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カムイエクウチカウシ山〜コイカクシュシュサツナイ岳縦走
2009/ 7/27〜7/31


 3日目の後半 (7月29日) 


このハイマツの藪を泳ぐ。1823峰は遥か彼方

 1602mのコルは別天地だ。(09:25) ガレ場上部の広大なお花畑を通ってコルに下りる。そこもヒダカゲンゲ、エゾツツジ、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、セリ科の花などが広がっている。ナキウサギも盛んに活動しているようだ。テン場は岩を積み上げてコイボクシュシビチャリ川から吹き上がる風を防いでいる。この次(の人の多い時期)にカムイエクウチカウシ山を登る機会があったら、テントはここに張ってのんびりしたいと思う。ヒダカゲンゲは、他の場所ではすでに花が散っていたが、1602mのコルはまさに今が花盛りである。花の色は、梅沢俊さんの図鑑でみるよりずっと淡い。


当たり前のハイマツやダケカンバの藪

 1602mのコルを出て登りにかかる。少し行くともうそこではおびただしいハイマツが待っている。1640mのピークまで1時間も掛かって登ると、その先はさらに酷い藪となっている。メモには「ヤブ最悪」と残されている。結局09:35に1602mのコルを出て1737mのピークのテン場に着いたのが14:15だから、結局この間を移動するのに4時間40分も要している。途中鮮烈なオオタカネバラのピンクの花や咲き終えたミヤマハンショウズルに迎えられたのが慰めである。(リンクはブログへ)


抜けても抜けても藪・藪・藪・・・


この藪ロードは実際に入ってみないと実感が湧かない


1737m。岩交じりの稜線はそれが登りであっても快適だ


1737mのピークを下りたすぐにある隠れ家的なテン場 十勝側にあって西からの風雨を避けるのにもってこいの場所


辿ってきた縦走路を振り返る


1823峰へ向けてもう一歩 背の高いハイマツが拒むように見えるが、それは画像の悪戯

 1640mからはもう何も考える必要もない。ときおり密生したハイマツの下にある踏み跡を探り当てられず、乗っ越すべき場所を直進したり、崖の脇のスベリ落ちるような踏み跡を延び放題に伸びた太いハイマツの枝に邪魔されながら慎重に進む。しかしペテガリ岳からヤオロマップ岳を歩いたときの1600m付近でのような緊張感はなく、いわば義務的に淡々と、しかしかなりの抵抗を得ながら先へと進む。したがって水の消費も多くなり、結局、カールから1823峰までの間に2リットルを使ってしまった。最後のほうはブドウ糖をなめることによって唾液の産出を促して喉の渇きを減ずる。


カムイエクウチカウシ山〜コイカクシュサツナイ岳の中間に位置する1823峰頂上のテント場

 1737mのピーク付近に凹地があって、テント一張り分のスペースがある。ナナカマド、ミヤマハンノキ、ハイマツなどの低木に囲まれた天然のシェルターだ。十勝側は視界が開ける。1737mから見える右手の枝稜線は1823峰から派生するものではないことは地図上からも分かる。1823峰の手前にはピークがあって十勝側に枝稜線が走っている。そこからゆるい傾斜の稜線が1823峰へと続く。西の空が真っ黒になっている。早くテントを設営しなければならない。間違っても1823峰に先客がいないことを願う。


1823峰のてっぺんからからカムイエクウチカウシ山とピラミッド峰方向

 ハイマツ帯をポッと抜けると1823峰のピークであった。(15:50) そしてピークの手前にはテント一張り分のスペースがある。あまり頻繁に使われることのない場所なのだろう。ポコッとした3つの草の塊がテントの下になる。コイカクシュサツナイ岳方向の展望はないが、カムエクが、ピラミッド峰が、1807mが見える。歩いてきた稜線は濃いガスに包まれている。吹きさらしのピークのテン場だが、風は強くない。風上の2か所の張り綱を、岩石を包むネットに繋ぎ、急な天候の変化に備える。


老少年

 日が暮れかかると雨風となる。これで完全にペテガリまでを歩き通そうという気力が失せてくる。行程管理人にメールを打ち、コイカクシュサツナイ岳から札内川ヒュッテに下りる旨伝える。明日は多少の雨でもコイカクまでは行こう。辛い一日になりそうだ。


コイカクシュサツナイ岳方向を見る

 ここは頂上で風通しのよいところなので、風に吹かれた場合、張り綱をペグだけで維持するのは困難なだろう。そのようなことを想定してアライテント製の張り綱連結用の岩石ネットを用意してきた。ペグを打ち込めないようなところや大きな岩でしっかり固定するときに役立つ。


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