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北海道のベニバナヤマシャクヤクが咲く山 
(2015/ 6/11)


ベニバナヤマシャクヤク (2013) 


 2015年 6月11日 
1日目の行程 : 新千歳空港〜ベニバナヤマシャクヤクの咲く山〜羊蹄山の麓〜寿都(泊)


ベニバナヤマシャクヤク (2013

 この記録を書いているのは6月26日である。ベニバナヤマシャクヤクが咲く山を登ってからすでに15日が経過している。この日、テレビでは安保法制についての国会での委員質疑が行われている。社会に寄生する赤い色は大嫌いだが、アツモリソウ(ホテイアツモリソウ)の赤やベニバナヤマシャクヤクなど深山に咲く赤い色の花は大好きである。そのアツモリソウやベニバナヤマシャクヤクを見ることは、非常に困難である。社会に巣食う赤は唾棄すべき対象だが、山に咲く赤色の花に出逢うと年甲斐もなく胸がときめく。そんな赤い花のうち、今回はベニバナヤマシャクヤクを見ることも大きな目的として北海道を訪れ、第一日目にその花の植生がある山に登った。


ベニバナヤマシャクヤク (2013)

 この花の情報に接したのは、希少種の山の花についてネットで調べていた時だった。その植生の場所も書かれていない。ただ、ベニバナヤマシャクヤクがたくさん開花していて驚いたという記事だったが、あの山ではないかと推測して2013年に行ってみたところ、咲き残りのベニバナヤマシャクヤクに出逢えたのであった。それは非常に幸運なことであったが、その出逢いだけには満足せず、探し回って誰も入り込んだ痕跡のない新たな植生の場所も2か所探し出すことができた。


本州のベニバナヤマシャクヤク (2015)

 今回は、その3か所のベニバナヤマシャクヤクを見るために行ったのだったが、結果は「0」。2015年の5月の気温が異常に高く、すべての株が開花し終わっていて咲き残りの花は一つもなかった。甘い考えであった。仕方ないので羊蹄山に移動し、まっかり温泉に入ってわが身の不幸(ベニバナの開花に間に合わなかったこと)を嘆いた。


 本州の山のベニバナヤマシャクヤク (2015)

 もうすでにベニバナヤマシャクヤクは終わっているだろうことは承知だったとはいえ、その虚無感は言い表しがたい。唯一の慰めあるいは強がりは、北海道の山登りに行く前の本州の山で、手付かずのベニバナヤマシャクヤクに出逢えたことだった。そこには開花株が3株と未開花株が8株あった。有史以来というと大げさだが、このベニバナヤマシャクヤクがこの地に生を受けてから10年近く、まったく人には見つかっていなかったものだ。見つかっていれば生き残れるわけがない。それほど人というものは獣のように貪欲なものだ。放っておくわけがない。

 この北海道のベニバナヤマシャクヤクの群生地が人に荒らされようとどうされても、人跡がまったくない第二・第三のベニバナヤマシャクヤクの植生地をおさえてあるので、来年以降の逢瀬にも支障はない。ヤマシャクヤウやベニバナヤマシャクヤクに魅せられることになったきっかけは、札幌近郊の農村地帯のこんな林の中でよく生き残っていたものだという場所で見つけたヤマシャクヤクであったが、ヤマシャクヤクやベニバナヤマシャクヤクに興味を持つほどにつれ、手付かずの群生地に導かれるようになったと言えば、「言い過ぎ。」か。


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