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満開です!大ドッケのフクジュソウ群落地

                                       2008/ 4/ 4               



 カタクリを見に大岳山から御前山に出て、避難小屋で夜を明かそうと計画していたが、前々日の仕事が夜遅くまでになって2時間しか睡眠が取れず、翌日も午前6時から働かなければならなっかたことから、体はがたがたとなった。しばらくぶりの2日続けての休みではあるが、無理はきかない。ならばと、その後のフクジュソウの様子を見てみようと、また秩父の沢を登ることにした。

 蓄積疲労があることから運転はしたくはないが、4月からは登山口までの朝のバスの便がなくなったことから、仕方なくマイカーで関越自動車道を経由して秩父に行くことにした。早朝割引のタイムリミットである午前6時に1分もない時刻に練馬ICのETCレーンをやっとのことで通過し花園ICで下りる。一般道の両脇はコブシやモクレン、桜の花などが咲き乱れ、春本番の様相を呈している。

 バス停横の駐車場で出発の準備をしていると、男性2人が車で来て「フクジュソウですか。」と聞き、「インターネットでは3月25日が満開で、それにヒョウが降ったとなってもうお仕舞いのようだったが、まだ大丈夫だろうと、来てみた。」とおっしゃられる。自分は「そうですね。今日は天気も良いし、いいフクジュソウが見られるでしょうね。」と相槌を打っては見たが、その記録を書いたのは自分だということは言いそびれてしまった。

 集落の入口付近でエイザンスミレやタチツボスミレが咲いている。群落となっているニリンソウは、やっと葉が出てきたばかりである。廃屋を過ぎた少し先で、資料を見ているおふたりに追い着いたが、そのまま先を急いで沢に入った。冷気でひんやりしている沢は急峻ではあるが、脚も慣れてきてどんどんと高度を稼ぐ。沢沿いで芽を出しているものと言えばハシリドコロだけである。目印の倒木を2つ過ぎるといよいよ群落地が見えてくる。すごい!張り出した小さな支尾根がボリュームたっぷりな黄金色で染まっている。(スミレの名前は「たぶん」。)

 しばらくして駐車場で会った2人も到着し、感嘆の声を上げている。聞くと、16年振りの構想の実現であったとのことで、昭和40年代の国土地理院の地図に群落地が記されている。もう1人も昭和50年の地図を持っている。ザックにはその他の地図も・・・。そういえば、足元もスパッツを付けているなど、身支度に隙がない。「インターネットでは、3月25日が満開でもうだめと書いてあった。でも、最高ですね。写真はどこから撮ったのかな。」と話されても、今さら私が・・・とは言いづらいので沈黙。お話から豊富な山の経験をされていると思われるお二人は、自分たちを「間もなく後期高齢者」とおっしゃられるが、インターネットでも情報を収集し、山行にしっかり役立てている。75歳でこれほど健脚とは恐れ入るばかりである。

 「これほどの群落とは・・・。猿山岬の雪割草、オロフレ山のシラネアオイ、それにここのフクジュソウが3大群落だね。」「オロフレ山もいいのですが登山道脇が主体で、来馬岳(のシラネアオイは斜面を覆っていてそれはそれは圧巻ですよ。」と自分が言うと、もう一人の男性が、「来馬岳頂上手前の斜面がすごいね。スキー場から登って行く山だったよね。そういえば途中に岩があった。」と言う。それにしても豊富な経験をされている。来馬岳を登る人はそう多くない。ただ、途中に岩があって頂上の手前でシラネアオイの大群落がある素晴らしい山とは、多分大千軒岳であろう。(リンクの大千軒岳の報告をされているのは「一人歩きの北海道山紀行」のSakagさん。)

 お二人は花園をぐる〜っと巡り、ほどなくして下山していった。気温は12度と低いが陽の光もまだあって、一人フクジュソウを眺めながら静かな秩父の山の雰囲気を味わう。日常の喧騒、カオスを忘れることができる別天地、何度来ても飽くことがない。と、突然「お〜ぃ、お〜ぃ、ここだ!ここだ!と下から大声がする。「お〜、すごいぞ。」と4人が続いてやってくる。

 「写真撮ってくれませんか。」
 「いいですよ。あ〜、入らないで下さいよ、踏んじゃってるから。小さい芽もたくさんありますよ。」
 「実はこの下で昼ごはんを食べていて、フクジュソウも見たので帰ろうと思っていたら、2人が下りてきてフクジュソウが素晴らしかったと言っていたので、じゃあ、自分たちが見たフクジュソウは何だったのか。ハシリドコロをフクジュソウと思って、踏むなよと注意していたんです。2人に会わなければ、そのまま下山していました。」 

 2時間も長逗留をしたフクジュソウ群落地をあとにしていつもの道を戻るが、1か所、花が咲いたら結構素敵な眺めになるだろうと気にかけていた岩の割れ目に着生しているタチツボスミレが、今日は花を広げているだろうかと見てみる。大群落も素晴らしいが、人の目に付きにくいこのような小さなフレームに収まっている花にも心が引き付けられる。

 

 山から下りて集落を通るとご夫婦が庭先にいらっしゃる。「こんにちは。朝、お花を見させていただきました。」とあいさつする。「フクジュソウはどうでした?」と聞かれるので、「終わりかけているのも多かったのですが、素晴らしい群落が広がり結構見ることができました。」とデジカメに納めたフクジュソウの花の画像を見てもらう。
   「今年ここを4回5回も登った人がいるというんですよ。そのホームページを見て長野から来たという人もいました。道の整備もというようなことも 考えられるが、ここに来る皆さんはそのようなことは必要ないと言いますね。」
   「実は、たぶんそれは私で、今日で6回目なんです。」
   「そうだったの。今日の様子は今晩アップするんだね。」 

 駐車場から川沿いの道を遡って山の様子を見て、さらに武州日野駅に向かってカタクリの咲き具合を見てから秩父の町を抜ける。例年この時期に芦ヶ久保の道の駅に置かれている山野草をチェックしてから週末の夕方のラッシュが待っている川越街道を都心に向かう。体の疲れは残ったまままだ。


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