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冬支度の北岳 肩ノ小屋テント泊 
2009/10/19〜20
(北岳 14回目)


 気象データ 
10/19 13:50 八本歯ノコルの気温 3.9℃
10/19 15:30 肩ノ小屋の外気温  2.0℃
10/20 04:45 テント内の気温    1.9℃
10/20 08:00 肩ノ小屋の外気温 −2.0℃
 10/20 08:00 北岳山荘の最大風速 20m/s


 10月19日(月) 


広河原からの北岳

 谷川岳周辺の紅葉がちょうど見ごろだろうと思い、茂倉岳避難小屋利用の1泊のコースを考えたが、2日目の予報が降水確率80%だったので、急きょ北岳に目的地を変更した。テント装備にビールとワインをザックに忍ばせて、広河原を出発する。

 広河原で始発のバスを降り立った登山者は3人だけで、静かな山歩きが期待できる。右俣経由肩ノ小屋で泊まると言う男性を御池分岐手前で追い越し、咲き残りのタカネグンナイフウロ、ミヤマハナシノブ、カワラナデシコなどの花を楽しみながら、右俣分岐に着く。所要時間2:30、まあまあの出来だ。小太郎尾根分岐から下りてきた男性が、アイゼンが必要だったと言う。朝食タイムとする。

 わずかな雪渓が残る大樺沢を淡々と登り詰める。振り返ると、前回登った鳳凰三山のほか、最初は見えなかった八ヶ岳(赤岳)が高度を上げるにつれ徐々に見えてくる。男性が下りてくる。昨日、稜線では強い風に煽られて大変だったという。
 階段の連続する急坂も、がまんがまんと自分を励ましながら登る。ホシガラスがすぐ近くでじっと見ている。階段と次の階段までの間の登山道は、18日に降った雪と氷で滑りやすい。気温は3.9℃しかない。


ホシガラスと北岳バットレス

 八本歯ノコルに着いた。間ノ岳、農鳥岳が雪をまとっている。吊尾根分岐に出ると沢から吹き上げる風が強い。今日は北岳山荘までと考えていたが、明日未明に山荘から北岳山頂を越え、肩ノ小屋に向かうことは困難と判断し、今日のうちに頂上を踏むこととする。
 南東斜面の手前で、広河原05:10発のジャンボタクシーで来たという男性2人に追い付く。この2人は軽装で薄い手袋、作業用の手袋で「寒い。これで雨が降ったらおしまいだね。」と言う。

 吊尾根分岐の稜線に出ると強風が吹き付ける。耐風姿勢を採りながら登るが、雪と氷が混じった登山道にも気を付けなければならない。北岳の頂上に出る。風もようやく収まった。青空の下、大パノラマが広がる。来てよかった。


北岳山頂手前から中白根山と間ノ岳

 頂上から下ると、日が当たらない分、雪や氷が残っている。頂上の手前の斜面では、夏場に大学生が滑落して死亡している。両俣小屋分岐からの岩場の急斜面は特に注意が必要だ。前方を単独の女性が、ヘッピリ腰で下りている。

 登山口の広河原から北岳山頂までの標高差1663m、さらに183m下りて肩ノ小屋に着く。所要時間7時間はまあまあか。小屋は間もなく小屋仕舞いの時期を向かえ冬支度を整えている。テント場にはテントが2つ張られている。3つ目のテントを張って、一人宴会を始める。フライシートに抜けた蒸気が直ぐに凍り付く。寒さの中のビールもなかなか捨て難い。ワインに手を付けないうちに眠たくなってしまった。

 イスカのシュラフ「エアー450」は最低使用温度は−6℃までであり、寒さ厳しいこの時期の北岳山頂の夜を過ごすには心許ない。無印良品の小さな湯たんぽをシュラフに入れる。また、ダウンのインナーをシュラフカバーとシュラフの間の足元に入れ、ゴアテックスのアウターのファスナーを締めて足元のシュラフカバーを覆う。シュラフとシュラフカバーは息ができるだけのスペースを確保して暖気を逃がさないようにした。

 深夜1時、暑くて目が覚める。吐く息で、シュラフカバーがアイスマスキングならぬ息でびっしょり濡れている。少し暖気を逃がすようにして再び寝入る。あったかくて幸せだな〜。ただ、外は時おり強風吹き付けていて、テントを大きく揺らす。


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