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酉谷山避難小屋から滝入の峰を歩く
2011/ 7/29〜30


 7月30日(土) 2日目  


ご飯も炊きました

 朝方の小屋の中の気温は21℃、外は16℃でした。シュラフカバーにシュラフ用シーツだけで、暑くもなく寒くもなくちょうど良い具合でした。明け方から大雨となって帰りが心配でしたが、2〜3時間も待てば何とかなるだろうと、まずは朝のコーヒーを飲んでから朝食の支度をします。夕べは小屋の近くで雷がバリバリと鳴っていましたが、それよりアブに刺されたところの痒みのほうが重大事でした。

 
ネットの内側は天国

  雨が小降りになってから小屋の周りの撮影に出ます。というのも、小屋の周りはネットが張り巡らされていて、いわば植生の保護がされていると同じ状態なのです。ネットが張られているところ(右側)は鹿の食害が及ばず、左側は鹿に蹂躙され禿地となっています。ネットの中にはホタルブクロやヤマオダマキが咲いています。今の日本の山で植生の保護と言うのは、○然保護教条者の圧力によって排除し、さらには山小屋からはのけ者にされているテント泊愛好者を山小屋の収益源のひとつであるテント場だけに限って隔離するのではなく、植生は鹿が原因であるから鹿対策を十全にし、テント泊などの健全なスポーツに対してはかえって一定程度を開放すべきときであるということもできるのですが、長いものには巻かれるべきなんでしょうかね。


ネットの内側のホタルブクロ

 私の考える本当のテント場とは、あ〜だ、こうだと言われない北の山の稜線のテント場なんですが、今山に目覚め、テントに目覚めた若者などにその稜線に行ってテントを張ればなんては言えません。まず、長期休暇が必要だし、交通費などの軍資金もかかります。秩序のないテント泊は反対ですが、植生の保護を口実にするならば、それはお門違いと言うことであるとうことで、植生の保護が本当に大切ならもっと現実を踏まえてやることがあるでしょうというだけのことです。


糖尿病薬服用の副作用

 私は自然保護派でもなく、かと言って昔の山登りのように登山道でもどこでもごみをポンポン捨てる無頼派でもありませんが、むやみに(個人的理由があれば別ですが)登山道を離れないとか、人にものを尋ねて答えてもらったら(たとえそれがメールであっても)ありがとうございましたと言うとか、お世話になったらお礼を言うとかなどのことは当然と思っています。そんなわけで、今回も少し小屋を掃除して帰ろうかなと思います。前回、座敷箒がなくなっていたし、今回は庭箒も見当たりませんが、ストッカーの横と壁の間にに押し込められているのが分かりました。ついでにストッカーを開けると、ビニール袋一つ分のゴミが隠されていました。埋蔵金ならいいのですが、腐った埋蔵ゴミはどうしようもないですね。

 このゴミは誰が捨てたのか、ゴミを精査して推察すると、手がかりは「メデット」という薬です。飲み終えた包装パックがありました。これはアステラス製薬の2型糖尿病治療用ジェネリック医薬品(1錠9.6円)でした。副作用として、山でごみを捨てる、ごみを隠すという今時、当たり前の分別があればあり得ない奇異な行動に走るとのことで、山で服用する際は、医師の厳格な指導を受ける必要があるそうです。

 次にゴミの種類を見ると、東京拉麺、サッポロ一番、レトルトのごはん、魚肉ソーセージ、梅しばの包装紙が全部で、梅しばを除き、この糖尿病患者の食生活が少なくともこの酉谷山避難小屋では炭水化物主体であったということが分かります。


早朝の酉谷山避難小屋

 そんなことを夢想しながらの掃除もおおかた済んだので出発とします。小屋の下には雲海が広がっています。天気は回復傾向にあるようなので、レインスーツは着用しませんでしたが、登山道脇の濡れたイネ科の植物がズボンの裾に当たって、だんだん濡れていきます。小屋からそれほど遠くないところにもう熊棚ができています。そういえば、オロセ尾根にはもう、どんぐりがたくさん落ちていましたので熊さんも活発に食餌をしているのでしょう。今回は大きな熊鈴を持ってきてオロセ尾根に取り付いてからずうっと鈴を鳴らしていました。


ハナド岩からの展望

 ハナド岩に出てみると、雲取山や鷹ノ巣山が見えます。高いところに雲がありますが、明るい空なので雨は落ちてこなさそうです。一杯水避難小屋に向かって歩きます。もうこのころには湿気と気温の上昇と歩行が相まって、汗だらけとなります。


長沢背稜

 普通の登山なら、これら三重苦は願い下げですが、今回は目的があって山歩きでしたから致し方ありません。ただ一つ、早く下山してもえぎの湯に浸かることが望みでした。ただ、ヨコスズ尾根を巻いた地図上の道を歩くのは面白くなく、稜線の自然林の様子を見ようと滝入ノ滝を通ることにしました。稜線とはいっても風もなく汗だくになるのは一緒でしたが、ここにも何の花も咲いていないことが分かって、それも収穫の一つでした。


滝入ノ峰への細い尾根

 滝入ノ峰からどんどん下って本来の登山道に出ると男女4人の若者が休憩しているところでした。もう午前11時にもなるのにこれから登るのでは大変だなとは思いましたが、「もう少し登るとガスが晴れていい天気だよ!」と声を掛けると、青年たちから明るく弾んだ声が返ってきました。やはり若者はいいですね。


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