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北アルプス・フラワーロード テント泊縦走記
蓮華温泉から朝日岳
(その3)
2011/ 7/16


チングルマ (13:32 千代の吹上手前の雪渓)


 7月16日の3  


サンカヨウ (13:02)

 今回はシラネアオイを写真に収める機会を何度も逸してしまった。その最たるものは白馬大池から天狗の庭に下りるところの見事な集団だった。数人のグループがビデオを回しながら歩いていたが、それは後から俳優さんたちだったことが分かった。そのグループを追い越していくとしばらく先に背負子にサックや撮影機材などの重い荷物を背負った人がいて、道を譲ってくれたので先に進んだが、あにはからんやこの人は本職の歩荷のようで、距離は縮まらないままそのシラネアオイの場所に着いたので、停まってカメラを取り出しては悪いなと思ってやめた。その先にはこれほどの素晴らしいものがなかった。それほど素晴らしいシラネアオイを見逃したのだった。


オオサクラソウ (13:11)

 最後の雪渓の前の雪田周辺には見事なチングルマの群落が斜面を覆って広がっている。それも今日咲いたばかりと思われるような新鮮なものばかりだ。その美しい光景は忘れようがない。そしてまたしてもオオサクラソウだ。一株にたくさんの花を飾り、まだミツバチが花弁に穴を開けていないものも多くある。


ミヤマキンポウゲとオオサクラソウ (13:12)

 ミヤマキンポウゲは、数多あるシナノキンバイソウに比べ派手さはないが、オオサクラソウと一緒の場所に咲いていたものは可憐そのものだった。フレッシュとか無垢というのはこのミヤマキンポウゲのことを言うのではないだろうか。こんな光景がしばらく登山道脇に続く。


千代の吹上手前の雪渓に行く (13:26)

 雪で埋まったこの沢を登りハクサンコザクラの咲く草地を横切ると最後の雪渓になる。だんだん稜線に近づくとニッコウキスゲが存在感を示す。当初計画ではこの稜線に付けられた栂海新道を、最後の2日間で日本海まで歩く予定でだったが、いくら黒岩平の花園が素晴らしいからと言って、この猛暑の中では身体が持たないだろうと中止したのだった。


ニッコウキスゲ (13:51)

 雪渓を登り切って低木帯をさらに登り千代の吹上に出る。ここは栂海新道と今登ってきた五輪尾根との分岐点となっている。蛇紋岩が露出したそこにはミヤマムラサキ、タカネシオガマ、タカネバラ、イブキジャコウソウ、ミヤマウスユキソウ等が咲いている。ここで少し長めの休憩を取りった。何気なく携帯電話を取り出してスイッチを入れると、なんとFOMAにアンテナが3本立った。蓮華温泉では携帯電話は使えなかったし、千代の吹上から見える街などがあろうはずもない。そういうことで行程管理人に現在位置をメールで知らせた。


ミヤマムラサキ (14:25 千代の吹上からの登りしな)

 千代の吹上から朝日岳へ登ることになるが、ミヤマムラサキのほかウルップソウが多くありる。しかし、灼熱のガレ場にあるウルップソウはどれも花の時期を終えて茶色の穂だけになっている。しばらくは蛇紋岩のガレ場だが、あまりの照り返しにウルップソウ以外の花に何があったか朦朧として何も覚えてはいない。朝日岳の頂上に近づくとまた低木帯になる。そこを通り抜けるとひょこっと頂上に出た。男性2人が休憩中で、その方たちが白馬大池でテントを張り、水の流れでビールを冷やしていた人たちだった。なにやかにやと話し込んでいるうちに30分も経っていました。朝日小屋へと一足先に向かう。


キヌガサソウ (15:51 朝日岳から小屋への下り)

 朝日岳から朝日小屋に下りる登山道は荒れている。木道も朽ち果てたり折れ曲がったりと五輪尾根の新潟県による整備とは大きな見られる。それでも歩くのには何らの支障はない。キヌガサソウやチングルマ、ハクサンコザクラを見やりながらようやく朝日小屋に到着する。蓮華温泉を出発して11時間もかかった。120枚分のシャッターを押し、朝日岳頂上での30分の休憩を考慮すると、なかなかやるじゃないかと自画自賛。


朝日小屋 (16:08)

 小屋でテントの申し込みをしてすぐさまテントを設営し、まず、日本酒を雪渓からの流れに浸す。そして再び小屋に戻ってビールを買い求めテントに戻る。これまで数多くいろんな場面でビールを飲んだが、これほど激烈に旨いビールを飲んだことはない。そのうちに朝日岳頂上で面識を得た「O山岳会」のSさんから、キャベツとウインナーソーセージ入りの焼きそばの差し入れをいただいた。

安逸の場所 (03:59)

 ビールと日本酒の酔いが心地よく回ってすっかり寝入ってしまった。起きてみるとまだ夕焼けの残像が見えるというのに、テントの上で乾かそうとしていた衣類はどれも濡れている。気温が下がって水蒸気が凝固したためだろう。再び深い眠りについて目が覚めた時には、月がテント場を照らしていた。


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