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困った奥多摩もえぎの湯 酉谷山避難小屋
2014/12/12〜13



水場の風景


 12月13日(土) 2日目  

 小屋の周辺に鹿が蝟集し、夜通し鳴き声がうるさかった。それでも、小屋が暗くなってほどなくして寝入ったので、じっくり十二分に睡眠をとることができた。前線が通過し少しの雪を残して行ったが、天候はかすっかり回復し、この上ない青空が広がっている。当初予定のヨコスズ尾根下山を変更しタワ尾根を戻ることにした。急いで下りる必要もないから、小屋に滞留する。


酉谷山避難小屋からの眺め

 水場は順調に流れている。この光景が本来の水場の姿だ。惜しむらくは植生が回復しつつあった水場の土壌がすべて剥がされてしまったことである。植生を回復させるほどの土や落ち葉を集めることは素手ではとても困難なので、ときの過ぎるのを待つしかない。


修復翌朝の水の流れ

 [水場の仕組み] 修復がなった酉谷山避難小屋の水場の石組みは、大げさに言えばそれぞれの石が微妙にかばい合って積み重なっているのが特徴だ。その補完関係は最終的にゴムシートから流れ出るところにある最後の石に集約されている。水源の流れが細いときにでも、その細いなりの水滴を一滴でもゴムシートの上を通らせるという意思の表れである。だから、ゴムシートを少しでも動かしたり石をずらしたりすると水は「本当に採れなくなる。」。特に冬は雪が降っても渇水の心配があるので、水を担ぎ上げることも考慮すべきである。だが、困ったことに水場を触ってしまう者はネット情報に接する機会がないと思われる。


清々しい朝の風景

 寒い時期のトイレ掃除には多少のコツが必要だ。というのも床のコンクリートが完全に冷え切っているので、漏らしによって汚れている床を少ない水で洗えばすぐに凍ってしまう。ということでお湯を沸かしぬるま湯を使って床にブラシをかけ、多目の水で流した上で、備えてある水きりワイパーでコンクリート床に残った水を外に掃き出すことである。掃き出した水は竹箒か庭箒でさらに外に掃き出して完成。


小屋との別れ

 そんなこんなで小屋を出発する準備が整った。ピリリとする空気を吸いながら長沢背稜に上がってタワ尾根を目指す。ウールのミトンとオーバーミトンを着用した手はすぐに温かさを取り戻す。そのうちに体も温まって夏の縦走スタイルの服装になる。気温はまだマイナス6、7℃。


タワ尾根を下る

 長沢背稜とタワ尾根の交差するところで一息ついて、尾根を下る。うっすら積もった尾根を歩いているのは小動物だけ。その足跡を追って下って行く。天気のいい土曜日なのに出合う人はいない。素晴らしい自然林の中を歩く贅沢、何度訪れても飽くことのない景観、タワ尾根万歳〜。


雪の朝を歩く足跡

 一石神社に無事下りて、次は汗をかいて冷えた体を癒すために奥多摩のもえぎの湯へ。温泉に入ること自体は極楽を体験することではあるが、もえぎの湯は塩素を多用しているものとみえ、このごろは身体に塩素臭が特に強烈に残るようになってきている。特に下半身を洗わないで湯船に入る者、湯船の中で体を洗う老人、湯船の中でタオルをゆすぎ始終大声で話す外(中)国人・・・。もえぎの湯は、もはや温泉と名乗るのも恥ずかしいようなところとなり果てている。 


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