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酉谷山避難小屋からヨコスズ尾根下山
2012/ 2/10〜11


酉谷山避難小屋の朝


 2月11日(土) 2日目  

 昨晩は、午後7時には眠りに就いてしまいました。しっかり寒さ対策をしてシュラフに入ったので、午前4時ごろまで熟睡したのですが、さすがに夜明け前には寒さで目覚めてしまいました。午前5時ごろに起き出し室温を見るとマイナス5℃、外気温はマイナス11度となっており寒いはずです。プラティパスの水は半ば凍っており、すぐに手は悴(かじか)みます。


富士山〜小屋の窓から

 いつも酉谷山避難小屋は綺麗に保たれています。小屋のノートを見ると、最後の記載が2月4〜5日宿泊のタワ尾根から上がってきた2人のものですから、この人たちが小屋の中もトイレも掃除して行ってくれたのでしょう。ただ、便器に「大」の痕跡がわずかに残っていたので、持参した雑巾をお湯で浸し拭き取っておきました。これでステンレスの便器もピカピカです。 


酉谷山避難小屋からすぐの一杯水避難小屋方向の稜線

 陽がすっかり登ったので出発することにします。長沢背稜に出ると、一杯水方向の雪の上に踏み跡はありません。すると間もなく熊(ツキノワグマ)の足跡があります。そしてそのうちに熊の足跡はどんどん増えて、しっかりした踏み跡になっています。しかし、それも矢岳への分岐手前で小川谷の方向に下りて行ってしまって、その先は鹿と野兎の足跡だけになります。 


滑ると「死」

 登山道は日陰では雪が積もっていますが、日中、陽が当たるところは斑になります。その分、凍っていたり落ち葉で隠れているところがあったりと、谷が落ち込んでいるところでは危険極まりありません。当初、アイゼンは軽アイゼンにしようかとも思っていたのですが、それ以外には10本歯のアイゼンしか持っておらず、念のため10本歯のアイゼンも用意してきたので、これを装着して歩いたのですが、一度こけそうになって体制を戻す時にゴアのスパッツを切り裂いてしまいました。


七跳尾根分岐

 七跳分岐まで辿ると、七跳尾根を使った足跡があり、一杯水避難小屋方向にも足跡が伸びています。ちょっと休憩していると一杯水方向から男性が歩いてきます。昨晩は一杯水に泊まったとのことで、この人は雲取山まで行くとのことです。その後もう一人、一杯水に泊まったという人と出会いましたが、今日は酉谷山避難小屋に泊まりゆっくりする予定と、のんびりしたものです。


ハナド岩からの展望 ウトウノ頭とその先に雲取山 

 ハナド岩で奥多摩の山々の展望を楽しみ、一杯水避難小屋に向かいます。三ッドッケを巻く道は急斜面で、いつも深い雪に覆われているところです。前方でご夫婦が難儀しています。アイゼンを装着していますが、2人ともチェーン方式のアイゼンのため横滑りに対する制動が利かないようです。こんな時、BDの10本歯はサクサクとここを通過させてくれます。
 ほどなく、一杯水避難小屋に着きます。この小屋にはいつもペットボトルやゴミが放置され、コンクリートのたたきも汚れているのですが、今日はきれいにまとめられています。2番目にすれ違った男性が、「少し綺麗にしておきました。」と言っていたのを思い出します。小屋で一息ついていると、次々に人が登ってきます。東日原に下りるまでに5〜6人に会いましたが、4人ほどが酉谷山避難小屋を目指しています。


東日原の集落

 ヨコスズ尾根の中間は、南側斜面がスパッと切れ落ちていて、足を滑らすと場所によっては100m以上の滑落は必定です。過去、ここで滑落しもあったはずです。一杯水避難小屋でアイゼンを外しましたが、このところは狭いし、切れていて谷は深いし危ないな〜、慎重にと落ち葉の上を歩いていると、足払いを食らいました。落ち葉の下がボールを伏せたような氷になっていたのでした。スぺースがあればアイゼンを付けようと思っていると、登ってきた男性が、「ここは高校山岳部の顧問の先生が滑落して亡くなったところだし、この先も滑るので気を付けて下さい。」と注意してくれます。そんなわけで、アイゼンはかなり下まで付けて下山しましたが、いつまでも登山道は凍っているので、特に下りは注意が必要です。 


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