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リベンジ!ハンギョウ尾根から酉谷山避難小屋へ

2011/ 1/23〜24


長沢背稜から熊倉山方向を見る


 1月23日 (1日目) 

 西穂山荘でテントを張って西穂独標へと計画し休みも用意していたのに、風邪をひいてしまった。どうにかこうにか治りかけたので、休みを無駄にしないようにと青梅街道へ車を走らせる。前回取付きの場所を見落とした賀郎橋からハンギョウ尾根の支尾根からハンギョウ尾根を登る。長沢背稜に出てから酉谷山避難小屋まで歩くこととした。前夜雨雲が通り過ぎていったので多少の雪があるだろうとは思っていたが、朝の日原街道と小川谷林道は圧雪+アイスバーンであった。 車に装着しているスタッドレスタイヤBRIDGESTONE BLIZZAK REVOは2003年冬に購入したもの。スリップサインまではまだまだあるが、すでに8シーズン経過のレア?物なのでスピードをセーブし、特に前方からの車が確認できない急カーブでは慎重に走る。


ハンギョウ尾根取り付き

 新ハイキング社刊の「バリエーションルートを楽しむ」(以下、「本」と略称。)は、ハンギョウ尾根について「ハンギョウ尾根のモノレール軌道を離れて賀郎橋に下りるための入り口を特定するには、かなりの読図力を要する。」と書いている。とかく登るより下山時のルートファインディングが難しい。前回の登山でもハンギョウ尾根を登りに使おうとしたにもかかわらず、取り付き口を見付けることができずカロー谷に入ってしまった。

 その反省から前回下山時、ハンギョウ尾根の支尾根にある賀郎橋の取り付き口とモノレールの始点を確かめておいた。賀郎橋の取り付き口からモノレールの始点までの林道に車を走らせると小川谷林道に沿った山側はいずれも険しい断崖となっていて、その間のいずれの場所からも林道に下り立つことは不可能と思われた。今日の賀郎橋の取り付きには雪が5cmほど、うっすらと積もっているし、見上げるほどの急斜面なので心して登り始める。


自然林のハンギョウ尾根

 賀郎橋の取り付きは、コンクリートの階段を登り終えてすぐ左手を見たゴツゴツとした岩の間の踏み跡である。雪が被った滑りやすい岩場の急斜面を登っていくと、気の抜けない逆さにしたお椀状のっぺりしたところに出る。ちょっとの間、後ろに滑り落ちないように注意して行くとその先は急斜面をトラバースするようになって、それからはジグを切って支尾根を登り植林帯に入っていく。薄暗い植林帯を我慢して登っていくと初めて日が差し込む場所に出る。そこを少し登ったところではっきりした踏み跡がまっすぐ伸びている(本では標高780mの作業道)が、そこを右に上がり、すぐ左に上っていく。しばらく登るとわずかに平いらとなったところ(本では標高870m)があって、畳2枚ほどの建物のコンクリート土台跡に出る。(注:本P69の挿図中、賀郎橋からモノレール軌道に延びる破線は「小平地(建物の土台あと)」と書かれた場所の少し下部から延びないとおかしいと思われる。)

 さらに標高を上げて植林帯を登ると右手斜面が自然林に変わる。斜めの木に黄色のテープが巻かれ手前の細い木に赤テープが巻かれている。そこ(標高990mあたり)は斜面を道なりに登る踏み跡と右手に折れて支尾根を直登する薄い踏み跡とに分かれている。そのまま道なりにハンギョウ尾根に向かって斜面を登って行くと再び日差しの入り込まない植林帯になる。再びジグを切って登るとモノレール軌道に出合う。この場所のモノレール軌道は(ここだけが)スイッチバックをするためなのか引き込み線があって軌道が2本となっている。右上斜面には南斜面に向かって斜めに生えているミズナラ?の大木が1本ある。

新雪の長沢背稜

 モノレール軌道に沿って広葉樹に覆われた尾根を登ると、すぐに前回カロー谷から登ってきた作業道に出合う。モノレールをクロスする作業道を大栗尾根方向にわずかに進むと右手斜面に<林班界表17|16>の標識が立てられている。足場の悪いモノレール軌道をそのまま登ってもいいし、いったん標識まで進んでそこから岩場の急斜面のを登るのもいい。いずれにしてもわずかな距離のことだ。緊張しながら支尾根からハンギョウ尾根まで登ったことから汗びっしょりである。風邪をひいた体には良くないが薄着になって歩く。しばらく登ると同じ記載の<林班界表17|16>標識がモノレール軌道脇に立てられている。支柱には飲料水ヴァーム(VAAM)の空ペットボトルが赤いビニールテープで括りつけられている。モノレール軌道をクロスする作業道が延びていてカロー谷方向の木々に複数赤テープが巻かれている。GPSによる標高は≒1280mであるが、本に「1230mで作業道を横切るが、」と書かれている道と同じと思われる。


滑って落ちると奈落まで

 ハンギョウ尾根終盤はやや平坦になって下ったりきつい登りになったりで最後にひと登りすると長沢背稜に出る。賀郎橋からほぼ休みなく登って標高差900mを3時間要した。陽のほとんど差し込まない長沢背稜では木の枝に積もった雪も落ちてきて急に寒さを感じる。この時間に放送されるお気に入りのラジオ番組をNHKの国会中継に切り替える。この国の今の代表者が「国会質疑や党首討論を通じ熟議の国会となるように」というようなことを話したことも悪寒が走った原因だったのだろうか・・・。

 登山道はアイスバーンとなって、特に七跳尾根分岐先の下り斜面が注意を要する場所であるが、ノーアイゼンで進む。長沢背稜に前者の足跡はない。ようやく酉谷山と酉谷山避難小屋への分岐標識に着くと雲取山側、小川谷側からの足跡もない。小屋脇の水場からはわずかに水がほんの少し、チョロ・チョロと滴が垂れている。浸透枡に水が溜まっているからまずクッカーに静かに上澄みを組んで、次いで攪拌されて汚れが混じった水を湯たんぽ用として確保する。

 相変わらず綺麗に保たれている小屋に入る。外気温マイナス3℃、室温プラス5℃。まず風邪をこじらせないように衣類を乾いたものに着替え、次にいつでもシュラフに入れるように準備する。防寒対策が整ってからお湯を沸かし、新聞片手にぬる燗を楽しむ。吉乃川のこの味、日本人に産まれてよかったなぁ!外は雪が舞っている。小躍りするほどファンタジーな世界が繰り広げられている。
 小屋に到着してから5時間も経ってしまった。ランタンの火を大きくしシュラフに潜り込んで「無名詩人」と「永遠の牧歌」を読む。字の小さな文庫本は疲れるわと本を止め熟睡するも、真夜中咳き込んで目覚める。湯たんぽの湯を沸かし直し、喉もカラカラなのでスープを作り喉を潤す。再びシュラフに潜り込んでラジオを聴きながら夢の世界に入る。


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往路 復路
地点 地点
1000 賀朗橋 0845 酉谷山避難小屋
1300 1300 板形ノ峰 0940 0940 七跳尾根分岐
1315 1315 ハナド岩 1025 1030 ハナド岩
1355 1400 七跳尾根分岐 1045 1045 板形ノ峰
1500 酉谷山避難小屋 1215 賀朗橋
所要時間 5時間00分 所要時間 3時間30分