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鴨沢から雲取山に登る

2011/12/22〜24


夕暮れ時の雲取山避難小屋


 12月22日(1日目) 

  2011年の年末を前にした貴重な5連休は北アルプス・燕岳でのテント泊を計画し、車のタイヤもスタッドレスタイヤに交換して意気軒昂だったのですが、あいにく風邪が抜けきらないのです。4時間の林道歩きの後の中房温泉でのテント前泊を考えると気が滅入ってきました。そこで急きょ慣れ親しんだ奥多摩を歩こうとザックの中身を調整して東日原へと向かいます。ここに車を置いて、バスで奥多摩駅、さらに鴨沢へと出てから山に入り、長沢背稜を歩いてヨコスズ尾根を下りてくる算段です。


七ッ石小屋

  今日22日は平日です。ですから奥多摩駅から鴨沢までのバスに乗った人は私を入れてたった2人、もう一人は軽装の青年です。バスを下りるとき私のザックが大きかったので先に下りてもらったのですが、この青年は留浦の方へと歩いて行きます。その後ろ姿を見送ると、しばらく先でこちらを振り返ります。鴨沢の集落からの雲取山への取付き口はちょっと分かりずらいのです。私がザックを背負って青年の反対方向に進み、集落の中の坂道を登っていると青年は私の後ろにありました。


日陰はどこも圧雪

 小袖乗越で青年に追い越されますが、還暦を過ぎたおじさんが75リットルのザックを背負ってのことですからその体力差は止むを得ません。しかし、この青年とはその後追い越し追い越されのデッドヒートで、最終的には(七ッ石小屋で水を2リットル補給したのにも関わらず)ブナ坂で青年を遥か後方において先を歩くこととなったのでした。この日は、この青年のほかにもう一人の青年が先に登って行ったのを見かけただけという人の少なさでした。ただ、下山者とは12、3人ほどとすれ違いました。

 登り尾根の水場を過ぎてのことですが、少し傾斜のある登山道を登って行くと、前方から数人の男性グループが下りてきます。私を認めると全員が登山道に横向きになってきちんとした姿勢で止まり道を譲って声を掛けてくれます。今回の3日間で特別に爽やかな人たちでしたが、警察官か消防官などの公の仕事に就いている人たちだったのかもしれません。


奥多摩小屋

 今回は七ッ石小屋を経由するため、しっかりした道を外れ尾根に付けられた急登に入ります。これまで幾度となく七ッ石小屋泊まりも考えてことがあるのですが、朝方登山口を出発するとその行程上使いづらいロケーションなので沙汰止みとなっていました。この小屋を間近で見るのは初めてですが、見晴らしのいい場所にありますので、時間をたっぷり使ったのんびり登山の際にでも使うのがよさそうと言うイメージです。小屋をカメラに収めていると若い小屋番さんが出てきて、「稜線に出ると急に気温が下がりますから寒さ対策をして下さいね。」と親切に声を掛けてくれたのでした。

  七ッ石小屋を経由したのにはもう一つ理由があって、小屋そばの水場で水を補給することでした。奥多摩小屋でもとることができるのですが、凍結などの万一のことを考えて2リットル補充します。


小雲取山を巻く

 小雲取山へは富田真道への笹の道を巻いて上がります。長袖のTシャツに半袖のTシャツを重ね着して歩いていたのですが、もう寒くて仕方がなくなったのでゴアのアウターを着込み、つるつると圧雪の道を歩きます。ようやく雲取山避難小屋が見える尾根道になると、先に登って行った青年が雲取山から下りてきます。「今晩どうするの?」と聞くと「少し下がってビバークします。」とのこと。日が暮れるとマイナス10度以下になる季節ですが、若さゆえの根性です。


避難小屋からの尾根の風景

 小屋の戸を遠慮がちに開けると、誰もおりません。外気温マイナス13度、小屋内の気温はマイナス5度です。雲取山避難小屋はログ作りで見かけはいいのですが、窓が1か所を除きはめ殺しであるため湿気がこもるのでしょう。入口から奥に入ったところのログも棚などの構造材も木材腐朽菌で真っ白になっています。


雲取山避難小屋から見た都心の夜景

 日が沈むと小屋の中はどんどん冷えて行きます。夕食を摂ってからシュラフを広げ、湯たんぽも用意します。これで今夜の安眠が保証されました。小屋から離れたトイレに立つと何頭もの鹿の目がヘッドランプの光に反射しますが、鹿たちは逃げようともしません。小屋の前からは都心の灯りがキラキラと輝いて見えます。こうして1日目の夜は更けてゆくのでした。  


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地点  発  地点  発  着  地点  発 
   鴨沢  1020    雲取山避難小屋  0750    酉谷山避難小屋  0800
 1050  小袖乗越  1055  0810  雲取山荘  0810  0850  七跳尾根分岐  0855
 1225  堂所  1225  0825  大ダワ  0830  0920  ハナド岩  0925
 1420  ブナ坂  1420    長沢背稜分岐    0955  一杯水避難小屋  1015
 1445  奥多摩小屋  1445  0920  芋ノ木ドッケ  0920  1155  東日原  
 1600  雲取山避難小屋    1055  長沢山  1100      
       1135  天祖山分岐  1135      
         1230  タワ尾根分岐  1230        
         1330  酉谷山避難小屋          
 所要時間  0640    所要時間  0540    所要時間  0355