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ペテガリ岳・神威岳登山関連林道情報


ソース先 林道の状況 林道ゲート鍵貸出し 登山情報 登山等の規制
日高南部森林管理署
北海道森林管理局
北海道環境生活部
北海道日高支庁
北海道日高町
※ 最近の林道状況・登山状況を知るには◎をクリックしてください。

△△△ 2010年のゲート情報 △△△

 ペテガリ岳 
2007年から施錠されていたゲートが許可制で開放され、峠越えをすることなく林道歩行(約6km)でペテガリ山荘に行くことができるようになった。(手続詳細は日高南部森林管理署へ)

静内駅〜(車両)〜高見ダムゲート〜(徒歩2時間)〜ペテガリ山荘
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 神威岳 
ゲートの施錠により13kmの林道歩行が必要だったがゲートの開放により本来の登山口である神威山荘まで車で直接入ることができるようになった。

荻伏〜(車両)〜元浦川林道ゲート〜(車両)〜神威山荘…神威岳(往復)…神威山荘〜林道ゲート〜荻伏


林道走行は自己責任が原則(2007年の状況から)
(2007/ 8/ 2)

 ニシュオマナイ林道ゲート閉鎖の事情とは?

 2007年夏、北海道日高山脈のエサオマントッタベツ岳からカムイエクウチカウシ山を経由し、コイカクシュサツナイ岳まで縦走する計画を立てていたが、初日に大型台風4号が北海道を通過するとの予報が出された。

 そこで、台風の進路いかんによっては、神威山荘からペテガリ山荘へと山越えして西尾根コースから東尾根コースを通して歩こうと考え、浦河町のタクシー会社に荻伏から山荘までの予約照会の電話をした。すると、ニシュオマナイ川の林道ゲートが神威橋付近で閉鎖され、神威山荘へは行けないとのことであった。

 これがHYML(北海道山メーリングリスト)に投稿されていた「日高南部森林管理署」による南部日高の一律的な林道閉鎖の影響かと思われた。

 日高南部森林管理署に林道の状況を照会したところ、「昨年(2006年)の台風の影響もあって、崩落の危険性がある。林道は一般の者が走行するに必要な整備がなされておらず、危険である。平成17年(2005年)に死亡事故が発生したこともあり、浦河警察署からも指導されてゲートを閉鎖した。いつまで閉鎖するかは分からない。」とのことであり、その時点ではあまりはっきりとした説明は受けられなかった。

 この事故は、平成17年に発生したもので、63歳の男性が、ペテガリ岳登山のため自動車を運転中、カーブを曲がりきれず路外に飛び出し川に転落して死亡、同乗者も重傷を負ったというものであり、遺族が訴訟を提起している模様であることは後日知るところとなった。

 北海道夏山ガイドC「日高山脈の山々」の神威岳のページを見れば、「林道後半では、落石、土砂崩れなどにも注意が必要だ。なお、林道にゲートはなく開放されている」と記載され、これまで、この林道は自由にその通行を認められていた。

 これまで何度も、花探しや登山の下見、神威岳登山、ペテガリ岳登山のためにこの林道を利用したが、夜間の走行を避け、いつも低速度で緊張しながら通行していた。しかし、この林道で死亡事故があったことは知らず、ゲートの閉鎖決定が森林管理署の恣意的なものだと受け取れるHYMLの投稿での記述もあったことから、せめてタクシー等の営業用自動車の通行の可否についても知りたかったので、日高南部森林管理署に聞いてみたが、一切通行を認めないとのことであった。

 国有林道のレクリエーション目的の使用については、過去、北海道行政評価局が行政相談を受けて、北海道森林管理局に適正な使用についてあっせんをしているが、ニシュオマナイ林道は、神威岳のほか、ペテガリ岳登山のための通行に必要不可欠な道路であり、HYMLの投稿やツアー会社のホームページに記載されているような理不尽な理由による閉鎖であるなら、登山という一つの文化、スポーツ活動において国有財産の利用が恣意的に制限される謂れはないものと思われる。

 また、林道の閉鎖が行政運営上等の理由でなされるのであっても、唐突にするのではなく、ホームページ等で広報する方法が採られてもいいのではなかったかとも思われる。(たとえば、浦河町のホームページでは[ソガベツの滝」へ行く林道の通行制限についての広報がなされている。

