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長沢背稜をラッセルしてようやく酉谷山避難小屋へ
2013/ 1/25〜26
酉谷山避難小屋
■ 1月25日・土曜日 (1日目) ■
夜中にふと目覚めて、厚手のスパッツを取り出してザックに括りつけていなかったら、今回の酉谷山避難小屋への道筋は、大変なことになっていただろう。平地にも大雪をもたらしたが、その雪が山ではどんなことになっているかの想像はしたつもりでも、実際は及もびつかないものだった。
ただ、いつもは75リットルのザックを担ぐのだが、今回は50リットルのものにした。そして、省けるものは徹底的に省いてその範囲の中で詰められるものだけを入れて軽量化し、雪道に備えた。ただ、湯たんぽだけは通常よりも大きなものにし、敢えてそれに水を入れた。というのも、1月1日現在、酉谷山避難小屋の水場に水が流れていないとの情報に接していたからだった。
一石山へでさえこんなに積もっている
今回は(も)財布に優しい山登りということで高速道路を使わなかったこと、朝時間通りに目覚めたものの、ぐだぐだしていて出発時間が遅れ、東日原に着いたのは10時少し前となってしまった。青梅警察署日原駐在所で警察官に持参した登山計画書を出すと、それを眺めつつ「雪が降ってからタワ尾根は歩いた人はいないですよ。」「雪があって大変ですよ。」と言ってすんなりと計画書を受け取ってくれない。その言葉の意味は暗くなってから身にしみて分かった。プロの忠告は真摯に聞くべきであるが、気力充実、体調もまずまずというのでは、躊躇という言葉さえ浮かばない。
「普通」の巨樹
一石神社から氷化した急斜面を喘ぎながら登る。何回登ってもこたえるところだが、ベンチまで我慢して登りエネルギーと水分を補給する。すっかり汗をかいてしまったので1枚脱ぐが、谷から吹き上げる風が冷たい。「金袋山の巨樹」の手前を巻いて尾根に乗っかり、雪の薄いところを探しながら標高を上げる。上空の雲は早いスピードで流れている。午後から第一級の寒気が流れてくるとの予報ながら、青空が広がったままなのがいい。
タワ尾根
金袋山まではまだよかった。しかし、篶坂ノ丸を過ぎるとアップダウンが出てくると同時に、岩稜を微妙に巻くところがあったり、足場の不十分な急斜面を登るところがあったりで、それに積雪が加わると体力の減衰が顕著となってくる。ウトウノ頭の手前でどうしてスパッツを着装しないとダメな吹き溜まりがあり、ようやくスパッツを着ける。だんだん計画の時間とのかい離がでてくるが、悪あがきはできない。金袋山でエネルギー補給をしただけで休憩は採らなかったが、長沢背稜までは何とか気力でカバーできた。それは、長沢背稜に出れば雲取山への往来の足跡があるだろうとの漠然とした期待であった。大京ノクビレからをタワ尾根をひと登りし、モノレールの終点から登り切ったらようやく長沢背稜だ。その合流部の手前から眺めた長沢背稜にはなんら足跡は認められなかった。そのとき時刻はもう午後4時になろうとしていた。
酉谷山分岐
いやはや、誰の踏み跡のない長沢背稜には手こずった。雪はすっかり登山道を覆い隠し、どこが夏道なのかも定かではない。それでも鹿やツキノワグマがときおり雪の薄いところを歩いていることもあるし、夏の感触を思い出しながら、時に股下まである雪を漕ぐ。もしスパッツがなければ、登山靴に雪が入り込んで大変なことになっていただろう。どうにかこうにか普段の倍の時間を要して酉谷山への分岐にたどり着く。ヘッドライトは凹凸のない雪の斜面を照らす。カラマツの植生が出てくると酉谷山避難小屋が近いことを知らせてくれる。
軽量化を図っても「湯たんぽ」は安眠のための必需品
ようやく酉谷山避難小屋が現れる。月の光を浴びた小屋には灯りが見えない。一杯水避難小屋からの道にも足跡はなく、小屋に人はいない。まあ、それは平日でもあるし、これほどの雪なので当然と言えば当然だ。肝心の水場に水の流れはないが、枡の縁を水が濡らしている。誰かが苦労してその水を採ったのだろう。ありがたいことに小屋には容器に2リットルの水が置かれている。外気温は−8℃だが小屋内は6℃と暖かい。ザックを置いてすぐ水場の導水に取り掛かる。1時間ほどかかってもう手が凍傷になる寸前で水の流れを回復させることができた。長い時間外にいてすっかり冷え切ってしまった体に熱燗が流し込まれると、生きた心地がする。簡便な夕食後、湯たんぽを準備しシュラフに潜り込む。幸せの極致!
往路(1日目) | 復路(2日目) | |||||
着 | 地点 | 発 |
着 | 地点 | 発 | |
東日原 | 1000 | 酉谷山避難小屋 | 0845 | |||
1025 | 一石神社 | 1025 | 1030 | タワ尾根分岐 | 1035 | |
1240 | 金袋山 | 1300 | 1125 | ウトウノ頭 | 1125 | |
1330 | 篶坂ノ丸 | 1330 | 1200 | 篶坂ノ丸 | 1200 | |
1425 | ウトウノ頭 | 1425 | 1215 | 金袋山 | 1215 | |
1545 | 長沢背稜 | 1545 | 1320 | 一石神社 | 1320 | |
1740 | 酉谷山避難小屋 | 1345 | 東日原 | |||
所要時間 | 0740 | 所要時間 | 0530 |