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花三昧の北アルプス 朝日岳〜雪倉岳〜白馬岳縦走

2006/ 7/22〜26


 3日目(7/24) 


千代の吹上手前の雪渓

 本来,今日は白馬岳までのロングランコースではある。しかし,昨夜来の雨が降り続け,テントの下は小川となっている。天気予報は梅雨前線の停滞を伝えていて,午後からの状況はさらに悪い。まだ先は長いし,食料も必要文しかないことから,取り敢えず焼酎を捨ててわずかな重量を減らし,水は2リットルとした。

水平道は雪渓が張り付いていて通行止めとなっているので朝日岳まで登り返し,水平道の出合までちょうど2時間で着いた。小桜ヶ原からツバメ平までは木道が敷設されているが,木道のない凸地は水が流れ,あるいは水溜りとなっていて,朝露とあいまって靴の中が徐々に濡れてくる。

 雪渓がやっと溶けた登山道脇にウルップソウが1株,雨のシャワーを浴びて淡いブルーの花を浮かび上がらせている。妖艶としか言いようがない。


五輪ノ森 キヌガサソウ

 ツバメ平が終わると大きな山が崩落してガレを次々に堆積させている。これほど足と手を動かしているにもかかわらず,吹き付ける雨と風で徐々に体温が低下しているのが分かり,足の筋肉も悲鳴を上げそうだ。稜線を越えて風の下になったのを機に,シャツを1枚余分に着込んでから,それ以上の寒さを感じなくなった。

 ここから雪倉岳までの登りは約600mある。風雨の槍ヶ岳を思わす状況となった。30kg近いザックを担いだ体全体が風下に流される。しかし,なんとか避難小屋まで着かなくてはならない。ザレ場が草付に変わったとたん,透き通ったピンク色のタカネナデシコが次々と姿を現す。しかし,薄い花弁は雨で姿を保てずその本来の美しさを見せてはくれない。


ミヤマアズマギク

 ツバメ平から白馬岳までの稜線に水場はなく,雪倉岳避難小屋でも水は取れない。避難小屋に着いたのが午後1時で,一晩中風雨が小屋を叩きつけているから今日の出発も遅らさざるを得ない。前日は登山道脇の水たまりの水をコップですくって沸かして用いたが,茶色の水はいかんともし難い。登山道から斜面へのわずかな流れから水を取るように窪みを作り,白馬岳までの緊急用飲料水として携行する。

 小窓から見る雨は,富山県側から稜線を越え新潟県側に水平に流れて行く。小屋はごうごうという音に包まれている。もう8時にもなる。いつまでいても状況は変わらない。鉢ヶ岳の裏に回れば,風は避けられる。

 濡れた下着,濡れたズボンにシャツ,水の入った登山靴で仕度をし,腰を上げようとすると外に人の気配がして,白馬岳から来たという男女6人のパーティーが小屋に入ってくる。これから朝日岳まで向かって明日イブリ尾根を下りるという。いずれも中年を過ぎた人たちだが,志気が高く統制がとれたグループと見受けられた。


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