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長沢背稜から矢岳へ
2015/ 4/19〜20


酉谷山避難小屋


 4月20日(土)

 この小屋でこれほど熟睡したこともなかったほどの寝入りようだった。気付いたらもう夜明けを迎えようとしている。先客さんは棒杭尾根から倉沢を下りると言って発った。お2人さんは小黒を越えて熊倉山へ向かうと言う。掃除をやってから出立すると言うので、それは任せてもらうことにして見送る。1人となったので小屋の窓や戸を開放しいつものように懇ろに掃除をするものの、汚れというものはほとんどなかったので軽く済んだ。前回は犬を小屋の板の間に上げて汚したまま出て行った者がいたことで拭き掃除などもしたが、この間の利用者が綺麗にしてくれていたおかげであった。


水場 酉谷山避難小屋

 水場の流れは前回より少し少し細いが、それでも十分過ぎる水量であった。水場の周りの草も芽を出して、これまでここでは見たことのないスミレが2輪咲いていた。間もなくミツバツツジが小屋の周りで咲くようになると、週末には多くの人が繰り出すことになるのだろう。


 矢岳分岐

 食料が減って少し軽くなったザックを担ぎ、長沢背稜を浮き浮きと歩く。矢岳への分岐にあったプレートは朽ちてなくなってしまったが、今は埼玉県警の山岳救助隊が付けた注意書が目印となっている。尾根筋に出てから下って岩場を巻き、牛首に出る。急な登りをこなすと馬酔木が多い尾根となって、いつもの太い倒木に腰かけて小休止する。


酉谷山と小黒

 植林帯と広葉樹林が尾根を分けるようになるとカタクリが出てきて、その傾向は矢岳を過ぎ篠戸山から送電鉄塔に至るまで同様であった。矢岳には「美しい自然を壊す戦争に反対」とか書いた古い看板が掛けられている。今の静穏な日本の社会で一番攻撃的で先鋭な弁舌を用い行動するのは過去のこのような運動を引き継いだ人たちであるからといって、「静かな社会を擾乱するのは反対」とは言わない方がいいのだろう。


ムラサキケマン

 もう山を下りるころになって日影の倒木の横にムラサキケマンが綺麗に咲いている。毒草だから生き延びているのか。ほどなく武州中川駅に着くと乗り降りする人が多い。お花畑駅では羊山公園の芝桜見物を目的とした人で(秩父鉄道としては)ごった返している。土曜日の帰路だからザックを背負った人がもっと多くいてもよさそうだが、池袋駅までの間で4人しか見かけなかった。疲れとレッドアロー号内でのビールによりスローペースでJR池袋駅の階段を昇ってホームに出たら悪意を持った小太りの中年男に進路を妨害されてしまった。危ないじゃないかとも言えなかったが、よろよろとした歩行の勢いが止まらずビブラムソールが男の向う脛にガツ〜ンと当たってしまった。故意ではない。


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