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タワ尾根から酉谷山避難小屋(往復)
2013/12/27〜28


日暮れ前の酉谷山避難小屋


 12月27日(金) 1日目  

 2013年に山に入った回数は35回、日数にして62日、うち宿泊を伴うものは28回であった。なかでも避難小屋は宿泊を伴う山行の半分以上を占めている。テント泊は、南アルプスで4回、北アルプスで1回といずれも高所での幕営となっている。冬季小屋は初冬の南アルプス、山小屋は東北、車中泊とホテルは北海道で、日帰りはアツモリソウやヤマシャクヤク探しに費やしたものだった。

 形態別  避難小屋  テント   車中泊   冬季小屋  山小屋   ホテル    日帰り   計  
 回数  20  5  3  2  1  1  3 35 

  このような傾向は毎年のことであり、財政(登山への直接経費と装備・服装への支出)と肉体(体力)の微妙なバランスに配慮した形態別回数となっている。つまり、引き続き(テント泊に準じた重量のザックを背負うことができると言う)肉体への依存が可能な中、限られた財政の中でさらに装備の充実を図らなければならないという環境下にあっては、テント泊や避難小屋泊を配した山行がまだまだ続く(続かざる得ない)ということである。

 さまざまな条件(特に年齢とそれに伴う身体条件)が目に見えぬ形で徐々に変化しつつある中、75リットルのザック(OSPREY VOLT75)を新調してしまった。なんとなく新しいザックが欲しくなるということは、まだまだテント泊をしたいという願望、まだできるという可能性の表れであり、加えてGPSのほか冬季用のアウター(ハードシェル)も新調してしまった。テント泊ばかりかそのほかの泊まりが伴った山が、これからも山行のメインということになるだろう。


燕岩

 そんな1年を締めくくる山と言えば、やはり酉谷山、酉谷山避難小屋しかないと、雨が降っていても吹雪でも行こうと決めていた。実際に奥多摩・東日原から登山口の一石神社の裏の急登をがんばっているときにみぞれが降ってきて、一石山から金袋山のミズナラの巨樹を見るころには雪に変わり、タワ尾根を篶坂ノ丸に進むころには横殴りの雪模様となってきた。


燕岩上部の指導標がいたずらされてとんでもないところに据えられている

 (燕岩脇の斜面を登り詰めると一石山への登路に出合う。そこには下山時の目印として「ここを下りる」と書かれたトタンがあったのだが、それがまったく関係のない尾根から外れたところに、反対方向の斜面に向けて、あたかもそちらが進路だと言うように丁寧に据えられていた。このトタン板の指示を真に受けて下れば、とんでもない急斜面を下りて、いつかは現在通行止めの小川谷方向に向かって下りることになるが、2度と上がってはこれまい。否、滑落してしまうだろう。危険極まりない悪質な所業だ。)


タワ尾根 篶坂ノ丸の先で

 金袋山あたりから積雪が顕著になり、篶坂ノ丸あたりからはちょっと先行きが不安になるほどの積雪となってきた。ときに小川谷から吹き上げる風が雪を舞い上げ、フードを被らないと耐えられないようになる。唯一の慰めは3〜4人分ほどのトレースがところどころに残っていることである。ただし、そのトレースは古いものであった。 

 このトレースの持ち主は、まったく躊躇することなくほぼ夏の踏み跡を辿っている。岩場の尾根も然りであり、タワ尾根の達人と言って過言ではない。尾根の上を外す時も、その先の地形を知悉しているかごとく、合理性を持っている。安心して見え隠れするトレースを辿るが、この雪である。徐々に体力を消費し、みぞれで濡れた体が疲れを倍加させる。


タワ尾根で軌跡を振り返る 14:11

 ウトウノ頭から先の北斜面は、ツルツルな上に雪の下に隠れた木の根で体を取られる。大京ノクビレに下りる急斜面は細心の注意を要した。やがてモノレールの出合うと、もう安心と、長沢背稜までを目指す。タワ尾根との合流部でトレースの主が休憩したのだろうと思っていた圧雪されたところは、後で小屋のノートの書き込みから4日前にビバークした跡であったことが分かった。それほど体力を消耗したタワ尾根であった。

 ところが、さらなる難行苦行が長沢背稜で待っていた。この時点で午後3時を回っていた。まさかトレースの持ち主がここでビバークしたとは知らず、のんきに酉谷山方向に向かうと、積もった雪は腰ほどもあり、ビバークの主が翌日に付けたトレースがかろうじて残ってはいるものの、とんでもない状態であった。一寸でも滑ると落ちてしまう斜度のあるところを慎重に進む。途中でどうしても寒さで我慢できず、もう2〜30分で小屋だと言うところで、ゴアテックス+フリースのインナーの手袋をさらに防寒対応のものに換える。


長沢背稜に合流する 15:01

 どうにかこうにかヘッドランプを使わなくてもいい時刻に小屋に到着すると、小屋の水場は完全に雪に埋まっている。あの手この手で水場を掘り返すと1滴の流れもない。担ぎ上げた水が約2リットルあったので米を炊くことは可能だったが、たんまりと日本酒を飲んでしまうとあれもこれも面倒になる。室温は3℃ほどであった。マイナス15℃まで対応のシュラフに潜って寝ると、その心地よさは格別であった。外は依然として雪が降っている。

 


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往路    復路   
 着  地点 発  着  地点  発 
   東日原BS 0900    酉谷山避難小屋      0800 
1345  ウトウノ頭 1350  0945  タワ尾根合流
0950
1500   長沢背稜 1505 1110  ウトウノ頭 1120
1645  酉谷山避難小屋   1420   東日原BS  
 所要時間 0745 所要時間  0620