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開発の魔の手からかろうじて免れているカタクリの咲く国道沿いの原野 浦臼
2004/4/24

北海道ならではの国道脇のカタクリなどの花園は誰も見向きもしない別天地 そっと静かにいつまでも!



エゾエンゴサクとカタクリ

 浦臼神社のエゾエンゴサクの花に群れるエゾリスの風景は初夏の北海道の風物詩となっていて,多くのマスコミやアマチュアカメラマンの被写体となっている。
 旭川,男山のカタクリを見に出かけるついでに寄ってみたが,エゾエンゴサクはまだ花を多く咲かせておらず,すぐ国道275号線をJR札沼線に沿って旭川へと車を進める。


奔放に咲き誇っている カタクリ

 国道沿いのわずかな湿地,低地にはミズバショウの花が咲いているが,そのような場所の多くは埋め立てをわずかに免れた一角であり,原野に咲く花にとっては危機的状況を呈している。

 国道とJRの線路が接近している崖地状の場所を見ると,沢水が流れ出ているようなので車を止め,線路を渡って奥に入ってみると,ミズバショウやエゾノリュウキンカが咲いていて,その上部の扇状斜面にはエゾエンゴサクとともにカタクリが咲いている。


トリカブトも葉を広げている

 その情景は,まさにこの世の別天地であり,線路敷設以降はほとんど人が足を踏み入れていない真空地帯となっているようだ。

 この場所を独占するつもりはないが,扇状斜面の上部は開拓された農地となっているに違いなく,そこから埋め立てでもされたら,この美しい野の花々はひとたまりもない。できることならこのような貴重な場所を所有し,自分ひとりの花園としてその形状を保つことはできないものだろうか。

 みずみずしい限りのエンレイソウ

 大きな規模の自然を保護するのもそれはそれでいいが,北海道の各地にある,わずかに残った表土が削られていない手付かずの土地は,もっと貴重なものだと思う。 いつかまたこの場所を訪れて,その無事を確かめてみたい。


  エゾエンゴサクとエンレイソウ

  車が疾走する国道のすぐ脇にも多くの自然が残っている。暖かな春の日差しを浴びた野の花たちは,一生懸命に咲いて,種を育てる。


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