでいるうちに陽も傾いてきました。街の灯り、漁火が煌めいています。


 往路    復路 
着  地点  発  地点  発 
   青雲寺  0800    酉谷山避難小屋 0840
 0940  シタジノクビレ  0940 0915  長沢背稜分岐 0915 
 1030  篠戸山  1035 1145  矢岳 1145 
 1145  矢岳  1150 1250  篠戸山 1250 
 1230  荒川分岐  1230 1330   シタジノクビレ 1335 
 1340  立橋山  1340 1445  青雲寺  
 1400  牛首  1400      
 1430  長沢背稜  1435      
 1500  酉谷山避難小屋        
 所要時間   0700 所要時間    0605

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