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酉谷山避難小屋
2011/11/18〜19


酉谷山避難小屋


 11月19日(土) 2日目  


小雨の降る朝

 昨日、酉谷山避難小屋に着いたのは午後2時10分でした。小屋には一番乗りで、コーヒーを淹れ新聞を読むなどしてしばらくまったりし、次にビールを飲もうとお刺身を切っていると、小屋の外に人の気配が感じられました。ちょうど小屋前の岩場を青年が下りてきて、小屋の内部を偵察するような感じで中に入ってはきません。外にストックを置いていたので先客が入りことは分かったのでしょう。少しするともう一人の青年が来て「中に一人いるよ。」と話し、小川谷林道に下りるところに、ブラックダイヤモンドのテントを2基設営しています。


モノレールを使って資材を上げ登山道整備をしてくれていました

 このほかに人は下りて来なかったので、それぞれのテントで一人ずつということなのでしょう。環境省奥多摩自然保護官事務所は2011年7月5日付けで「秩父多摩甲斐国立公園における幕営についてのお願いです。」 との「お知らせ」を発しています。「昨今、一部の利用者によりキャンプ場以外にテントの設営(幕営)がなされ、植物の生育に悪影響を与えている等の情報・苦情が寄せられています。国立公園内におけるテントの設営は、一部地域やキャンプ場等を除き、原則として自然公園法の規制対象となっています。テントの設営はキャンプ場等で行ってください。」


大京ノクビレ この岩を直登するルートもあるが落ちると底なし

 聞くところによると、ほんのわずかだが強い苦情の申し出があってこのような御触れを発することになったようです。ありのままの自然に咲く花はいつまでもそこにあってほしいと強く思いますが、一方で稜線の数張り分のテントがそんなに自然にダメージを与えているとも思いませんし、保護すべき植生も見当たりません。それより、商業主義に乗ったトレラン軍団がタワ尾根にも進出していることの方が大問題だと言わざるを得ません。ここにも極わずかながらイワカガミやイワウチワの植生があります。時間を競うトレランは、踏み跡を逸脱しての追い抜きもあるでしょうし、足許の植生などに注意する暇もないことから、この希少なイワカガミやイワウチワのほか、特に一石神社から人形山の間の踏み跡脇に咲くスミレ類やエンゴサクはひとたまりもありませんね。

  「トレイル王国」は昨年、タワ尾根でトレラン大会を開催したようで、そのHPには次のように(要約)参加者を募集しています。
 トレイルランナー奥宮俊祐氏が贈る、春真っ盛りの奥多摩・日原渓谷と周辺山岳エリアを舞台にした極上トレイルラン二ングレース。奥宮俊祐氏によるトレイルウォーク&ランを交えたクリニックや、トークショー(大会前日)をはじめ、観戦ツアーバスなど各種イベント開催予定。開催日:2010年4月18日(日) 10kmの部/日原鍾乳洞(スタート)〜一石山〜人形山〜金袋山〜すずさかの丸〜ウトウノ頭手前(折り返し)〜往路経由〜日原鍾乳洞(ゴール)

 なお、このトレランはここを使うことでのいろいろな摩擦があって、コースが変更されたようですが、ヨコスズ尾根で一般登山による滑落事故死があったように、100人規模でトレランに使うのは不向きであるというのは一度でも歩けば分かることです。タワ尾根の豊かな自然林を静かに歩く楽しみを持つ者にとっては迷惑千万なトレランであることだけは間違いのないことです。


下山時の重要なポイント 右の木の奥に赤テープが見える
※ 「日原」と書かれたテープは今はありませんので、この分岐では注意が必要です。(H24/12/1現在)

 さて、このヤミテンの2人の青年ですが、今どきの山ガールならぬ山ボーイのスタイル・服装はばっちりですが、どうもトイレが近いようで、真夜中12時ごろまで小屋に入ってきて通り過ぎ、トイレに通います。朝もはよからトイレを使います。小雨が降ってきたからか小屋の庇の下で支度をしていたようで、しばらくランタンを灯していたのですが、いつの間にか姿がありません。外が明るくなってきたのでトイレに立つとトイレは的を大きく外してビシャビシャです。彼らは到着以来自発的には一度も口を開かず、真夜中の何度もの訪問と言い、これほど気味の悪い思いをしたことはありませんでした。


東日原の集落から

 下山日の19日は、午後からの大雨が予報されていましたが、朝起きた時にはもう空は真っ黒な雲に覆われ、午前6時には雨が落ちてきていました。汚れ放題のトイレを掃除し終えてから、大雨に降られてもいいように身支度をしっかり整え、長沢背稜からタワ尾根を下ります。一石山を過ぎベンチから一石神社までの標高差300mの急斜面は雨に濡れて道はドロドロになっていて、それはそれは怖い思いをしてやっと下りたのでした 


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