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塩地頭を大血川(大日向)から登り酉谷山避難小屋へ
2012/10/26〜27

 秩父のマイナールートを歩くなら埼玉県警の山岳情報をとくと読んで、自己責任で登山を全うするように心がける。山中を3日間も彷徨った挙句救助されて「遭難じゃない。」などとのたまうのはもってのほか。老害の極み!


酉谷山避難小屋周辺のリンドウ


 10月26日(金) 1日目  

  もう一度紅葉の谷川岳に行きたかったが、2日目の天気予報が思わしくないので、目的地を毎度おなじみの酉谷山に変更した。三峰口から大血川渓流観光釣場に向かう。登山口へは大血川渓流観光釣場から少し林道を進んだ左手の東谷林道を進む。東谷林道は東大演習林を縫う。林道にはゲートに鍵が掛けられて一般車両通行禁止になっている。ゲートからすぐ先の道は沢の出水により崩壊し工事中である。なお、この近辺に駐車場はない。泊まりでなければ、大血川渓流観光釣場に相談してみればいい。 

 
奥に長沢背稜

 東谷林道を道なりに進み「クイナ沢橋」まで歩き、クイナ沢の滝を左手に見てクナイ沢橋を渡りそのままガレ場斜面を進む。このガレ場にはトラロープが張られている。そのまま進むと尾根に乗る。尾根に乗っても斜度がきついので、踏み跡はジグを切っている。この尾根は左側がクイナ沢、右手が黒ドッケ沢で当初はクイナ沢側を登るが途中からは黒ドッケ沢側を見ながら登ることが多くなる。


クイナ沢とクイナ橋

 この道には途中に古いドラム缶がある。紅葉が始まった自然林の中延々と続く急登をひたすらこなす。自然林から植林地に入ると3本の丸太で組んだ桟道があったり、急斜面にトラロープが取り付けられたりしているが、ひたすら進むと朽ち果てた道標があり「酉谷」と読むことができる。ここは右手に下りる緩斜面の踏み跡があるが、左に急激に方向を変える注意ポイントである。崩壊地の高巻を経て、さらに進んで植林地の中の道を進むと前方の植林地の中に石灰岩のガレ場が遠目に見えるのでこれを右手に見ながら標高を上げるといったん植林地の中の平坦地になり、右手はぽっかりと空いたガレ場の空間である。


熊倉山方向 右奥に顕著なコブがある宗屋敷尾根

 


標高を上げるとブナ交じりの自然林

 植林帯が切れると尾根筋の気持ちのいい自然林の中を登っていく。急に角度を変えるところに東京大学演習林の看板がある。そのまま登り続けると熊倉山からの尾根道に合流し、東京大学の「山火注意」の看板に出合うここから緩斜面を小黒方向に向かい、途中の早い段階で黒ドッケ沢側に入る踏み跡を「本来の」谷側を巻く道と間違えて入り込む。にっちも察知も行かなくなるようになれば小黒に登り詰めればいいや、といった感じで先に進むと踏み跡も消えてしまう。尾根を歩くと小黒から鞍部となる大血川峠に下るが、小黒が確認できるので沢の急斜面をジグを切ってその大血川峠にやっとたどり着く。なお、この大血川峠は、黒ドッケ沢から上がってくる昔道にあって、酉谷山を巻いて酉谷峠へ、そして東日原へと続く歴史のあるところとのこと。


酉谷山避難小屋

 大血川峠から酉谷山に取り付く。酉谷山の北斜面は、秩父側へ下り、あるいは秩父側から登る人の足跡が複数の踏み跡となっている。しかし、よほどでないとここでは間違いようがない。登るときはとにかく酉谷山の高みへ、下るときは小黒を目標にすればいいだけだ。 

 酉谷山の頂上で切り開かれた南面からの山脈を眺めたのち、酉谷山避難小屋へ向かう。静かな尾根から長沢背稜を横切り小屋に至る。水場は滔々とした流れを保っている。そしてその周囲をリンドウが彩っている。汗で濡れた衣類の着替えが終わるころ単独氏がやってきた。



黄色の○は演習林の看板 緑の丸はブナの大木

 【参考】
 今回は、大血川から「1(赤)」のルートをたどり、「2(ピンク)」の獣道を大血川峠に出て、再び赤線のルートに復帰し酉谷山に至った。下山は1650m・小黒に出てブリキの標識から急降下し「3(グリーン)」の巻き道を通って赤線のルートに出て「1」を下りた。今年、2012年10月に酉谷山から(熊倉山を経由し)白久駅を目指したという人の道迷いの記録があるが、×が二つあるどちらかの尾根に迷い込んだのだろう。また、1650mから酉谷山に取り付くのに東側の×に続く尾根に入り込んだとの記録も散見されるので注意を要する。
 2012年5月14日、矢岳で道を迷い、3日後酉谷山で警察によって発見された55歳と70歳の男性が発見されたときに発した第一声が「こんなのは遭難じゃない。」とのことだったと埼玉県警察本部のホームページに載っていた。この2人がどこへ行こうとしていたのかは不明だが、一つ隣の尾根に出てしまって、かつ、3日間も経っていて「遭難ではない。」とは・・・。3日間も秩父の山中を彷徨えただけでもたいしたもの。秩父の山は踏み跡を外して下るとにっちもさっちもいかなくなるから、道迷いの時に下りたらだめだよと浦山の人に言われた言葉を思い出す。
 【注意】
 今回のルート上には、各色のテープが乱雑にかつ煩わしいほど付けられている。あくまでも参考程度にしないと間違って誘導される。植林地では、林業作業用の赤テープがあちこちに付けられているので、登山者のものとの区別が必要である。


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