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北戸蔦別岳〜ヌカビラ岳
(2012/10/ 6〜8)
神々しい朝
■ 10月8日(月) ■
昨晩も早いうちに寝てしまったので、目覚めたのはまだ日が昇るのにまだまだ早い時間だった。御来迎を見ようと頂上で待つが、風は相変わらず強いので、風の当たらないピパイロ寄りの雉場で夜明けを待つ。いやはや、とんでもない景色だ。徐々に夜が明けてきたのでテントの風情をカメラに収め、再び雉場に戻る。
朝日に染まるカール
日高の絶景を堪能していると、なにやらにぎやかな声が聞こえてくる。テントに戻ろうとすると「○○さ〜ん。」と私の実名を呼ぶ人がいる。このホームページをご覧になっていて、テントと入山届から私を特定したとのこと。初めてお目にかかる方だったが、HYMLで承知している人とその仲間たちであった。日高の山のまだ夜も明けやらぬ時の思いもかけない出会いであった。1967峰に向かうという皆さんを見送る。
1967峰に向かう人たち
この後2時間あまり、日高の山々に見とれる。これほどのロケーション,シュチエーションは日本広しと言えども、どこにもなかろう。ここはたかだか標高1900mほどではあるが、野趣に富んだ原始性が保たれたところであり、(最近は登る人が多くなったとはいえ)3連休にも関わらずたった数張りのテントで収まっている静寂性。惚れ惚れする山域である。
ヌカビラ岳への道
もう陽は高く昇って、日高の山を辞去しなければならない時刻になっている。名残惜しいがテントを畳んで頂上を離れる。また次に訪れることができるかどうかは定かではない。いつまでも初心な北戸蔦別岳であってほしい。
幌尻岳
ヌカビラ岳のハイマツの中にテントを張ったご夫婦は既に出立したようだ。その先で男性が煙草を燻らしながら幌尻岳を眺めている。昨晩はここにテントを張ったとのこと。そこはゴツゴツとした岩場だった。お話をうかがうと日高が好きで好きで、ただ眺めているだけで幸せだとうい地元の人であった。日高フリークもここまでくればたいしたものだ。
ナキウサギの里
ヌカビラ岳の岩場で、ナキウサギの姿を見る。「ピチピチ、ピチピチ」と鳴きながらあっという間に姿を隠した。これまでここでは鳴き声も聞いたことがなかった。
ナキウサギ
その岩場を過ぎて下る途中、再び「ピチピチ、ピチピチ」とナキウサギの鳴き声が聞こえる。ふっと見上げると、ナキウサギは岩場のテラスでいつまでも私を見送ってくれた。
夏の想い出
初夏はこのとおり
ナキウサギが生息する岩場を過ぎるとハイマツと灌木の中を下ることになる。雪が残っているときにはルートファインディングに難渋するところだ。夏道を順調に進むと、往路の獣臭はまったくなくなっている。二岐沢まで続く急斜面の下りなので、用心しながら歩く。
チロロ岳遠望
まあまあなんともしつこい赤テープだ。渡渉点に限らず、迷いようがない直線ルートの途中にもこれでもかとテープが付けられている。うんざりしながら沢を渉り、河畔林を歩く。そのうちに北電の取水場に着き、今回の日高の山のフィナーレを迎える。
二岐沢
終わりよければすべてよし。3日目の今日の天候は素晴らしいものであった。2012年は一度も足を踏み入れなかったからと計画した北戸蔦別岳〜幌尻岳縦走は、円満にかつ事故なく終了したのであった。