[HOME] [1日目]

南御室小屋〜薬師岳〜夜叉神峠
(2012/ 1/ 6〜7)


薬師岳からの北岳


 1月 6日(土) 2日目・晴 

外はマイナス20℃、テント内に入れたらマイナス18℃に

あこがれの雪上でのテント泊

 シュラフの中は快適至極でぐっすり眠ったのですが、真夜中に顔に雪がぱらぱらっと降りかかる感触で目を覚ましました。実はそれはテントの内側に着いた蒸気が氷化して風が吹くと落ちてくるのでした。酒の燗をつけたり食事を作っているときの水蒸気がテントのボトムに着いて水滴になることは新聞紙を回すことで防げたのですが、顔やシュラフの閉じ口から発生する熱(立ち上がる蒸気)がテントの4辺のうち頭部が置かれるところの上部に当たってそこだけが瞬時に氷化していたのでした。(次回からは新聞紙を洗濯ピンチで挟んで防止)


ガマニ岩からの北岳

 また、シュラフの息がかかるところはびっしょり濡れていて、シュラフカバーの内側は水分が凍ってしまっています。今回の寒さは特に厳しく、温度計をテントの換気口から出して図ると、マイナス20℃になっていたのでした。4時に薬師岳に向け出発する予定だったのですが、この寒さの中をヘッドランプの灯りで歩くことは危険と、食事を済ませてから出発することとしたのでした。


アップ

 南御室小屋を出発し薬師岳に向かいます。小屋からはすぐ急登となります。途中2人の青年に追い越されます。目覚めていない体を動かす心臓の鼓動、吸い込むたびに凍りつく鼻孔、フェイスマスクからの蒸気で曇るメガネ・・・・・。それでも何となく歩き、薬師小屋で青年を捉えます。薬師岳の頂上標識でセルフタイマーをセットした青年のデジカメが強風で飛ばされます。北岳は雄々しく聳えています。素晴らしい〜。ここはカムエクかニペソツか。

 
薬師岳から白峰三山

 青年たちはこの強風の中を、観音岳まで行くそうです。もうここで十分過ぎます。すると、テント泊装備の同輩が観音岳から下りてきます。さすがに着衣・装備はしっかりしています。この後下山態勢に入りますが、何度も何度も立ち止まって北岳や間ノ岳を眺めます。薬師小屋からいったん登り返して砂払を過ぎると樹林帯ですので、風はあまりなく寒さは気になりません。


観音岳

 南御室小屋に着くと、テントを張っている男女がいます。時刻はまだ午前10時前なので、夜明け前から登ってきたのでしょう。テントに入って山専ボトルに詰めた温かいものを飲みホッとします。さて、テントの撤収ですが、この時間でも気温はマイナス15℃です。テントの中でできるものはすべてパッキングし最後にテント本体をたたみますが、あちこちが凍っていて嵩張るのでそのままテントに放りこみます。テントはエアーマットの間に水分が溜まっていました。エアーマットのR値(マットの暖かさを示す「熱抵抗値」)が夏山用の2.3なので、マットから熱が相当逃げて行ったからのことだったのでしょう。


あの沢筋に、あのカール底に、あの花が待っているような・・・。

 間もなく昼時になります。南御室小屋を出発して下山にかかります。今日は3連休の初日ですから、苺平を過ぎたあたりから次々と登ってくる人とすれ違います。ほとんどの人がテント泊のようで、マットをザックにくくりつけています。最近のテントブームは分かるのですが、中でも女性が多いのが目につきます。極寒の山でテントを張るために、この時期に登る人の顔は気力が充実しているように見受けられます。少し前の私のように、前日も遅くまで仕事だっただろうに・・・。


[HOME] [1日目]