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あきらめて酉谷山避難小屋からタワ尾根を下る (2015)
2016/ 3/17〜18


酉谷山避難小屋の水場


 2日目 (3月17日・金) 

 すがすがしい朝を迎えた。一つだけ逡巡することがあった。予定どおり大平山へ向かうのかと。昨日、ラッセルしているときは、七跳山や大平山の北側の雪はまだすごいことになっているのだろうから、行くまいと思っていた。朝起きてみると行ってもいいかなぁという気分にもなっている。しかし、2日続けて辛いことをすることもなかろうと、「行かない!」と決断する。


早朝のタワ尾根と富士山

 そうすると少し時間の余裕を持つことができる。と言っても1時間ほど。その時間を利用して、あれこれと小屋の掃除に充てる。小屋の板間に蝋燭(ろうそく)を直接置いて使った跡がある。本当にこんな人には来てもらいたくない(と言える権限は持ち合わせていない。)。今どき、山小屋で蝋燭を使う?信じ難い。昨晩使ったのはAIR LANTERN(エアー・ランタン)で、アマゾンで1,900円のものだ。


小屋にさようならを言う

 小屋の中には、トレッキングポール代わりに使ったであろうと思われる木の棒が置かれている。どちらも山で使うのに何の問題もない。要はその使い方、使用後の処理の問題であり、そのことに思いが至らないだけのことだろう。小屋の板の間はワックスがときどき掛けられている。(ただし、この小屋は平成26年からは公的な管理の手が入っていない。)そんなことをやってくれている人たちへの思いを少しでも感じられる人ばかりではないことは致し方ない。


長沢背稜

 最後に、水場の水を口に含んで、小屋と別れる。再び長沢背稜に出る。昨日残したトレースをただ拾って帰るだけのことなのだが、思いのほか時間がかかる。結局、タワ尾根の合流地点までに1時間45分ほどかかった。と言うことは、昨日頑張ってラッセルしたのに15分しか時間が短縮されていない。往路と袋での歩幅の違いも大きい。


長沢背稜の酉谷山方向への進路

 タワ尾根の合流地点で、小休止する。14日に降った大雪は、しっかり残っていて、合流地点から雲取山方向に延びる登山道は、もちろん誰にも歩かれていない。昨日、今日を通して鹿の足跡もほとんどなかった。時折熊が足跡を残し、野ウサギの足跡もあるにはあったが、鹿もラッセルは嫌だったのだろう。


タワ尾根合流地点(長沢背稜)

 ここまで、雪で大変そうだった風に一応書いては見たが、本当の雪山を歩いている人から見れば取るに足りない程度のことであろう。長沢背稜からタワ尾根に分かれて下るに従い、前日の気温の高さで雪は嵩を減じており、足跡を付けたところは地表が見えるようになっているところも出てくる。金袋山がもう少しと言うところで、青年2人が登ってくる。小川谷へ下りて沢を見てくるということだった。 


ウトウノ頭への鞍部手前の馬酔木が密生しているところから酉谷山避難小屋が見える

 鍾乳洞からのバスは、数人の客を乗せて奥多摩駅に向かう。10分程度の時間があるので、信号の角の店でビールと澤ノ井のカップを仕入れ、乗り込んだ電車が発車するまえからプシュっと音を立てる。疲れているからなのか、昼間のカップの中身はなかなか減らない。平日でも週末でも混雑している新宿駅で電車を乗り換えるのには躊躇するが、案の定、若い女が「この年寄りめ、平日の陽の高いうちからもたもたしやがって。」と言うように、わざと意地悪くぶつかりながら追い抜いていく。その追い抜いた後の目の前での進路変更には


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