幻のオキナグサ 大展望の権現岳〜赤岳テント泊縦走
2008/ 5/26〜27
■ 5月27日 (2日目) ■
幻のオキナグサ
■ 5月27日 ■
昨夜は、吹き付ける風でテントを揺らされ何度も目が覚めてしまった。昨年来の6か月ぶりのテント山行であったにもかかわらず疲れがほとんど残っておらず、夜明けとともにすっきりと目覚める。外は氷点下の寒さだが、昨夜の風はすっかり止んで、快晴の素晴らしい天気となっている。今日も絶好の山日和だ。早々にいつもと同じダイエット用の朝食を済ませキレット小屋のテント場を出発する。稜線に出るまでの斜面の雪はカチカチで、ピッケルやアイゼンを持たないことから細心の注意を払って登山道に出る。登山道もところどころ雪が残ってはいるが支障はない。もろい岩の厳しい斜面を登ることになるが、快調に高度を上げる。
権現岳の後ろに南アルプスの山々
言うまでもなく日本一の山
早朝の赤岳頂上と頂上小屋
権現岳を振り返ると南アルプス、中央アルプス、東に富士山、西に北アルプスの山々が間近に見える。あと一月もすると北岳に登ることができる。赤岳の頂上から阿弥陀岳に向かって下りている人が見える。まだ午前7時を少し過ぎたばかりなので、頂上小屋に泊まって早出をしたのだろう。ようやく頂上に着いて一息入れていると小屋から「あら、人がいるよ。」との女性の声が聞こえてくる。そして歩荷(ボッカ)の青年2人がキレット方向に下りていく。今日は早めに下りてヤマシャクヤクを探すことにしている。真教寺尾根を見下ろすと牛首山までの稜線にびっしりと雪が着いている。結構大変な歩きになることが予想されるので、頂上での滞留も早々に切り上げて尾根分岐まで戻る。歩荷の2人に追い付いた。キレット小屋に行くと言うので、「小屋の窓が割れているが、雪のせいでしょうかね。」と聞くと、「窓を割られ中が荒らされた。」という。プラスチックの破片も打ち付けられた板も落ちていなかったことから変だなとは思っていたが、そうだったのだ。山家も善良な人ばかりではない。
尾根下部のミツバツツジ
真教寺尾根は滑落事故の発生もある急斜面が、分岐からしばらく続いている。その斜度は日高の1839峰への最後の核心部の斜面と同様で、距離は何倍もある。慎重に、慎重に下るが、ところどころ急斜面に雪が張り付いている。なんとか通り抜けたあとは樹林帯の硬い雪を踵でブレーキを掛けながら急坂を下っていく。2002年の同時期とはまったく様相が違って、雪がとても多い。期待していた花どころか、草花の芽吹きもまだで、気候はずいぶんと遅れているようだ。扇山を過ぎ、きれいなベンチが置かれている牛首山の頂上で「ちょっと」のつもりで横になったら、30分も寝入ってしまったが、そよ風と小鳥のさえずりで目が覚めた。
真教寺尾根を下り扇山から赤岳を振り返る
大泉清里スキー場の終点の岩場ではこの時期イワカガミが咲くのだが、管理の人に話を聞くと「5月だというのに季節外れの雪が降ったから花が咲くのが遅れているのかもしれない。」とのことであった。岩を積み上げた場所に行ってみるとわずかに花が咲いている。羽衣池まで下りれば何がしの花を見ることができるだろうと先に進んだが、ミツバツツジ以外に咲いているものはなく、たかね荘周辺のクリンソウも見つからなかった。停めてある車の回収のために清里からタクシーにきてもらい天女山に向かい、すぐさまヤマシャクヤクがあるという川俣渓谷を歩くが、目的の花が見つからない。下山後にまた標高を上げながら歩くのは、いくら花を見るためとはいえ非常につらい。「もういいか。」と踵を返し「たかねの湯」で汗を流す。施設の周囲に植えられたシャクナゲが余りにも綺麗だったので、品種を聞くと西洋種の「アンナ・ローズ」だとのこと。花はの山に咲く自然の花がいいが、そのようなこだわりがどうしたというんだと言わんばかりの美しさであった。
今回の八ヶ岳テント泊縦走には、ダイエット後の体調を確認する目的もあった。いつもは喘ぎながら登るような斜度の登山道もなんとかクリアしながら歩き、下山後の1回のストレッチのほかは何もしないで3日が過ぎたが、特段の疲労感や筋肉痛もない。これまでは今と比較すると脂肪という余分な数キロの荷物を担ぎ上げていたから、今回が楽に感じたのが当たり前かもしれない。あと20日で片道12時間の幌尻岳山行が待っている。気を抜くことなく準備し、耐えて北の山を歩いてこようと思う。
1日目 | 2日目 | ||
天女山駐車場 | 0855 | キレット小屋 | 0545 |
1859m | 0940 | 真教寺尾根分岐手前 | 0645 |
前三ツ頭 | 1125 | 赤岳頂上 | 0740 |
三ツ頭 | 真教寺尾根分岐 | 0800 | |
権現岳 | 1323 | 2356m扇山 | 1015 |
キレット小屋 | 1500 | 牛首山 | 1030 |
たかね荘 | 1240 |