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オコジョがお出迎え シャクナゲ街道から三峰へ (2013)
2013/ 5/24〜25


オコジョ


 5月25日(土) 2日目  

  昨晩は早い時間にシュラフに潜ったが、途中目が覚めることなく夜明け近くまでぐっすりと寝てしまった。気持ちだけが先に進んで体は思うようにいかなかった疲れがそうさせたのだった。目覚めると月明かりが煌々と眩しい。もう一度寝込んで同宿の人たちの目覚めに合わせる。

 
酉谷山避難小屋の水場

 午前4時、皆一斉に起きだし身支度と朝食の準備を始める。今日は、水場をきれいにした上、三峰までの長丁場にとっかかることになることから、5時出発を目標にする。4人のチームがトイレ掃除を始める。きれいにトイレを拭き清めてから名残惜しそうに小屋を出ていく。


酉谷山避難小屋

 昨日は水を採るのがなかなか困難だった水場の水の流れも、どうにか一条確保できた。排水升の周りに回り込む水もほとんどなくなって、ゴムシートの上を伝って流れ出ている。このためにどのような仕掛けをしているか、人は知る由はない。だから、水が出ないと言って水場を荒らしてしまうのだ。そんな繰り返しがこのところ続いている。


長沢背稜のブナ林

 5時の出発予定より遅れること40分、長沢背稜の登山道に出る。涼しく柔らかな風に体をなでられながら進む。小屋の近くのカラマツ林を抜けるとその先は目に優しい自然林を歩くことになる。何度も何度も歩いても飽きることのない素晴らしいフットパス。なにより静かなのがいい。


ミツバツツジ

 最近、嘉右衛門尾根に手製の案内板が付けられていて、この尾根に入り来ないよう注意喚起がさりげなくされている。ここは、雲取山方向から来た時、特に冬場に迷い込みが発生しやすいところだ。実際は嘉右衛門尾根を右手45度方向に見て左に60度ほどカーブして徐々に下るところだ。


オコジョ

 水松山を右上に感じながら天祖山への分岐標識を右に上がる。稜線を右に下りると、稜線に沿うように進む。すぐに左手に大きな膨らみを持つピークを感じながらある程度行って直角に稜線に乗る。この間が冬場に道を失いやすいところとなっているが、嘉右衛門尾根と同じ作者による手製標識を見落とさないように行けば問題はない。

 アズマシャクナゲが出てきて、今年は当たり年かなぁとカメラを構えながら歩き目を前方にやると、オコジョが石に乗ってすくっと立ち上がり「君は誰かね?」といった風情でこちらを見つめている。そのうちすくっと立ちあがって鮮やかな腹の毛並みを見せると、石から離れて木々の中に消えて行った。


アズマシャクナゲ

 なんともうれしいオコジョとの出逢い・・・。美しい樹林の風景、静かで爽やかな朝、そしてオコジョ。それからはアズマシャクナゲが延々と咲き誇る。奥多摩のシャクナゲなんてとバカにしていたわけではないが、これほどあるとは思わなかった。それも蕾あり、咲き始めあり、開花したものありとバラエティーに富んでいる。


アズマシャクナゲ

 このシャクナゲロードで時間を取ってしまった。道草を喰わなければ午後一番のバスに乗ることができるとのつもりでいたが、今日のもう一つの花探しの目的をまだ達していないから、遅いバスでもいいやとシャクナゲをゆっくりと見て歩く。そのシャクナゲも桂谷ノ頭を少し過ぎるとピタッとなくなって倒木地帯に入る。前方の青年が周りの風景にすっかり見とれている。


咲きますよ〜。

 今回の最大の目的はほていちゃんに会うことだったが、芋ノ木ドッケに植物採取は厳罰との新しい貼り出しがあったことから、これはもう採り尽くされてしまったのだろうと惨憺な気持ちになる。楽しみにして今日を待ったのに・・・。それでもあきらめきれず大ダワ方面の途中まで行って、次に白岩山(三峰神社方向)に向かうトラバース道の周りをまるで黒板消し黒板を拭くように丁寧に見ながら歩く。あった!ピンク・・・。しかしそれはイワウチワの花で、その周辺にも貼り出しがあったことから、ホテイちゃんは無理なことだと諦めがつく。


ほていちゃん、や〜い。

 花はなくとも原始の風情を留めているような奥深い山の雰囲気を十分に味わいながら、進む。ようやくこのころになって体の調子が戻ってきて、休む必要性も感じることなく先に進む。そうは言ってもこれまでとは違って水の消費量は多く、三峰神社にゴールした時は、水1リットル、ポカリスエット0.5リットルを消費していた。


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