北アルプス 裏銀座縦走
(烏帽子岳〜水晶岳〜双六岳〜槍ヶ岳)
2002/8/12〜16

荘厳厳粛な槍ヶ岳の黎明
□ 4日目 2003/8/16
憧れの槍に登る。ごつごつとした岩、尖っていてナイフのエッジのような岩。自分は、槍を目の前にしたとき、本当に登れるのだろうかと恐れていた槍。昨日の惨憺たる苦労と、危険な西鎌尾根をチャレンジしたご褒美に、今日の晴天をもらった。
04時30分、頂上に立つ。頂上は狭く、足場も悪い。ご来光を待つ好位置を占めるが、その先は断崖絶壁のまっさかさま。ご来光を待つ。苦労して歩いてきた裏銀座縦走路が、はるか遠くまで見える。表銀座も富士も見える。浅間は遥かかなたにあって、噴煙を上げている。

夜明け前の岩場の通過(槍)
360度の視界だ。視界に入る山小屋は、いずれも山頂か尾根道にあって、それぞれから明かりが漏れている。山小屋の明かりは、登山者を温かく包んでいる象徴のようだ。
結局、ご来光を見ることはできなかった。地平線に懸かる厚い雲の隙間から、太陽の光が上空の雲に反射する。かつて見たことのない神秘的な太陽と雲の共演が見られる。実に素晴らしい風景だ。しかし、厳しかった登山の連続に、いまだ感傷にどっぷりと浸かる十分な余裕はない。また、今日は、9時間の下り一辺倒の登山道が待っている。

夜明けを待つ(槍)
明るい声が聞こえる。満足感を晴れ晴れとした顔で表現している女子大生グループが一升瓶を口にしている。。清酒「立山」を持ってきたという。この酒を頂上で飲みたかったという。ビンの口を手でぬぐって、呑めという。清新な液体が喉を通っていく。
これまでの山行では、早寝早発ちをするため、山小屋で朝食を摂ったことはない。今回は、早朝に山荘から槍ヶ岳を往復したので、山小屋で朝食を摂る機会が持てた。食事の後、のんびりムードで風景を撮影するなどしているうちに、予定の出発時刻を過ぎてしまった。やっと下山体制に入る。

夜が明けた槍 頂上への渋滞が続く
梓川の源流を渡るころには、紫色の花を付けたトリカブトの大群落に出会う。純粋な紫という色の表現方法があると言うのなら、このトリカブトの花の色を言うのかもしれない。今を盛りと咲いている。ハクサンフウロも混じったお花畑を横切り、乗越沢や槍沢ロッジで小休止をしながら、11時20分、横尾に着いて昼食にする。まだ先があるが見通しが立った。Yさんが生ビールを買ってくる。目の前の泡には勝てない。先のことは考えないことにした。

槍の稜線から槍沢と2つのヒュッテを見る
また新潟の2人組が来た。槍に登っていたときは見かけなかったが、槍に登ってきたと言う。それなのに我々に追い着いてしまう。昼食を共にする。徳沢に泊まるから、ここからはゆっくりペースで歩くと言う2人に見送られ、上高地バスターミナルへと向かう。温泉にも入りたい。予定の列車にも乗らなければならない。疾風のごとく歩みを進める。
14時40分、上高地に到着した。どこも人、人、人で溢れている。上高地は都会の風情で、多勢に無勢、山の中なのに登山ルックはもう似合わない。

槍と東鎌尾根
バス待ちの列はとてつもなく長い。タクシーも1時間待ちだと言うが、20分ほど待って乗車することができた。新島々の妙鉱館の湯船で汗を流す予定が、渋滞により列車にも間に合わないという状況に置かれてしまった。釜トンネルから先が延々と大渋滞になっており、タクシーはなかなか前に進まない。

大曲
タクシーの運転手さんは、妙齢の女性だが、「しっかりつかまって。飛ばすよ。間に合わないかもしれないよ」「もう、こんな混む時期に上高地には来ないことだね。」と言いながら、取締りを気にしつつ裏道を飛ばし、列車の定刻2分前に松本駅に車を着けてしまった。

槍沢ロッジでの休息
息を切らしながら駅の構内を走って乗車した、あずさ号のデッキで、5日間着用した衣服を着替え、ウェットティッシュで体を拭いたが、周りの乗客には迷惑な臭いを振りまいていたのかもしれない。座席に戻り、山登りが趣味だという車内販売の女性から求めたビールを飲みながら、長かった縦走を回顧した。