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茶臼岳稜線は強風で先に進めず下山へ
2014/ 11/13〜14


茶臼小屋


 11月14日(土)  


黎明の富士山 茶臼小屋から

 いつものことながら、やはり大吊橋から茶臼小屋までを登るのは辛い。茶臼小屋に着いたときにガスに覆われてしまったことから光岳小屋には行けるはずもなく、茶臼小屋で力尽き果て、存分に寝てしまった。2日目の夜が明けると東方向は、富士山が姿を見せ、太陽も登りいい感じである。


茶臼小屋の夜明け

 今回の登山は光岳まで行くのが当初計画であったが、茶臼小屋で寝ている間に気持ちが萎えてきてしまって、光岳小屋まで行くのかさえ決めきれていない。それはヤマテンが稜線でのガスと強風の予報を配信していたこともあってのことだった。


すっかり冬の装い 茶臼岳

 ヤマテンの予報通り、小屋周辺に濃いガスが漂い始めた。それでも装備すべてを整えて小屋を辞し、光岳に向かって進む。稜線に出て様子を見てから最終決定することにする。昨夜は相当のガスの流れ込みと寒さに見舞われたものと見られ、霧氷が木々を覆っている。


もう少しで茶臼岳への稜線が見える

 登山道を登るのに従ってガスはどんどん濃くなり、風も強くなってくる。それでも茶臼岳までは行かなくてはと標高を上げるが、稜線の分岐標識が見えてあと10数メートルというところで強風によってなんども身体が弄ばれる。これは無理だな。すぐさま踵を返し下る。


追い返されて 茶臼岳

 下りると決めたら足は速い。樺段を過ぎるころには、稜線からのガスの影響は既になくなって、秋色の景色が美しく、空気も快晴の日差しで暖められて心地よい。ほぼ一直線に横窪沢小屋まで下りてきて、小屋前のベンチで大休止とする。10月に登ったときにはなかったテルテル坊主が小屋に吊り下げられていた。このテルテル坊主は1日目の畑薙大吊橋にも付けられていて茶臼小屋までの間に5個ほど見かけたものの一つだった。


横窪沢小屋

 それは心を込めて作られたと思われるもので見るのは微笑ましいが、自分の家であるまいし登山に関係のないものを置いていくということは極端に言えばゴミを括り付けて行くことと同義ではないだろうか。かつて、といっても2〜3年前、茶臼岳までの登山道にはおびただしいテープや荷造り紐が括り付けられていた。


ウソッコ沢小屋

 この登山道を夏道として使うのに、テープを頼りにするところがどこにあろうというのか、といってよいほど明瞭な登山道である。逆に雪が積もって木々が倒され景色が一変する冬季に木々の高いところに付けられたものは少ない。どの山にも、低山であってもベタベタとテープを付ける癖のある人はいるものなので、そのようなことを気にしていても仕方のないことではある。


畑薙大吊橋

 紅葉の時期は既に終わっているが、澄み切った青空の下を歩くのは気持ちがいい。ウソッコ沢からヤレヤレ峠を経て大吊橋に出る。林道を沼平に向かって歩くと単独の女性が向かってくる。お昼も過ぎたこの時間にどこまでと思いお話をすると、池ノ平まで行ってテント泊を楽しんでくるという。


畑薙第二ダム

 その女性の目的地は、山歩きにはそのような楽しみがあると再認識させられるのだった。幕営できるスペースがある、水場もある。秋晴れの南アルプスの稜線をテント場からのんびり眺めながら(眺望が得られるかは知らない)流る時間を漠然と見送る。陽が傾きかけたらバーナーに火を着けて温かい飲み物を用意する。(重いザックを担げなくなる近い将来にはそうしよう。)


また! 茶臼岳

 今朝、茶臼小屋から登った烈風が吹き荒ぶ稜線での気温は−10℃と寒く、踵を返すのにまったくの躊躇はいらなかった。この日登山道や小屋で出会った人は「0」人、もう十分に冬山の様相だった。茶臼小屋の源頭の水はまだ流れていた。雪は5cmほどあった。それにしても、十分な防寒対策が必要な今回の南アルプスであった。


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