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ゴールデンウィークのタワ尾根から酉谷山避難小屋
2012/ 4/29〜30


金袋山・ミズナラの巨樹付近のエイザンスミレ


 4月29日・日曜日 (1日目) 

 2012年のゴールデンウィークは、山に登る暇がない予定でしたが、どうにか1泊の山に行けることになりました。連休の真っただ中でどこもかしこも人だらけ・・・、ということを覚悟で中央線に乗ったところ朝の通勤電車の様相で、乗り換えた青梅からの電車も超満員。ほうほうの体で下りた奥多摩駅からは山に向かうバスも増便に次ぐ増便ながら乗り切れない乗客を置いての発車というありさまです。東日原向けのバスは、川苔山の登山口で多くを下ろしましたが、終点の東日原で下りる人の数も想像を超えたものです。


キケマンとスミレ

 

 しかしその乗客の行く先は鷹ノ巣山がほとんどで、バス停でもたもたしていたことから何人が日原鍾乳洞方向に行ったのか分かりませんが、一石神社で2人に追いついたほかは、人影がありません。若い人が山に多く入るようになっても、まだ登山雑誌が薦める山に向かっているんでしょう。タワ尾根を歩こうなんていう人はそれほど多くありません。そんなわけで、いつも通りの静かなタワ尾根を目指します。先行していた2人は、金袋山のミズナラの巨樹まで、行けたらウトウノ頭までということです。そのうち、お腹がぽっこっり出た男性がデッキシューズで一石山に取り付く支尾根にあるベンチに登ってきました。先行の2人が、「ザックも水もなく、その靴では大変だから引き返したらどうですか。」と忠告しますが、その男性はいつの間にかいなくなってしまいました。


萌える奥多摩

 ベンチから一石山が乗る尾根に出るまでの間は、植林地の中の相当な急登りです。その厳しい傾斜に真新しいトラロープがこれでもかというほど張り巡らされています。そして尾根に出ると「べたべた」「べたべた」「べたべた」と荷造り用の赤いビニール紐がとんでもなく短い間隔で木に結び付けられています。これほどの目印が付けられた山は、両神山以来の稀有なことです。もう景色や萌え出した若芽の雰囲気を味わうというような情緒を保てる雰囲気ではありません。まさに精神異常の世界です。


一石山のミツバツツジ

 そんな中、この尾根で見かけた2株のミツバツツジの花が、大きく傷ついた心を慰めてくれます。そのミツバツツジも一石山にあっただけで、その後は、延々と荷造り紐を見ながら歩かなければなりません。朗報は、金袋山から敷設されていたモノレール軌道が撤去されていたということでしょうか。上部ではまだ少し残っているものの、間もなくすっきりした尾根に戻ることでしょう。(長沢背稜近くまで延びるモノレールはこれまでどおり。) 


ウトウノ頭のミツバオウレン

 篶坂ノ丸からウトウノ頭への登りで、苔を丹念に撮影している人がいます。次に3人とすれ違いますが「ほらそこがウトウノ頭だよ。」と教えてくれます。ここも荷造り用の紐が「べたべた」「べたべた」と見苦しい限りです。3〜5m間隔ですから、「ご苦労さん」とか、「ようやるわ」とか、「スタミナあるな」などと思いながら大京のクビレに下りようとすると、本当にまるで木々を軽々渡るような感じの身動きのおじさんが、紐を木に括りつけているところでした。取り敢えず「どちらに行かれるのですか。」と声を掛けます。おじさんはびっくりしたようですが、それでもひらりひらりと紐を括りつけながら先に進んでいきます。


長沢背稜のハシリドコロ

 間もなく長沢背稜というところで、今朝のバスの中で見かけた男性が下りてきます。「今朝お見かけしましたが、早いですね。」とあいさつします。その後ろに件のおじさんが控えていて、5月12日にタワ尾根を使ったトレランを開催するための下見と、ルートを示す目印を付けるために歩いていたということでした。後刻調べてみると参加者600人のトレランということで、ブームに乗っていい商売ができるようです。
 もう酉谷山避難小屋が近いというところで、ソロの男性が向かってきます。「どこまで行くんでしょうか。」と尋ねると、「小屋はもう満杯、女性4人組がいるので遠慮するわ。もう少し先に進んで二重山稜となったところでビバーク。」と言っています。


狭く切れ落ちている縦走路

 小屋に着くと男性2人組が食事中でしたが、女性4人組は酉谷山を往復中とのことです。幸い現時点で6人、コンクリートの土間に寝ることができるので、ゴールデンウィーク中としては恵まれたほうでしょう。その後男性2名がそれぞれビバークスタイル、最後の2人が土間ということになりましたが、今宵の酉谷山はお互いに譲り合い、和気あいあいの雰囲気の中で過ぎて行ったのでした。


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 着  地点  発
 着  地点  発
   東日原 0925    酉谷山避難小屋 0735
1000  一石神社 1000 0755   酉谷山 0755
1105  一石山 1110 0900  大血川分岐 0905
1210  金袋山 1210 1025  蝉笹 1025 
1235  篶坂ノ丸 1235 1115  1284m 1125
1320  ウトウノ頭 1330 1200  1003m祠 1205 
1425  長沢背稜 1425 1310  林道取付き口 1310 
1510  酉谷山避難小屋    1410 武州日野駅  
 所要時間 0535    所要時間 0645