 後日、日高南部森林管理署の署長さんから

1 林道を登山のために利用されることは十分承知していて、その理解もあること。
2 林道の整備に努め、これまでも除雪を行うなどして登山者の利便を図ってきたこと。
3 今回は大きな低気圧の通過で風倒木の処理が必要であり、規制せざるを得ないこと。
4 死亡事故の発生で(一般車の通行を認めるならば)警察からガードレールの設置などを指導されていること。
5 これまで町道としての認定をしていたが、(町の財政が厳しく)その措置は平成18年までであって、一般車の通行を認めるための整備の実施が予算事情により困難なこと

などについて、詳細かつ丁寧な説明があった。

 林道の通行に関する事故によって訴訟が提起されているとの具体的な事例についての言及はなかったが、事故の発生が予測されるような状況にある林道について、その通行を制限することは、林野行政を担っている行政官としては当然に執らなければならない措置であり、それは署長の権限と裁量の範囲内の行政行為であることは判例(地方自治体の林道維持管理規程を見ると、林道の通行は一定の条件下において制限できるとし、判断の幅が広いことから、裁量行為であることが認められる。)を引用するまでもないものと思われる。

 なお、尾瀬の木道を歩いていて枯れ枝に当たって死亡した方の遺族が、国有林の所有者である国(森林管理行政官署)に対し損害賠償を求める訴訟を提起したとの報道や、奥入瀬における事故に代表されるように、何かあれば訴訟を起こすといった風潮の現代社会においては、行政側もこれまでのように鷹揚に構えてはいられないだろう。

 もし、平成17年のニシュオマナイ林道での事故で国家賠償請求訴訟が提起されているとしたら、またはそのような動きがあるとしたら、当事者である国(及び日高南部森林管理署長など)が応訴に要する事務負担及び経費は膨大なものになるであろうし、訴訟が終結するまでには長期間を要するが、一方で所掌業務は滞りなく遂行しなければならないことから、通常、訴訟に縁のない一般公務員にとっては、心理的、肉体的にも辛いものがあるだろう。

 署長さんは明言しなかったが、ニシュオマナイ林道林道の閉鎖に関しては、南日高南部森林管理署に相当数の抗議を含む内容の電話がかけられているものと思う。危険な状況下にあると認められる林道の通行を制限せず、その通行の結果は「自己責任」でとは言っても、残された者が訴訟を提起しないとは限らず、林道の管理者としては一般車のへの開放の見極めが難しい立場にあることは想像に難くない。

 今年(2007年)7月、エサオマントッタベツ岳からカムイエクウチカウシ山を歩いて八ノ沢を下り、七ノ沢からピョウタンの滝までの10数キロの林道及び舗装道路歩きは本当に辛く、ここにある道路で車両通行が認められればどれだけ時間が短縮できるだろうかと思った。

 しかし、極論すれば所詮山歩きは個人の楽しみに属するものだ。なんでも訴訟で物事を片付けようとする社会風潮にありつつあるし、学校教育の現場に対し過剰なクレームをつける、いわゆるモンスターペアレンツと呼ばれる父兄の問題がクローズアップされているように、行政に対する威迫も日常的になっている現在、万一の事故を想定すると、その対応に慎重にならざるを得ない(行政事務を執行する側も身を守らなければならないだろう)ことから、浦河町や国の財政事情が好転し、林道が一般のドライバーが入っても大丈夫との整備がなされない限り、当分は林道の閉鎖が続くものと思わなければならない。

 風倒木の搬出作業が早急に終了する(以前の大雨によって増水し、流木で日高地方の沿岸地域が大きな被害を受けたことは記憶に新しい)こと、林道の整備がある程度進んだ時点で通行のルールを定めて、登山者が再び林道を利用できる時が来るよう願うばかりだ。

 林道を正直に歩く者がいる一方、一部道内のホームセンターでは合鍵が売られているらしいが、これを阻止するためには鍵を特注しなければならないであろう。森林管理署が使う鍵は汎用品だとのことで、いくら交換したところで汎用品ならばすぐ合鍵が作られてしまい、その経費も馬鹿にならないはずだ。

 今回の縦走で、エサオマントッタベツ岳から見た日高側の山の北斜面の樹木が、ところどころ広範囲になぎ倒されているのを見たが、倒木と土壌の流失が下流域に及ぼすことのないようにするには相当の期間を要するのではないか。早急に原状回復が図られ、ニシュオマナイ林道の通行が認められることを希望するが、それまでの間、ペテガリ岳に行くには神威橋から歩くか、最近は登られることの少ない東尾根コースを歩くのも一興ではないだろうか。

補足:平成18年度における浦河町政執行方針を見ると、河川整備として「元浦川神威橋上流砂防ダムの本体工事が始まります。」とされていることから、林道ゲート閉鎖の理由は、単に事故や風倒木の処理等の林野行政の要請だけにとどまらないようだ。)


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