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大血川(大日向)から小黒を経て酉谷山に登る
2011/ 5/20〜21


ヤマツツジ (東谷林道)


 5月20日(金) 1日目  

  このところのお気に入りの酉谷山(避難小屋)へと辿る尾根は、秩父の大血川(大日向)から小黒を経由して辿る道を残すところとなりました。それにしても、ここ2シーズンでよくもこれほど酉谷山避難小屋への道を歩いたものです。(下表参照)
 新緑の季節となったので少し長丁場を歩こうと、2日目は長沢背稜から芋ノ木ドッケに回って太陽寺まで下りることにしました。今回は熊倉山からの稜線に合わさって酉谷山に登りますが、この周辺は道迷いの遭難が少なからず発生しているところです。このことは、酉谷山避難小屋の小屋ノートにも数例、当事者による書き込みがなされていることからも分かることですが、それはうまく避難小屋にたどり着いたからのことであり、秩父の山の急峻さを考えると不幸中の幸いといえる出来事であったと言えます。よって、心して計画を進めることにしました。


















 









 



道 










 





 




 



 
 計


 2 1  3  2  2  2  1  1  2  2  1  1  1   21

 
東谷林道終点のガレ場

  さて、このルートは大血川渓流観光釣場からすぐ先の左側にある東谷林道を入っていくこととなります。車両通行止めとなっていますので、太陽寺への林道を少し(3〜400m)進んで広い路側帯に車を停めて林道に戻ります。東谷林道は「東橋」を渡り、すぐの林道ゲートを歩きます。次の「源兵衛橋」は橋の架け替え工事中で人も通行禁止ですが、通行を黙認してもらいました。通行止めは次の「小滝橋」の架け替え工事まで続くようなので、注意が必要です。なお、東橋の先、林道の反対側に「ケンカ平歩道」が走っていて、小滝橋手前で林道に戻ります。
 今回は、林道をそのまま道なりの終点「クイナ沢橋」まで歩きました。左手に沢の流れを見てクナイ沢橋を渡ると、目の前にガレ場がありますがこれをを進みます。なお、林道はクナイ橋の後方(反対方向)にコンクリード舗装路となって延びています。


雰囲気のいい尾根道

 ガレ場を過ぎるとジグを切って登ると、古いドラム缶があります。またジグザグに登ったり尾根を巻いたりすることになります。しばらくは新緑の自然林の中を歩くので目には優しいのですが、なにせ延々と続く急登なので体は悲鳴を上げます。前方に桟道が見えるとそのまま進んで桟道を渡ります。植林帯に入って「酉谷」の道標に出合いますが、ここは下山時のポイントになる場所と思われます。さもないと別な沢にそのまま下りていくように踏み跡がありますが、これを辿ってしまうかもしれません。道標があったら赤テープにも注意を払いながら直進せず、すぐ右に大きく折れるのが正解となります。


「酉谷」標識

 もう一か所、そのまま進むことが困難な崩壊地がありますが、ここは高巻きをして先に進みます。次におおよそ1200mのところに植林地内の平らな場所があります。下山時に間違いやすいと思い、少し先に進んで振り返って見ると植林の同じような風景に惑わされて、右手の平らなほうへ進んでしまう恐れがあると感じる場所でした。ここは木に巻かれた赤テープをしっかり確認し、さらに足元の石ころが登山靴で踏まれて他の石より白っぽくなっていることを確認しながら、ゆっくり左手にカーブするように下りていくと道間違いは避けられるものと思います。


東大大血川とある「東大」は東大演習林を指す

 この植林帯が切れると尾根筋のスズタケの中を登っていくことになります。いったんゆるい傾斜を登りますが、熊倉山からの尾根道はもう少し先になります。熊倉山からの尾根道との合流点には、東京大学の「山火注意」の看板があります。各種テープとともに下山時の目印となります。ここから緩斜面を小黒方向に向かい、途中倒木などがあるところで直登する踏み跡と、本来の道と思われるトラバース状の道に分かれます。なぜ「本来の」と言うかというと、トラバース道の先に酉谷山への道を示す古い道標が立てられているからなのです。


ミヤマタカバミ (小黒頂上直下)

 今回は、小黒を直登することにしました。一応テープもあるのですがだんだん踏み跡は不明瞭になってきます。本来は途中でいったん右手に下り加減に歩くのですが、そのまま登ってみました。結局それも本来のトラバース状の道が小黒頂上へほぼダイレクトに直登する道に収斂されますので、直登しても特に問題となることはないものと感じました。ただ、小黒からの下山での道迷いが発生しているので、あまり暗くならないうちに下山できるようにスケジュールを組み、迷ってもあわてないで熊倉山への道を探る必要があるでしょう。 


シロバナノエンレイソウ/ミヤマエンレイソウ (酉谷山北斜面)

 小黒の頂上でFOMAにより現在位置をメールし、すぐ鞍部に下ります。もう5時になっていますので、のんびりしている暇はありません。酉谷山へ登ると途中、たった一輪、エンレイソウがありました。北海道なら雑木林の中に足の踏み場もないほど咲いているのですが、ここではこの一輪が大変貴重です。そうこうするうちに酉谷山の頂上です。 
 今日は天気もいいしもしかしたら小屋は混雑しているかもしれないと、ツェルトを持参してきていますが、戸を開けると先着の人が1人いるだけでした。さっそくビールや日本酒を水場で冷やします。30分もするとすっかり冷えていて、たっぷり汗を流した体にはこのビールがとりわけうまく、「この瞬間を待っていました。」という至福の時であったことは間違いありません。



【参考】
このルートは昭文社の地図では破線で書かれていますが、GPSでログを取ってみました。
実際の道は尾根筋を大きく離れているところもあります。

熊倉山周辺は遭難の絶えない山として特筆されるところですが、
2日目の5月21日、熊倉山への登山道で滑落による死亡事故がありました。
尾根の斜面が深く切れ落ちているところも多いので、侮ることのできない場所です。


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