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酉谷山から芋ノ木ドッケを経て太陽寺に下りる
2011/ 5/20〜21


イワウチワ (長沢背稜)


 5月21日(土) 2日目  

  酉谷山避難小屋の夜明けは、鶯のひっきりなしのさえずりであけました。小屋の外の温度計は15℃を指していて風はまったくありません。小屋の窓を開けて新緑の尾根を眺めながら朝食を摂ります。同宿の方が出立したので小屋の掃除を始めます。この小屋のいいとこの一つは、ほとんどゴミが捨てられていないことと、トイレが綺麗に使われていることです。それでも、いつも誰もが掃除できるだけの十分な時間があるわけでもありません。たまにこうすることもいいでしょう。掃除が終わったら一服します。誰もいない静かな小屋の窓から見る風景はあまりにものどかで、ぜいたくで平和なひとときです。そうは言っても今日は長丁場になるのでそろそろ出発しないと・・・。目が覚めてからもう4時間以上も経ってしまっています。
 

 
小川谷の新緑

 

 長沢背稜は新緑が始まったばかりです。ヤマザクラは葉桜になろうとしています。もう温度計は20℃を超えていて、今日も暑くなりそうです。昨日の直登が足腰に来て、文字通り鉛のようになった体を我慢しながら前へと進めます。すると、まだ9時前だというのに水松山のずいぶん手前で酉谷山方向から来た単独女性と交差します。さらに進んで長沢山へもう少しというところで大休止を取っていると天祖山から登ってきたという男性が通り過ぎていきます。


早朝の酉谷山避難小屋

 長沢背稜では花を期待するのは無理な話なので、明るい場所に生えているスミレでもカメラに収めることにします。ただ、この先、桂谷ノ頭のアズマシャクナゲはもうそろそろ花を開かせてもいいころだと思って先に進みますが、まだ蕾です。開花にはあと1週間は待たなくてはならないといった様子でした。


スミレ

 そう思いながら先に進むと、これまでのうっそうとした日陰とは違って開けた場所でアズマシャクナゲがまさに花開こうとしているのでした。あまりにも清々しい風景に思わず声を上げてしまいました。こんなわずかなことなんですが、山を歩いて辛いと思っているときにはたまらなくうれしいときです。その後は疲れもすっかり吹き飛んでしまっていたのでした。


アズマシャクナゲ

 この先に岩場があってアズマシャクナゲとともにイワウチワもあるはずだがと思っていたら、そのとおり、清楚なイワウチワがあちこちに咲いました。イワウチワと言うだけあって、どれも岩場かその近くに咲いているのですが、中には天の邪鬼(個性豊か)なイワウチワもあって、倒木の上で花を咲かせています。


イワウチワ

 芋ノ木ドッケと雲取山に分かれる分岐に着いた時にはもう正午になっていました。これからは太陽寺への分岐のお清平までの長い下りが待っています。長沢背稜では3人としか会わなかったのですが、さすがに土曜日です。次々と人が登ってきます。多くが若者でピシッと決まったカラフルな服装をしています。 


台風による倒木跡

 それにしても長い下りです。天下の雲取山の登山道なので道はしっかりしています。ずいぶん前に山の会で歩いたことのあるところですが、こんなにきつかったとはすっかり忘れていました。白岩小屋を過ぎどうにかこうにかお清平に着き、すぐさま太陽寺への道に分かれて人のいなくなったを辿ります。途中、水場がありました。涸れ沢に塩ビの管が刺されていて水が流れ、それはすぐ土中に潜っていってしまっています。


芋ノ木ドッケ〜雲取山分岐

霧藻ヶ峰とお清平に分かれる道標のある場所まで下りてくると、霧藻ヶ峰方向から単独女性が下りてきます。この下の林道に車を停めて往復してきたそうです。そういう登り方もあったんだと感心したのでした。そんな人たちの車が数台停めてある東屋脇を再び下りていきます。またまた長い太陽寺までの道のりが始まります。もうこのころは気力で下りていきます。どうにか太陽寺に着いても休んでいる暇はありません。大血川渓流観光釣場までまだまだ下らなければなりません。この道は参道となっていて歩きやすいのですが、なにせ傾斜は半端ではありません。釣り場に降り立ったて目の前の自動販売機でスポーツドリンクを一気飲みし、これから4時間の運転に備えたのでした。


 今回、携帯電話を太陽光で充電できるドコモのソーラー充電器「FOMA ecoソーラーパネル 01」を持参した。数日の縦走を行う場合、いくらこまめに携帯電話の電源を切ってみても電池切れとなるため、いつもは予備の電池を持ち歩いているが、その代替になるだろうとの希望を持っていた。結果は、少しでも木陰になると充電は中断され、奥多摩などのような樹木に覆われた尾根では使い物にならないことが分かった。高緯度の地域では太陽高度が低いから十分に太陽光エネルギーを得られないと考えて、今年の夏山にFOMA ecoソーラーパネル 01」出番はなさそうである。

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